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秘密の多い令嬢は幸せになりたい  作者: 完菜
第二章 貴族としての生活

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【2-29】

 王宮に到着すると、キャスティナとアイリーンは庭園へと案内された。夏も終わりに近づいていると言うのに、色とりどりの花々達が咲き乱れていた。キャスティナは、声には出さなかったが、何て素敵なのかしらと心の中で興奮していた。


 案内された場所には、素敵なガーデンテーブルとイスがセットされている。テーブルの上には大きなパラソルもあり、日よけも完璧だ。キャスティナと、アイリーンはイスに座った。そこで、キャスティナは気付く。何でイスが4つなのかしら?と。何だか嫌な予感がする。そんな事を考えていたら、執事らしき男性がサディアス殿下夫妻がいらっしゃいましたとキャスティナ達がやって来た方向を指し示した。


 キャスティナは、絶句する。サディアス殿下夫妻だと?私、聞いてないしーと心の中で叫ぶ。完全に気を抜いていたキャスティナの表情が、一気に引き締まり余所行きの顔となる。アイリーンとキャスティナは、立ち上がり二人に挨拶をした。


「サディアス殿下、セリア殿下、この度はお茶会にお招き頂きありがとうございます。こちらは、義理の妹になりますキャスティナです」


 アイリーンが綺麗なカーテシーをした。


「キャスティナ・クラーク・エジャートンと申します。サディアス殿下、セリア殿下、この度は、お茶会にお招き頂きありがとうございます」


 キャスティナは、いつもの笑顔ではなく貴族らしい感情を面に出さない笑顔でカーテシーをする。


「すまないな。姉妹のお茶会に急遽、参加して。そんなに畏まらなくていい大丈夫だ。取り敢えず、座ってくれ」


 サディアスは、和やかな雰囲気を出そうとしていたが目が全く笑っていない。サディアスとセリアが座るのを確認してからキャスティナとアイリーンもイスに座った。


「今日は、天気が良くて良かったわ。ごめんなさいね。二人とお茶会するって言ったら、サディアスも行きたいって言い出して。キャスティナ、そんなに緊張しなくて大丈夫よ」


 セリアが、キャスティナに微笑みかける。キャスティナは、名前を呼んでもらった事やセリアの微笑みに感動し叫び出したいぐらいだった。が、ぐっと堪えて控えめな笑顔で返答する。


「ありがとうございます。セリア殿下」


「君がエヴァンの婚約者なんだろ。やっと会えたよ。この前は、邪魔が入ったからね」


 サディアス殿下が、ニヤリと笑った。

 キャスティナは思う。ああこの人、やっぱりダメだ。どうしても好意を持てないと。


「先日は大変失礼致しました。私も、サディアス殿下にお会い出来て嬉しいです」


 キャスティナは、出来るだけ感情を表に出さない様に気を付け淡々と答える。


「何だか思ってたより、普通の令嬢だな」


 サディアスが、詰まらなそうに言う。


「サディアス、失礼よ」


 セリアが、怒って言う。


「ああ。悪い。では、そろそろ行くよ。三人は、ゆっくり楽しんで」


 サディアスが立ち上がったので、キャスティナとアイリーンも立ち上がり一礼する。それを見て、サディアスはスタスタと来た道を去っていく。途中で止まったかと思うと、「エヴァン行くぞ」と言う声が聞こえた。


 えっ?エヴァン様?っと、キャスティナは驚く。ガサガサと音のする方を見ると、エヴァンがサディアスの後に付いて去って行ってしまった。


 ああ、本当に嫌。絶対これわざとだ。確かにエヴァン様の仕事は、サディアス殿下の護衛だから近くにいないとおかしいんだけど!そんなの気付くはずないし!なぜ、わざと遠くに待機させるのよ。っとキャスティナのサディアスに対する評価は、最初から悪いのに浮上出来ないくらい急降下した。


「アイリーンもキャスティナも座って」


 アイリーンもキャスティナも、ハッとしてイスに座り直す。二人が座ったのを確認すると、素早くお茶の準備が始まった。侍女がカートに乗せて、沢山のお菓子を運んで来た。


 三人とも、お茶を一口飲む。


「アイリーンお義姉様、美味しいです。凄く美味しい」


 キャスティナは、お茶のおいしさに感動してすっかりいつものキャスティナに戻っていた。


「クスクスクス。キャスティナったら、さっきと随分印象が違うのね。それに、アイリーンお義姉様かぁー。私の可愛い妹が、お義姉様って呼ばれてるなんて複雑だわ」


 セリアが、二人を見てニコニコしている。


「すいません。サディアス殿下がいらっしゃると思わなくて、失礼な事があってはいけないと緊張してしまいました」


 キャスティナは、しゅんと落ち込む。


「大丈夫よ。キャスティナ。ちゃんと出来てたわよ。セリアお姉様、ついに私にもこんなに可愛い義妹が出来たんです。今日は、自慢しに来たのよ」


 アイリーンが、セリアに笑顔で言った。キャスティナも、アイリーンの言葉に立ち直る。


「何だか二人とも本当の姉妹みたいでずるいわ。私も仲間に入れて!キャスティナ、私の事は、セリアお義姉様って呼ぶのよ」


 キャスティナは、びっくりする。私なんかが、皇太子妃様の事をお義姉様って呼んでいいの?良いわけないよね?とアイリーンお義姉様を見る。アイリーンは、大丈夫よっとばかりに笑顔で頷いている。キャスティナは、戸惑いながら口にした。


「セリアお義姉様。妹分としてよろしくお願いします」


 キャスティナは、溢れるばかりの笑顔でセリアに言う。


「アイリーン!可愛いわ!可愛い妹が、二人も出来てしまったわ。キャスティナ、そんなに可愛い笑顔を、意地悪なサディアスに見せる必要なんてないわ。さっきの対応で充分よ」


 三人は、顔を見合わせて声を出して笑った。



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― 新着の感想 ―
[一言] 優等生…を読んでからこちらにきました(*^^*) 難しい事はわかりませんが、やはり感性で好きです。 つぎから次へと手が止まらなくなります。 非日常世界へと連れ出してくれてありがとうございます…
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