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泡沫羊は夢現  作者: 羊印の愉快犯
どこかの辺境と羊と愉快犯。
5/11

書庫の中、ランプの灯りと捲れる音

終った話、それぞれのその後

―パラリ…   ―パラリ…  ―ジジッ  ―……パラリ…



ランプの灯りが揺れて、少し頁を捲るリズムが遅れる。

恐らくは文字が見づらかったのだろう。

それは壁が全て本棚になった書庫だった、日に焼けるのを防ぐためか窓は全て閉じ切られている。


「…………。」


端から端まで行くのに少々労力が要りそうな広さの書庫、その奥に彼は居る。

無言でただ本を読む彼は三葉(みつは)、屋敷の住人の一人で基本的に何も喋らず本を読んでいる。


「……っ、ぁ。」


固まった身体をほぐすため、伸びを一つ。

どれだけの時間を書庫で過ごしたのか、彼は覚えていない。

彼にとって本を読む事と、()()()本を読んだり静かに側に居る事以外は価値が無いからだ。

そして、多分もう一緒に静かな時間を過ごす事は無いので、彼は本を読む。


「……………。」


―パラリ… ―パラリ…


今日も書庫には沈黙と、紙の捲れる音だけがある。

彼は何時も其処に居て、本棚から本を取り出したり戻したり、書庫の奥で本を読む。

いつかの情景は帰らない、あの心地よい静かな時間はもう無い。

だからそんなかつての思い出に近い沈黙と静寂に、少しだけ救いのような何かを…感じるのだ。


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