1/3

フレデリズム３

●どこかひねくれた感じの「踊れるロック」は非常に個性的だが、それゆえに似たような曲が多い印象が。

【収録曲】

１．ジャンキー

２．YONA YONA DANCE (フレデリズム Ver.)

３．熱帯夜

４．VISION

５．ラベンダ

６．サイカ

７．ANSWER x 須田（すだ）景（けい）凪（な）

８．サーチライトランナー

９．Wake Me Up

１０．Wanderlust

１１．YOU RAY

１２．蜃（しん）気（き）楼（ろう）

１３．TOMOSHI BEAT

１４．名悪役

　フレデリックがどういうバンドなのかは、今作を聴けばすぐに分かるのではないでしょうか。シンセサイザーをふんだんに用いたバンドサウンドと歌謡性の強いメロディを上手く組み合わせて、どこかひねくれた感じの「踊れるロック」を分かりやすく体現しており、どこを切り取っても彼ららしさが溢（あふ）れている作品になっていると言っても過言ではないでしょう。

　個人的なベストトラックは９曲目の『Wake Me Up』。どことなく不思議なリズムを聴かせながらも、途中で曲調が激しくなったり変拍子になったりと様々な展開が用意されており、最初から最後まで聞き逃せない楽曲になっているのではないでしょうか。

　このように、明確な個性を持ったバンドであることには違いないのですが、そういった「個性」に頼り過ぎて似たような曲が多い印象も受けました。例えば、『Wanderlust』や『TOMOSHI BEAT』に関して言うと、単体ではそれなりにインパクトはあるものの、今作には『YONA YONA DANCE』や『VISION』等といった似た系統でさらにインパクトのある曲が収録されているので、それらと比べるとどうも霞（かす）んで見えてしまうところがあります。

　まあ、「踊れるロック」を分かりやすく個性にしているので、曲調の幅を広げるのは難しいのかもしれませんが……そういった面を活かしつつ今後はどのような楽曲を届けてくれるのか、色々と注目していきたいところです。

評価：★★★★