7
夜が明けて……。
首都から一角が到着したことは、村の全員が知っていた。
その結果がどうなったか、はたして魔狼は襲ってきたのか、興味を持たぬ者はいない。
村長の家の庭には、朝から村人たちが詰めかける騒ぎになった。
「村長さん、昨夜の一角はどうなったね?」
「魔狼は出たのかい?」
「どこの家が襲われた?」
口々に質問が発されるが、その答えは村長も知るはずがない。
そこへ俺が帰ってきたのだ。
俺とアオの姿に大人たちはざわめき、子供らは歓声を上げかけたが、すぐに静かになった。
アオは背後に長い縄をたらし、3匹の魔狼を引きずっていたのだ。
アオの重々しい足音に、ズルズルと地面の上を引かれる音が混じる。
いずれも成長しきった大人の魔狼だ。
驚くほど大きく、長い体はすでに事切れ、血にまみれている。
ワイワイと騒がしかった村人たちは、冷水でも浴びせられたかのようになった。
従者がやってきて、俺がアオの背から降りる手伝いをし、一瞬のうちに周囲は血の匂いで満たされた。
村人たちが言葉を失っているのを見て、
「やってきた魔狼は11匹。そのうち3匹を倒して、残りは逃げた。逃げたうちの1匹には致命傷を負わせたから、当分この村に魔狼は姿を見せないだろうな」
と俺が言葉をかけても、返事はないのだ。
「悪いが庭を貸りるぞ。退治した証拠に、3匹の尾を持ち帰らなくてはならない」