表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密の多い令嬢は幸せになりたい  作者: 完菜
第四章 幸せにつながる道

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/106

【4-2】

 馬車がシェラード公爵邸に到着した。キャスティナは、エヴァンのエスコートで馬車から降りる。降りた正面には、とても立派なお屋敷が建ち並んでいる。大通りをもう一本進むと、王宮がある。王宮から最も近いこの区域に、四大公爵家の家がある。


 アイリーンお義姉様の実家である、グランウィル邸に行った時もあまりの大きさにびっくりした。これ以上びっくりする事なんてないだろうと思っていたキャスティナだったが、やはりシェラード邸にも驚きを隠せない。しかも、今回はここが自分の実家になるのだから尚更だ。


「キャスティナ、どーした?行くよ?」


 エヴァンが、馬車を降りて屋敷を見ながら止まっているキャスティナに声をかける。


「ごめんなさい。余りに立派なお屋敷でびっくりしちゃって」


 キャスティナは、恥ずかしそうにエヴァンに駆け寄った。


「やっぱり、一緒にコーンフォレス家に帰ろうか?」


「もう、エヴァン様。行きますよ!」


 一瞬、帰りたいかも……と思った事を隠す様にキャスティナはエヴァンを引っ張る様にして扉の前に立った。


 呼び鈴を鳴らすと執事が出てきて、応接室に案内される。執事に促される様に応接室に入ると、アルヴィンのご両親であるシェラード公爵夫妻とアルヴィンが待ち構えていた。


「キャスティナ、久しぶりだね。我が家に来るのを楽しみに待ってたよ」


 アルヴィンが、笑顔で出迎えてくれた。


 キャスティナは、三人に向かって綺麗なカーテシーをする。


「お久しぶりです。キャスティナ・ベル・シェラードになりました。これからどうぞよろしくお願いします」


 キャスティナは、顔を上げて新しい両親そして兄にとびきりの笑顔を向けた。


「うんうん。こんなに可愛い娘が出来て私も嬉しいよ。こっちに来て座って」


 キャスティナの新しい父になる、ダグラス・ベル・シェラードがキャスティナに自分の隣を勧める。


 いやいやいやいや。流石にそこは、ハードル高いでしょ!キャスティナは、心の中で叫ぶ。


 隣に立つエヴァンが挨拶をする。


「お久しぶりです。エヴァン・ウィリアーズ・コーンフォレスです。キャスティナをよろしくお願いします」


 エヴァンが三人に頭を下げる。


「ああ。エヴァン殿もいたんだね。キャスティナを連れてきてくれてありがとう。どうだろう、色々変更点もあって大変だろうから、私の娘であるキャスティナとの結婚は1年くらい延ばしても構わないよ」


 ダグラスが、エヴァンに笑顔で言い切る。エヴァンは、苦笑いだ。


「いえ、予定通り三ヶ月後でお願いします」


 エヴァンも負けずに、キッパリ言い切る。


「ふふふふふ。もー、ダグラスったらエヴァンをいじめたら可哀想よ。キャスティナが、可愛いからってしょうがない人ね」


 キャスティナの新しい母になる、シャルリーヌ・ベル・シェラードが楽しそうにダグラスを諫める。アルヴィンは、母親似だ。妖艶な笑顔と色気で、悩殺された男性がどれだけいたのだろうか?と一番最初に会った日にキャスティナは思った。


 こんなに素敵な女性が、母になるなんて畏れ多いと、その日の夜は興奮してなかなか寝付けなかった。


 2人は、シェラード夫妻の向かいのソファーに腰かける。


「ねぇ、キャスティナ。アルヴィンのお嫁さんで義娘になっても良かったのに……。私、残念で仕方なくて……。まだ間に合うわ!ダメかしら?」


 キャスティナに向かって妖艶な笑顔で、シャルリーヌが訊ねる。


 いやいやいやいや。そんな笑顔向けられても無理だし。一瞬「はい」って言いそうになる自分が怖かったし。


「ダメです。きっちり三ヶ月後にキャスティナは、私のお嫁さんです」


 エヴァンが、キリッとした顔で断固として断る。


「母上まで、全く。私もその案は大賛成だけど、そろそろ本当にキャスティナが困ってるよ」


 アルヴィンが、キャスティナに視線を送ってくれる。流石ですアルヴィンお兄様!とキャスティナも、視線を返す。


「もー、こんなに仲が良いのに!本当に残念!しょうがないわね。諦めてみんなで、お昼にしましょう」


 その後は、ダグラスもシャルリーヌもアルヴィンもキャスティナを実の娘の様に扱った。


 5人で楽しく昼食を食べた後、エヴァンが帰宅する。玄関まで見送りに出たキャスティナは、ちょっぴり寂しさを覚える。


「じゃあ、また休みの日に迎えに来るから街に行ってデートしよう。それまで、手紙を書くよ」


 エヴァンが、名残惜しそうにキャスティナの手を掴む。


「エヴァン様からの手紙楽しみです。私も沢山書きますね」


 キャスティナが、エヴァンの顔を見て笑顔になる。エヴァンが、キャスティナの頬にチュッとキスをした。


「じゃあ、またね」


 エヴァンが、馬車に向かって歩いて行く。馬車に乗る前にキャスティナに手を振ってくれたので、キャスティナも振り返す。エヴァンが馬車に乗ると、コーンフォレス家に向かって走り去って行った。キャスティナは、馬車が見えなくなるまで、見送っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 現実世界で言えば17、18世紀くらいの設定だと思いますが、なぜ電気通信機器(インターホン)があるのでしょうか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ