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最後の毒針

 海岸沿いの公道に攻撃ヘリのメインローターの回転音が激しく聞こえる。


 縦列複座形コックピットの前に座るオリゾン大尉が舌なめずりして30mmガスト式機関砲の引き金をひく。


「死ねい、海雲寺蒼太!!」


 対戦車用攻撃ヘリコプターの機関砲は二丁に見えるが砲身が二つで一門である。


 赤い照準レーザーにそってアストンマーティンのフロントガラスに弾丸が連続高速射撃された。


 短機関銃やベビーミサイルもはねのけた防弾ガラスも、蜘蛛の巣状のヒビが入ってしまった。


「くそっ!! これじゃ前が見えない!!


 蒼太は左手でフロントガラスを砕いて視界を確保し前方へ逃れた。


 車のフロントガラスは事故などで割れた場合、割れた破片が搭乗者を傷つけないよう、細かく割れて縁が丸くなっている。


 この改造アストンマーティンの防弾ガラスも同じだ。


「しぶといな……ならばロケット弾だっ!」


 英国車の背後を狙い、攻撃ヘリの小翼しょうよくにつけられたパイロンからロケット弾が発射された。


 英国車めがけて飛来し、蒼太がバックミラーを見ながらハンドルテクニックでかわす。


 数十秒前までいた箇所が爆発し、黒煙がたなびく。


 さらにロケット弾が二発、三発と連射。


 蒼太がS字走行でかわして難を逃れる。


「キショウメ!! ……血税道路が穴凹だらけじゃねえか!!!」


 頭に血がのぼるが、蒼太は冷静に状況を分析する。


「……高速運転で逃げてもすぐ真樽子漁港についてしまい、平穏な漁村に甚大な被害がこうむるな……ここでオリゾン大尉をやっつけておくか!」


 蒼太はUターンして車を止め、攻撃へりに対峙した。


 蒼太がフルフェイス・ヘルメットを解除し、布状になった薄い金属が詰襟に収納された。


 Mi―20NEも停止してホバリングし、蒼太とオリゾン大尉は生来の仇敵のごとくにらみ合う。


「AI、機関銃だ!!」


『了解しました』


 アストンマーティンのボンネットの真ん中の隠しハッチが開き、中からガトリング式機関銃が迫り出した。


 機関銃の弾丸がMi―20NEの縦列複座のコックピット目がけて撃たれた。


 が、後席の操縦士がそれを察して機体を横に向けた。


 Mi―20NEの前席は防弾ガラスで小さなひび割れが起こるだけ、重装甲の機体も、チタニウム製のローターにはガトリング砲も通じない。


「ちぇっ……ガトリング砲じゃ通じないか……只のヘリならイチコロだが、さすがは戦車退治用につくられたヘリだぜ」


「ぐはははは……なにをするかと思えばその程度か?」


 前席のミイラ男が哄笑した。


「そろそろ仕上げ時だ……ナパーム弾でバーベキューにしてやろうか……いや、こいつで粉みじんにしてくれるわい!!」


 オリゾン大尉がほくそ笑み、小翼のパイロンから飛翔体を発射させた。


 蒼太は渋い顔をして、英国車をUターンして逃れた。

 だが、さっきのロケット弾と違って、いつまでも追ってきた。


「くそっ……誘導ミサイルか」


 赤外線ホーミングで誘導されたミサイルは蒼太の車だけを狙って執拗に追いかける。


「死なばもろともだ……AI、虎の子の『毒針』を攻撃ヘリに照準させろ!!」


『了解しました……目標捕捉!!』


「発射!!!」


 ボンネットの隠しハッチが開き、細長いミサイルが発射された。


「一発限りの虎の子だ……当たってくれよ!」


 車から10m離れた空中でロケットモーターが点火され、超音速まで加速。


 オリゾン大尉にヘリの機械音声が、


『危険です……スティンガー・ミサイルです……回避してください!!!』


 Mi―20NE搭載の人工知能が危機を察知し、乗組員に注意を促す。


「なにっ!? やつも誘導ミサイルか!!!」


「しかも、Mi―20NEにとって天敵でもある、スティンガー・ミサイルであります!」


「ザンダーク曹長、回避だ!!」


「はっ!!!」


 オリゾン大尉は操縦士に命じ、機体を回避させ、太平洋へ向かって飛ぶ。


 だが、スティンガー・ミサイルも誘導ミサイルであり、猟犬のごとく攻撃ヘリを追いかけた。


 そのとき、ヘリ機体が大きく横揺れして、搭乗者が慌てふためく。


「うわわわわわわっ!!」


 最強の攻撃ヘリ・Mi―20NEにもウィークポイントがある。


 機体を急に旋回させると揚力が失われて大揺れしてしまうのだ。


 誘導ミサイルが攻撃ヘリに命中し、爆焔をあげて海底に落下していった。


「ミイラ男大尉め……水平線オリゾンの彼方に飛んでいきやがれ!!」


 ニヤリと笑う謎の高校生。


 アストンマーティンの背後に死の影が迫っていた。 


「イタチの最後っ屁ならぬ、マーティン最後の毒針だ……やれやれ……エスパーダ号が完成していれば、こんな苦労は……まあ、今となっちゃあ、ただの愚痴だな……」


 飲みかけのコーラを一口。


「まっ、毅さんのバアちゃんを下ろした後だったのが、不幸中の幸いだった……」


 蒼太はあきらめたかのように車を減速させたが、余力でガードレールを突き破って海へ向かって飛んだ。


 その車体めがけて、誘導ミサイルが命中し、大爆発を起こした。 



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