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内臓が2つ無い女、高尾山に登る

作者: 鰯田鰹節

婦人科疾患のお話(手術や不正出血等)が少し出てくるので、苦手な人は読まないでくださいm(_ _)m

内臓が2つ無い女、高尾山に登る







私は、内臓が2つ無い。


婦人科の病気で、子宮と左卵巣の摘出手術を受けたのである。


手術を受けたのが3月。

その後、あまり動けない生活が続き、10キロ太った。


「元の隊形(体型)に〜戻れッ!」と言うことで、2ヶ月みっちり体を絞り、13キロ痩せることに成功した。


もう太ることは無いだろうと思われる。

太る習慣が、私生活の中にないから…たぶん、大丈夫。


自分は、こんな自分の体のことを、『形状記憶合金の体』と呼んでいる。





さて、私には、痩せてからやりたいことがたくさんあった。


大きなことから小さなことまであるが…






①可愛い服着たい


とにかくこれ。

これは、全てのやりたいことの大前提。


まず、可愛い服着たい。

可愛い服着て、(何かを)やりたい。


これは、痩せたらすぐ叶えられたことだったから、今はこの点では幸せの中、毎日生きている。




②マイメロのグッズを買いたい


これは、手術を受ける時に、初めてマイメロのヘアバンドを買ったことがきっかけ。

そこからマイメロが好きになって、ちまちまとLINEのスタンプや絵文字、スマホ台やお弁当箱、ボールペンなどを買っていた。


…が、オンラインショップじゃなくて!

サンリオショップで実物見て買ってみたくて!!


つい先日、電車に乗ってサンリオショップまで出かけたがー!!!(がー!!)


なんと、ひよってー!!!(ひよってー!!!)


自分のモノ何も買えずに帰ってきた〜…!!!!泣(´;ω;`)アー



その日の夜、1万5000円分、オンラインショップでマイメログッズを買ったぁぁぁ…(´;ω;`)アアー





③登山したい


もともと好きで、よく行っていた。

近郊は行き尽くした。


それも、なぜか、婦人科疾患にかかってから、よく行くようになった。


常に貧血との闘いで、準備が大変だったし、大掛かりな登山は出来なかった。


だが、安全の範囲で楽しんではいた。



今回は、「有名な高尾山に行ってみよう!」ということで、仲良しの元同僚monbebe65歳と行ってきた。


というのも、monbebeが登山をやってみたかったらしい。


紅葉も綺麗だし、一緒に行こうか〜明日?という軽いノリで、その話が出た翌日に行くことが決まってしまったのだ。








ー内臓が2つ無い女が高尾山登頂できるのだろうか…。


ー手術跡は痛むのだろうか?


ー不正出血するのだろうか?


ー貧血は…?



結果として、ほぼ全て、大丈夫だった!

不正出血も無かったし、貧血も無かった!!





行きはケーブルカーを使わずに頂上まで行き、帰りはケーブルカーで下りてきた。


行きは、手術跡が突っ張る?というのだろうか、引っ張られる?とも言える…とにかくなんだか痛かったが…。私の感覚では、痛み止めが無ければダメ!という程ではなかった。


※私は痛みにかなり強いです。


単純に考えて、出血し続けなければ貧血も起きない。

私は出血を起こす内臓を丸ごと摘出したから、もう血が出ない!

貧血にならない!!



山道で、なんて体が軽いんだ、と驚いた。


貧血じゃない体で山を歩くって、こんなに気持ちよかったのか…!と、世界がキラキラ輝いて見えた…。


晴れた空。

赤い紅葉。

鳥のさえずり。


目に映るもの、耳に聞こえるのもの、全てが美しくて、泣きそうだった…。









monbebeサイドに移る。




ー体が重い。


ー足痛い。腰痛い。荷物重い。


ー紅葉見る元気ない。


ーなんでケーブルカー乗らなかった…?!

※つい、ボク歩けるよ、と言ってしまった。


ー帰りたい…。(×1000)







まじで、上記のように思っていたそうです(笑)






ちなみに、私たちはたくさんあるルートの中で、1号路を行った。


その1号路の坂道が、彼にはつらかったらしい。


最終的には、肉体的なダメージから精神的ダメージにまで発展したようだ。


登山した日の夜、要約すると、






『自分の心の弱さを思い知った。』






…というようなことがLINEで送られてきた。




「そんなにつらかった!?(笑)」

と、そのLINEを見た時はつい笑ってしまったが、よく考えたら、monbebeには確かにつらかったと思う。


彼は、徒歩3分のコンビニへも車で向かう男だ。

歩くの大嫌い。


すぐタクシー使う。


寒いのも嫌い。

冬は全身にホッカイロ貼ってる。


それが、めちゃくちゃな坂道をめちゃくちゃ寒風にさらされながら登ったのだ。


偉い。

彼は、すごいことを成し遂げたのだ。






それに単純に、自分は、自分が65歳になった時に高尾山登れる気がしないもん…!!!





monbebeは頑張った。








とりあえず、内臓が2つ無い私は、無傷で高尾山に行って帰って来れた。


行けるかなあ、と躊躇してる人がもしいるなら、こんな私でも登れたから、きっと大丈夫と言ってあげたい。


ただ、私はこの登山のために、2ヶ月みっちり減量したのと1日3時間ほどトレーニングしていた。


monbebeはもとから趣味がスポーツなので、日常的に走り込みをしている。




つまり、準備は必要だが…。





あの、

「世界はなんて綺麗なんだ!」

という感動。

あれは、何物にも代えがたい、価値がある。


紅葉が鮮やかな季節だから、低山や公園でも、味わえる気持ちかもしれない。


とりあえず外に出てみたら、いいことあるかも。








私は季節の中で、秋が一番好き。


この秋は、貧血にならなかった初めての秋!と言ってもいいくらいの、すごく元気な秋だった。


冬になる1歩手前の素敵な景色が見れて、嬉しかった。




勇気をだして手術して、良かった。








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― 新着の感想 ―
高尾山登山お疲れさまでした。 標高599メートルといっても、けっこう急な坂道だったり、 しっかりした山道だったり、油断はできない山ですよね。 昨年、富士登山した時の練習で何度か行きました。 家から…
こんにちは。 登山お疲れさまです! 今は景色がいいでしょう! 私も何度か高尾山に登りましたが、意外とハードだったのを覚えています。 何事もなくて、良かったです。
ああ、ひよっちゃう気持ちわかるなー。 けっこうまとまった額の図書カードを入手して、『何でも買えるぞ~!』と意気込んで大きな書店に行ったものの、結局迷って何も買わずということがありました(^^; …
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