「4-7」
キャスティナは、重い瞼を持ち上げる。目に映るのは見知らぬ天井だった。
いったいここはどこなのだろう……。腕に違和感を覚え、自分の腕を見るとベッドの柵に手錠の様なもので括り付けられていた。
一気に意識を失う前の事が蘇る。そうだ私、誰かに拐われたんだ……。腕を引っ張ってみるがガチャガチャと手錠が手首に擦れるだけで抜ける気配が全くない。
「気がついたか」
キャスティナは、部屋に誰かいると思っていなかったのでびっくりしながら声のした方を見る。殺風景な部屋に真っ白のソファがあり誰かが、そこに座っていた。
「誰!」
キャスティナは、ベッドの柵に体を寄せ上半身を起き上がらせながら叫ぶ。
ソファーに座っていた誰かが立ち上がり、キャスティナの方を向いた。
顔を見た瞬間、キャスティナは驚き目を丸くする。
「なぜ、あなたが……」
そこに立っていたのは、この国の第二王子であるアラン・ロバーツ・フォルトゥーナだった。
「お前を俺の側室にしてやる。ありがたく思え」
ロバーツは、そう言うとにやりと笑いながら近づいて来る。
「何を言ってるかわかりません。私は、エヴァン様の婚約者です」
キャスティナは、意志の強い瞳でロバーツを睨みつける。
ロバーツがキャスティナの隣に腰をかける。
距離が近すぎて、キャスティナは後ずさる。
「俺のお手つきになれば、そんな婚約は破棄だろう」
ロバーツが、にやりと笑いながらキャスティナの頬に手を伸ばして来る。キャスティナは、嫌悪感が一杯でギュッと手を握る。
「触らないで!気持ち悪い」
パンっと、キャスティナの頬が叩かれる。
「気持ち悪いだとっ。誰に言ってるかわかってるのか!?」
ロバーツの表情が、余裕の笑みから激高に変わる。目を釣りあげ、キャスティナの頬に手を添え爪を立てる。ゆっくりと引っ掻いた。
「お前、今の状況がわかってるのか?子爵令嬢如きどうにでもなるんだよ」
頬がズキズキと痛む。大丈夫。絶対にエヴァン様が助けに来てくれる。それにロバーツ殿下は今、私の事を子爵令嬢と呼んだ。この人は、本当に何もわかっていない。こんな事をして、ただじゃ済まされないのは殿下の方。哀れみさえ思える程に……。
キャスティナは、今一度ロバーツを睨み付けた。




