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秘密の多い令嬢は幸せになりたい  作者: 完菜
第三章 誰にでも秘密はある

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【3-26】

 リオンが出ていった後、リサがキャスティナに話しかけた。


「キャスティナお嬢様、デリック旦那様がお帰りになったそうです。お話出来るようなら、執務室にお越しくださいとの事です。どうしますか?」


「では、執務室に行きましょう」


 シンシア、リオンと続いて流石に疲れはある。でも、早くデリックに改めて謝罪したかったキャスティナは、笑顔で返事をする。


 リサも畏まりましたと頷き、執務室に案内してくれた。扉をノックする。


 コンコン


「どうぞ」中から声がする。


 キャスティナは、扉を開けてもらい部屋の中に入った。中に入ると、執務机に座って仕事をしているデリックの姿が目に入る。


「失礼致します。キャスティナです。お時間頂きましてありがとうございます」


 キャスティナは、デリックに向かってお辞儀をした。


「ああ、待ってたよ。そっちのソファに座ってくれ」


 キャスティナは、言われた通りに部屋の奥に置かれたソファに腰かけた。ほどなくして、デリックもキャスティナの向かいに腰かける。


「お義父様、この度はご迷惑とご心配をおかけして申し訳ありませんでした」


 キャスティナは、デリックに向かって深々と頭を下げた。


「無事だったから、良かったよ。今日は、ずっと謝ってばかりじゃないのかい?頭を上げなさい」


 キャスティナは、デリックの優しさに涙が溢れそうになる。ここに来てから、こんな事ばかりだなと気合いを入れる。泣いてる場合じゃないと。


「今日、王宮でアルヴィン殿が私の所に来たよ。どうやら、君は私達が思ってるよりずっと大きなものを背負っているらしいな」


 デリックは、難しい顔をしている。キャスティナは、頷くしかできなかった。


「四大公爵家から口止めされたなら、仕方ない。キャスティナは、何も言う必要はないよ。私も、王宮で話せる内容ではないと言われて大まかな事だけ聞いた。近いうちに、グランウィル公爵の所に行く事になってるね」


 デリックは、心配になる。この子はいったいどんな事を抱えているのだろう。見当もつかない。恐らく、この前エヴァンがケガをした事と関係あるんだろうが·····。


「はい。四大公爵家についての話があると言われています」


「そうか·····。私も一緒についていくから心配しなくて大丈夫だ」


 キャスティナは、それを聞いてとても安心した。一人で行くのは、心許なかったから。あんな大きなお屋敷で、この国のトップの貴族に囲まれる事は慣れそうにない。


「良かったです。皆さん、凄い方達ばかりで緊張してしまうので·····。お義父様が一緒なら安心です」


 キャスティナは、笑顔になる。キャスティナは、先程リオンと話した事を思い出した。折角だから、デリックに聞いてみようと思った。


「お義父様、先程リオン様と話したのですが、今度一緒に町に買い物に行ってもいいですか?私、弟とそういう事したことがなくて·····。出来れば行ってみたいのですが」


「リオンがそんな事言ったのかい?珍しいねー。いいよ。二人が予定が合えば行っておいで。一応、護衛はつけるよ。あっ、エヴァンにも一応話した方がいいかもね」


 デリックがなにやらニコニコしている。果たしてキャスティナとリオンの二人で、買い物に行くのを許すかな?と心の中で思う。


 キャスティナは、それを聞いて喜んでいる。今日、エヴァンが帰って来たら早速聞いてみますと嬉しそうだ。


「そうだ。キャスティナ。リオンに学校の事、何か言ったのかい?」


 キャスティナは、考える。学校の事?最初に庭でお茶を飲んだ時の話かしら?


「えっと。リオン様、学園に行くのを楽しんでなかったので·····。楽しい事を見つけてみたら?って言った気がします。私は、学園に行かせて貰えなかったので。行ける事って当たり前じゃないんだよって話しました」


「そうか·····。最近な、リオンの勉強に対する姿勢だとか友達に対する態度だとかが真摯になったんだよ。ジェラルドもアイリーンも喜んでいてな。どうもあいつは、昔から何に対しても冷めた所があったんだよ。キャスティナのお陰だな。ありがとう」


 キャスティナは、誉められる様な事をした覚えがなく、驚く。


「そんな。私は何も。リオン様は、真面目過ぎるだけですよ。少し遊び心を持ってもらったら、きっと毎日楽しいはずです」


「そうか、遊び心か。上手いこと言うな、キャスティナは」


 デリックは、やはりキャスティナの影響だったのかと納得した。リオンの見ていた世界はとても狭くて、自分に与えられるものは当たり前で勉強するのも義務だとしか思っていなかった。それが、キャスティナによって全部覆されて、リオンの中で衝撃が走った。本当に、いい影響を与えてくれたもんだと、デリックは嬉しく思った。


「これからも、リオンの良き姉であってほしい。よろしく頼む」


「こちらこそです」


 キャスティナは、笑顔で答える。


「もう、黙っていなくならないでくれよ。いなくなる時は、必ず誰かに言ってからにしなさい」


 デリックは、最後にこれだけはと念を押す。


「はい。必ず。では、私は部屋に戻ります。お時間頂きありがとうございました」


 キャスティナは、挨拶をして立ち上がる。


「ああ。また夕食でな」


 デリックは、キャスティナに笑顔を向けた。


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