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あるお家のお話

あるお家のお話です。


その家では猫が飼われていて、エサをあげるのは男の子の役目です。

猫はお腹が空くと、男の子に「にゃあ」と鳴いてみます。

すると、男の子はエサをくれて、猫は嬉しくなりました。

それで、別の時にも同じように「にゃあ」と鳴いてみましたが、

その時はエサはもらえず、代わりに優しく撫でてもらいました。

「なぜだろう?」と猫は不思議に思い、喉を鳴らしてみたり、

すり寄ってみたり、いろいろ試してみます。

でも、その結果はいつも違い、

猫は「どういうことなんだろう?」と思いながら、

今日もエサを食べていました。


ある日、男の子は母親に

「最近はとてもおりこうだから、静かに待っていられたら、

ご褒美をあげるよ。お昼には帰ってくるからね」と言われ、

留守番をお願いされました。

男の子は、「大人が考えることはよく分からない。

何をしても、良くないことが起こるかもしれないし、

何が正しいことなのか、悪いことなのかもよく分からない」と考えます。

そこで、できるだけ何もしないように、部屋の隅でじっと待つことにしました。

そうしているうちに、次第に眠ってしまいます。

その間、いつもの時間にエサがもらえなかった猫は、

カーテンを引っかいてみました。


日曜日の朝、母親は男の子に留守番をお願いして、教会へお祈りに行きます。

母親は、いつものように神様に祈ります。

「神様、お聞きいただけますか? 捨て猫を拾ってからだいぶ経ちますが、

息子は今でも猫を飼う前に約束した通り、

毎日決まった時間にエサをあげています。

時々、予定の時間でない時にもあげているようですが、

それだけ動物思いのやさしい子なんです。ですから、どうかお願いです。

息子がこれからも元気で、病気になることなく、

大人になっても幸せでいられますように。

その為にならわが身を惜しみません、どうかお守りください。」と。

祈りを終えた母親は、ご褒美を買って家に帰るのでした。


— おしまい —

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