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この後起こったことについては、もう見当がついているかもしれない。
『雪華とともに炎に飲まれかけたが、かろうじて自分だけは生き延びることに成功した』
という世界線へと俺は移動したのだ。
雪華は炎の中で死んだはずである。
アオも助からなかったが、それだけは少しかわいそうに思う。
数日後には、俺は王宮で王の前へ引き出されていた。
もちろん反逆者や犯罪人としてではない。
森の中で道を見つけ、何でもない旅人のようなふりをして、俺は街道沿いに王都まで戻ってきた。
どこかに落ち着いて仕事を見つけ、静かな暮らしをしようと思っていたのだが、王都の入口ですぐに見つかり、一角隊へ連絡が入れられてしまったのだ。
飛んできたのはイノシシ隊長で、俺の顔を見るなり、
「お前、生きていたのか」
と抱き着いてきたのだから、たまらない。
そのまま馬に乗せられ、やって来たのが王城の広間だった。




