【2-21】
キャスティナは、なんだか凄く疲れてしまった。コーンウォレス家に来て二ヶ月近くが、経とうとしていた。
最初の一ヶ月は、夜会やお茶会に出席するために必死に礼儀作法やダンスを学んでいた。目標があったから、がむしゃらに頑張れていた。しかし王宮の夜会に出てトラブルに巻き込まれて、自分で思ってるよりも疲労感が半端なかった。貴族としての生活に息苦しさを感じ、キャスティナは疲れ果てていた。
コルセットを締めてドレスに身を包んで、高いヒールの靴を履いて歩く。本音を繕った貴族的な会話をして、ふとキャスティナは何で自分はこんな事をしているのだと疑問を感じてしまった。楽しくない。全然楽しくないと。ジーンのいる、喫茶店が懐かしく思う。あのお店で働くのは楽しかったなぁーと、自分の部屋でお茶を飲みなから溜息を吐いてしまう。
ここ最近の元気のない様子を、リズとリサは心配していた。行儀作法を学んでいたキャスティナは、それに必死で何も考える暇もなかった。しかし、夜会に出て花嫁修行が一段落してから張り詰めていたものが、切れてしまった。目標にする物がなくなってしまい燃え尽きてしまったのだ。夜会では、めんどくさい事に巻き込まれ楽しい思い出にならなかった事も輪をかけて落ち込ませていた。
その日の夜にエヴァンからキャスティナに、提案があった。この前の夜会では、エヴァンの親しい人にキャスティナを紹介する前に帰る事になってしまったから、もう一度夜会に出てみないかと。あの後も沢山の招待状をもらっていたが、あれだけ気合を入れていった夜会での出来事が残念過ぎる結果に終わり、二回目の出席が重くなってしまっていた。
今度、エヴァンの上司である第一騎士団の副隊長主催の夜会があるんだそう。エヴァンの仕事仲間もたくさんくるし、その婚約者や奥さんも来るからきっとキャスティナの友達になれそうな令嬢との出会いがあるかもと言うエヴァンの気遣いだった。
「この前、紹介出来なかったからみんな煩いんだよ。キャスティナを紹介しろって。あの時、ダンスを踊ってるのは見たみたいで、ちゃんと挨拶に連れて来いって。副隊長主催だからそんなに規模も大きくないしどうかな?」
キャスティナもエヴァンの仕事仲間には、興味があった。もしかしたら、エヴァンの友人の婚約者や奥さんなら友達になってくれる令嬢がいるかも知れないと思ったからだ。キャスティナは、貴族令嬢の友達が欲しかった。学園に行かなかった為に、同じ年代の子と知り合うきっかけが全くなかったからだ。同じ年代の令嬢と、他愛のない話をしてみたかった。
「エヴァン様、ありがとう。私、その夜会行ってみたいです。今度は、お友達作りたいです」
エヴァンは、キャスティナの返事を聞いて安心した。今度こそ楽しい思い出を作ってあげたかった。最近のキャスティナの元気の無さにエヴァンも心配していたから。




