【2-32】
「キャスティナ、大丈夫だった?」
エヴァンが心配そうに訊ねる。
「え?大丈夫ですよ?突然、アラン殿下がいたのでびっくりしただけです。そんな事よりエヴァン様、アルヴィン隊長、凄かったです。もう、瞬きするのも忘れるくらい見入ってしまいました。ねっ、アイリーンお義姉様」
キャスティナが、エヴァンとアルヴィンにキラキラの視線を向けた後にアイリーンに興奮した様子で同意を求める。
「ええ。本当に凄かったわ。私なんて息するのも忘れてた程よ」
アイリーンも興奮していた。キャスティナと同じ様に、キラキラの瞳でエヴァンとアルヴィンを見ている。
「義姉上、キャスティナみたいになってますよ」
エヴァンが、アイリーンを見て笑っている。
「まあ。私ったら、年甲斐もなく恥ずかしいわ。アルヴィン隊長、お見苦しい所をお見せして申し訳ありません」
アイリーンが顔を赤くして、扇子で隠している。
「いいえ。慎ましやかな女性で有名な、アイリーン様の可愛らしい一面が見られて嬉しいですよ」
アルヴィンが魅惑の微笑でアイリーンに微笑む。アイリーンが、扇子を落としそうなほど衝撃を受けているのがわかる。お義姉様、わかります。アルヴィン隊長の微笑みは、破壊力が凄いのです!っと心の中でキャスティナは呟く。
「キャスティナ、君って子は、アラン殿下をそんな事って片付けたね」
アルヴィンが、可笑しそうに笑っている。キャスティナは、ハッとする。一国の王子に対して言う言葉じゃなかった·····。
「アルヴィン隊長、ごめんなさい。王室の方に失礼でした」
キャスティナは、しゅんとして肩を落とす。
「ああ。違う違う。キャスティナは、全く王子に興味がないんだと思って。人気があるんじゃないのか?王子ってのは?なぁ、エヴァン」
アルヴィンは、笑ってエヴァンを見る。
「そうですね。若い女性は、興味が湧く方でしょうね?」
エヴァンも、アルヴィンに同意する。キャスティナは、二人の言葉を聞きキョトンとする。
「興味ですか?全くです。むしろ、お近づきになりたくないです」
キャスティナは、さらっと悪気なく述べる。
「あははははは。最高だね。キャスティナ」
「アルヴィン隊長、笑いすぎです」
キャスティナが、怒った顔でアルヴィンを見る。
「ごめんごめん。そうだ、キャスティナ。キャスティナは、僕の妹分なんだからお兄様って言ってごらん」
アルヴィンが、にっこり笑顔でキャスティナに言う。アイリーンもエヴァンも驚いている。キャスティナは、本当にいいの?とばかりに喜んでいる。キャスティナが、エヴァンを見る。エヴァンは、苦笑いだ。
「いいだろ。エヴァン。妹として可愛がるぐらい」
「わかりました。あくまでも、妹ですよ!」
エヴァンが、妹を強調する。キャスティナは、エヴァンの許可が出たのでさっそく口にする。
「アルヴィンお兄様、また遊びに来てもいいですか?」
キャスティナが、本当に嬉しそうに笑顔を溢してアルヴィンに聞く。
「お兄様かぁー、いい響きだねぇー。もちろんだよ、キャスティナ。またおいで」
アルヴィンが、キャスティナの頭を撫でる。
すかさず、エヴァンがキャスティナの腕を引っ張って自分の元に寄せた。
「アルヴィン隊長、触るのはやめて下さい!」
エヴァンが、アルヴィンに怒る。キャスティナは、びっくりしている。
「ふふふふふ。全く、私の義妹は大物ね。そろそろ、お暇いたしますわ。お忙しい所、見学させて頂きありがとうございました」
アイリーンが、アルヴィンに向かってお辞儀をする。
「いえ、わざわざ訓練場まで足を運んで頂きありがとうございました」
アルヴィンが、アイリーンに向かって一礼する。
「アルヴィンお兄様、今日はお呼び頂きありがとうございました。お陰で、エヴァン様の貴重なお仕事風景が見られました」
ふふふー。と嬉しそうにキャスティナは、エヴァンの顔を見る。エヴァンは、キャスティナとアルヴィンの仲の良さにイライラしていたが、途端にそんな気持ちも吹き飛ばされた。その一連の会話を聞いていたアイリーンは感心する。これが、計算ではないのよね·····恐ろしい子!
「では、行きましょう」
アルヴィンが二人に向かって言う。
「え?アルヴィン隊長が、送って行かれるんですか?私が行きますよ」
「いや、流石にエヴァンは戻らないと不味いだろう。私が馬車まで送って行くから安心しろ」
エヴァンは、面白くなさそうだが渋々了解する。
「では、よろしくお願いします。義姉上、キャスティナ気を付けて帰るんだよ」
エヴァンは、二人に一礼して颯爽と仕事に戻って行った。
馬車の所まで、アルヴィンが二人を送ってくれた。先にアイリーンを、アルヴィンがエスコートして馬車に乗せる。キャスティナは、わざと馬車から少し離れた所でアルヴィンを待つ。アイリーンを乗せると、アルヴィンがキャスティナの所に来る。
「どうした?キャスティナ」
アルヴィンが、キャスティナに心配そうに訊ねる。
「アルヴィンお兄様。もし大切な人が、酷いケガをしたら私を呼んで下さい。もし、信じてくれたらきっと役に立ちます。アルヴィンお兄様なら、私を上手く使ってくれるかもしれない」
キャスティナが、アルヴィン以外に聞こえない様に小さな声で言う。
「それは、エヴァンには秘密か?」
「私とアルヴィンお兄様だけの秘密です。守って頂けたら、詳しいお話を致しましょう」
キャスティナは、いたずらっぽく笑って馬車へと歩いていく。アルヴィンが、エスコートしてキャスティナを馬車に乗せた。




