【3-17】
キャスティナは、ソファに腰かけた。
居間には、デリック、シンシア、リオンがいた。ジェラルドとアイリーンとクリアは、夏の終わりに領地に戻ってしまったのでこの屋敷にはいない。リオンだけは、学校があるので残っている。
エヴァンもキャスティナの隣に座る。アルヴィンも帰るタイミングを逃して残ってくれて、一人掛けのソファに座った。
「今回は、ご心配とご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」
キャスティナが、深々と頭を下げる。そして、キャスティナは町での生活を話し出した。
「実は、私はこの5日間ウィードの町にいました」
「ウィードって、この王都の一番端にある平民の町?」
エヴァンがキャスティナに尋ねる。
「そうです。私、15歳の時から週に何回かその町で働かせて貰ってたんです」
その場にいた全員が驚く。
「働いてたって·····何をしてたの?」
エヴァンが驚きを隠せない様子で聞いてきた。キャスティナは、始めから話し出した。
家庭教師を辞めさせられてから、使用人の仕事を手伝っていた話はしたが、実はそれと平行して町に働きに出ていたのだと。もちろん屋敷の人達には、秘密で。もしかしたら、知られていたのかも知れないが、特に辞めさせるような事はなかったのでここに来る一週間前まで働いていたと。
働いていた場所は喫茶店で、日に4、5時間働かせて貰っていた。喫茶店のマスターは、ジーンと言ってとても尊敬出来る人であること。何も知らなかったキャスティナに、とてもよくしてくれて笑っていられる居場所をくれた。キャスティナの師匠であり兄でありとても大切な人なんですと。
働き始めた理由は、家から追い出されても生きていけるようにしたかった。それと、自分で使えるお金が欲しかったからだと。このままだったら、絶対に変な結婚相手をあてがわれて我慢する生活が目に見えていた。そんな人生絶対に嫌だと思った。だから働きたかったんだと。働いてみて、凄く楽しくて私には貴族として生活するより自分に合っていると心から感じていたこと。
コーンフォレス家に来て、みんなに大切にされて贅沢な暮らしが出来て幸せだった。だけど、生活の変化が急過ぎて息苦しくなっていたのも事実だった。本当は、もしコーンフォレス家で酷い事をされたら、そのまま実家に帰らないで平民として生きて行こうとさえ思っていたと。
今回、姿を消したのは少し休憩がしたくなった。どうしても許せない事柄が起こって、頭を冷やしたかった。ゆっくり一人で考える時間が欲しかったんですと。
キャスティナは、自分が思っていた事を包み隠さずみんなに話した。
話を聞いていた、誰もが言葉が出てこなかった。暫く沈黙が続いた。沈黙を破って、アルヴィンが口を開いた。
「キャスティナの話はわかった。一つ疑問なんだが、何故デズモンド様はキャスティナの居場所を知っていたんだ?そもそもデズモンド様とキャスティナは、知り合いだったのか?」
キャスティナは、ふっと笑みを浮かべた。
「秘密って言ってらしたけど、もうしょうがないですよね?今日、迎えに来てくれるまでデズモンド様だって知らなかったんですが·····。実は、デズモンド様は私が働いていた喫茶店の常連さんだったんです」
「「「「はっ?」」」」
四人一斉に、驚きの声を上げる。




