1話
初投稿です。処女作な上に小説家になろう様に慣れてない為至らぬ所も多数あるでしょうがよろしくお願いします。
目が覚めたら、砂浜だった。
……どういうことだ!まるで意味がわからんぞ!
目の前に広がるは1面の夜空、そして起き上がった先には1面の海。どこだここ。というか服とか顔とか髪とかに砂つきまくってんですけど。うわ、口の中がジャリジャリする。
ここはどこ?私は誰?ここは海、自分は人間、よし、確認完了。
取り敢えず当たりを調べないことには始まらない。動くとしよう。偉い人曰く無人島に流れ着いたら海岸線をなぞっていけば誰かに会えるらしい。そもそも目覚める前までの記憶が無いしここが無人島なのかも分からんが。
……しばらく歩いてわかったことがある。まず1つ目は、ここが島ではないってこと。多分2時間……3時間?ちょっと歩いているが未だに終わりが見えない。延々と同じような光景が続くことから島と言うにはあまりにも大きすぎる気がする。
2つ目は、自分に関する記憶が一切ないということだ。自分の名前や出身、家族構成や友人の有無などetcetc……それら全てが思い出せないのだ。どうしよう、恋人とかいたら。
そして3つ目だが……
「GRRR……」
目の前にワニのような人の様なよく分からない謎生き物が見えるということだ。頭部や肌、腕や足などのパーツはまさにワニなのだが二本足で立って、なんか槍抱えているのだ。なんか同じ人という人種と言い張るには自分とフォルムが違いすぎる気がする。なんだあれ。
どうしたものか……とりあえず考えられるのは3択だ。
1:「ハッロー!」と叫びながら友好的に近付いてみる。
無理だ。そもそも俺はそういうキャラじゃないし、そもそも言葉が通じるかも分からない。下手したら敵対の挨拶と思われる可能性もある。
2:静かに素早く大人しく後ろへ後退する。
これは出来ればやりたくない。ここまでくそ長い道を歩いてきたのに再びそれを戻るのはしんどすぎる。
3:素通りする
ある意味これが最善策かもしれない。相手に関わらず、静かに大人しく通り過ぎる。自分は静かに先へ行くことができるし、向こうは変なやつに過干渉せずに済む。よし、ここは3:素通りするで行こう。
声もかけずに通り過ぎる。これが安牌だ。別に知り合いって訳でもないし話しかける必要なんてないのだ。そもそも知らない人、しかもめちゃくちゃ危なそうな人にに声かけるとかそんなことする方がアホなのだ。真に賢い人間はそういう危険に首を突っ込まずに生きるのだ。
無言でなんでもないようにワニ人間(言い難い)の前を歩いていく。
「……」
目が合った。やめろよ、こっちは陰キャだぞ、目合わされてもお辞儀ぐらいしか出来ないんだぞ、そうやって挨拶する事が良い事みたいな風潮を作るのは辞めるんだ。そういうことをするから陰のものが行きにくい世界が出来上がるんだぞ。
知らない人……人?と目が合った気まずさを1人味わいながら通り過ぎていく。良かった、向こうも同じ陰のものだったよう「GRRRRRAAAAAAA!」前言撤回どうやら陰のものでも陽のものでもなく獣だったらしい。とてつもない咆哮を上げながら槍を持って走ってきた。背筋に寒気が走り、反射的に走り出す。
全力で走る。後ろから重々しい獣の足音が聞こえてくる。冷や汗をかきながら走るが、必死に動かす足は砂を蹴るばかりで距離は空かず、獣の声と足音が段々と近くなる。このままでは近付かれて頭からがぶりと行かれるのは時間の問題だろう。イヤダー!シニタクナイ!シニタクナーイ!
……巫山戯てる場合じゃねぇ!死ぬ!
後ろから空を切る音がし、瞬間右脇腹をワ人間(比較的言いやすい)の持っていた槍が通り過ぎ、槍が砂浜に砂煙を立てて地面に突き刺さる。右脇腹に鋭い痛みが走る。掠ったようだ。刺さらなかっただけ幸運と思うべきか、掠ったことに恐怖を感じるか。
……一番の恐怖は今にも襲いかからんとするワ人間なのだが。どうする?今にもワ人間はオレサマオマエマルカジリしてきそうだ。
……しょうがない。勝てるか分からないが、やるしかない。
覚悟は決めた、ならば後は実行するだけだ。為せば成る、為さねばならぬ。
地面に刺さっていた槍を引き抜きながら振り向く。無理矢理方向を変えたせいで足首とか腰周りが悲鳴をあげるが脇腹の痛みに比べたら些細なものだ。咄嗟に構えた槍は飛びがかかってきていたワ人間の腹に突き刺さるが、改めて正面から対峙して分かる。このワニめちゃくちゃでかい。自分より一回りでかいワニに刺さった槍は致命傷には至らなかったようでワニの勢いは止まらない。槍はつっかえとなり噛みつかれはしなかったもののワニが俺にボディプレスする形となり、そのまま押し倒される。槍はへし折れ、ワニは倒れ込んだ状態で首に噛み付こうとしてくる。槍を持っていた手を離しワニの口を掴んで噛み付かれるのを必死に止めながらワニの腹に刺さった槍を膝で蹴り、更に深々と突き刺す。
「GRAAAAA!?」
さすがにワニも耐えきれなかったのか悲鳴をあげ、体を起こしながらも俺に向けて右手を払って来る。咄嗟に左手で防いだものの腕からは嫌な音がし、そのまま弾き飛ばされる。
左手は折れ、使い物にならない。使えるのは右手だけ。この状態でどうしたものか。
……ふと、脇腹から流れる血に目が行った。
「GARGAAAA!」
ワニが絶叫を上げながら再び飛び掛ってくる。果たして爬虫類に聞くのかは分からないが試すしかないだろう。ワニが俺に再び乗りかかろうとした瞬間、折れた左手を思いっきり横に振った。
「AGRAAA!?」
左手に付着させた血液は狙い通りワニの目に入ったようで、ワニが体制を崩す。瞬間あえてワニの懐に飛び込み、めり込んでいた槍を再び、今度は右手で思いっきり殴った。槍はさらに深くワニの腹に沈み込み、刺さった部分から血液が吹き出た。
「GA……A……」
ワニが倒れ込む。ピクリピクリと手足や尻尾が痙攣している。
……怖いから一応もう一度刺しておこう。
先程折れた槍の持ち手を拾ってきて、首に打ち込む。ワニの喉元は比較的柔らかかったようで多少の抵抗は受けつつも刺さり、ワニは1度ビクンと跳ねたあと動かなくなった。
なんとか危機は乗り越えたか……
……あ、やばい。血流しすぎた。というか今殺したのか……。
……取り敢えず、まともな人と会うか、安全な所へ……
ふらふらと歩き出すが視界はかすみ、真っ直ぐ歩けているかも怪しい。数歩もすれば砂浜に倒れ込み、意識が遠のいていく。
死ぬのだろうか。
遠のいていく意識の中、最後に聞こえたのは
「……!?……!……い!……」
人の声だった。