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始まる創作、繋がる箱庭
さぁ、スタートラインだね?
辺境の何処か、ステレオタイプの塔の一室。
「さぁ!始まってしまったぞっ!始めてしまったからには戻れなーい!」
湧き出る不安をかき消すように、期待と好奇心を込めて叫ぶ。
やっと動いたような、早すぎるような、なんとも足元が覚束ない。
「まぁ、まだまだ準備中だし時間はある、多分。」
ちょっと一息落ち着いて、さぁ次の動きを考えようか。
「目指すのはこの箱庭の周知、彷徨う箱庭たるここが、錨を下ろす事。」
目的の再確認を口に出す、曖昧で、あやふやで、ふわりと形が安定しない此処を確かな物にする。
箱庭遊びと言われたら、そうかもしれない。
「でもさ、寂しいだろう?」
見慣れた天井さんにポツリと一言、そう、寂しい。
かつて幼かった貴方が残したこの辺境は、何も無いから。
最早役目を終えたなら、残りの時間で次を探すのもアリだろう?
「だからこれが、最初の一歩さ。」
ここから始まる旅路が、実りのある物である事を、私は強く願った。