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 突然、決闘場の中に声が響いた。

 朗々として、しっかりした男の声だ。

 俺は耳を澄ませた。


「お前は今からその魔狼と戦うのだ。壁に沿い、お前の頭上には台があろう?」


「あれかい?」


「あの台には生肉が置かれている。台上へたどり着き、生肉をとれば黒華の勝ちだ。それを邪魔することができれば、お前の勝ちとしよう」


「俺は、いつまでその邪魔を続ければいいんだい? 一日中はやってられないぜ」


 俺の言い分に、のぞき穴の向こうの男は苦笑したようだ。


「お前の実力を私が認めれば、お前の勝ちとしよう。他に質問は?」


「ない」


 フフフとまた声は笑い、次のように付け足した。


「言っておくが、黒華はまだ一度も負けたことがないのだぞ。この場で命を落とした新兵は10人では足らぬ……。それでもやるかね? 今すぐ辞職することもできるのだぞ」


 男の声が消えた後、しばらくはその場を沈黙が満たした。

 アオの鼻息だけが聞こえている。

 それに慰められ、やっと俺は口をきくことができた。


「いいぜ。その黒華とやらを出せよ」


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