表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

いつもの帰り道

作者: ツバメ

 同じ時間、同じ景色。変わらない日常。



「あ〜、終わった〜。」



 今日も仕事が終わるのが遅くなった。最近いつもこの時間に仕事が終わる。



「帰らないと。」



 いつもと同じ帰り道。この時間に帰るのが日常になっていた。きっとこのまま何も変わらず日々が過ぎていくと…



「あれ?」



 ふと、違和感があった。変わらない筈の景色が違って見えた。



「…う〜ん。」



 何か違う気がする。何が違うのだろう。



「…あぁ、そっか。」



 今日は私一人で帰っている。いつも友達と帰っているから違和感があるのだろう。



(本当に?)



「え?」



 誰かが言った。周囲には誰も居ない。



「…誰?」



 誰も応えない。怖くなって私は携帯を取り出そうとした。



「あっ、鞄忘れた…。」



 うっかりしていた。手に何も持っていない。きっと仕事場に忘れて来たんだ。



「…こんな日に限って。」



 私は怯えながら周囲を見渡す。今の所、何も起きない。でも、違和感だけはあった。夕日が差し込むこの帰り道で、一人で帰る事がこんなにも不安になるなんて、



(本当に?)



「…え?」



 また声が聞こえた。でも今度はその声より気になる事があった。




 そうだ、私は、




 ーーあの時、ちゃんと鞄は持っていた。



「なんで?」



 一度も忘れた事が無かった。それが今日?いや、確かに持って会社を出た。あの時はちゃんと持っていた。



「あれ?」




 その時気付いた。




 ーー此処はどこだろう?




「だ、誰か!」




 同じ景色に見えるのに、




「…どうして?」




 誰も居ない?こんな大通りで?




「…異世界?」




 きっと私は迷い込んだ。同じ景色の全く違う場所に、




「…家に帰らないと!」




 きっと出口はある。私は必死に出られる場所を探す。いつ迷い込んだかは分からない。何故私が異世界に…異世界?



(…本当に?)



「異世界?」



 違和感が拭えない、確信が持てない。でも何処からか聞こえる声が、はっきりと私の言葉に疑問を持つ、今の自分は何処に迷い込んだのだろう。



(……本当に?)



 何が、一体何が



(………本当に?)



 此処は、



(………此処は本当に貴方の知らない世界?)



「…え?」



 私の横を誰かが通る。



「…えっ、何で?」



 私の友達、会社の関係者が、私の横を素通りする。



「……あぁ。」



 その先には、



「…そっか。」






「私…()()()んだ。」






 沢山の人に見送られながら私が何処にいるか確信を持った。



 私が帰るのは家では無い。



 私が帰るべき世界は()()()の方だ。



「…還らないと。」



 いつもと違う帰り道、それに気付いた時、貴方はもしかしたら……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ