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29話 雪の妖精

ご静聴のほどよろしくお願いします。

俺たちはなんとも言えないクエスト依頼を受け、7階層に向かった。3階層で灼熱地獄に遭い、挙句に7階層で氷結地獄に遭ってしまっていた。今まで、かいてきた汗が寒さで凍り、まるで氷を身体にまとっている状態になっていたのだった。



俺たちは寒さを堪えていた。

すると、前方にひらひらと飛んでいるモンスターが複数いた。

あれが〈モルメル〉という討伐モンスターだろう。

この〈モルメル〉というモンスターは冬を長くするという言い伝えがある。

そのため、農家の人や家畜を育てている人たちがとても困っているらしい。

いち早く、冬の時期を終わらせるために〈モルメル〉の討伐を依頼を出したのだ。

まぁ、俺たちは倒せば倒すほどゴールドが貰え、農家の人や家畜を育てている人たちは大いに喜ぶ。

まさに、win-winの関係だ。

〈モルメル〉はあまり強くない。

ランク付けすると...Eランク相当だろうか。

Eランク相当とは、人身に害はなく、とても弱い。

だが、〈モルメル〉の生息しているエリアはこの通り、とてつもなく寒い。

そのため、この依頼を受けたがる人がいないのだ。

そして、年々、冬の時期が長くなっているそうだ。


早速、〈モルメル〉の討伐に取りかかった。

俺はユニークスキル〈火炎地獄〉で一掃しようと発動する。

しかし、よく見てみると〈モルメル〉はとても綺麗だった。

雪が降り注ぐ中、虹色に輝く綺麗な花を羽ばたかせ、踊りを踊っている様子に見えたのだ。

そして、俺は〈火炎地獄〉の発動をやめた。


(だって、こんな綺麗なモンスターを焼き尽くすのはもったいない!)


とそう思ったからだ。

そして、どうにかして〈モルメル〉を倒さずに農家の人たちを喜ばす方法を考えた。

しかし、いい案が思い浮かばないまま、身体の体温を奪わられていった。

・・・すると、


「「そこの旅のお方.....」」


とどこかから声が聞こえた。


「・・・エマ。今、何か言ったか?」


そうエマに聞くが「何も聞こえませんでしたよ」と返答が返ってきた。同様にアリスにも聞くが、同じ返答だった。

最後にトライドに聞いた。

「私モ聞コエタヨ」

と返答が返ってくる。

どうやら、トライドにも聞こえていたらしい。

さすが、トライドだなっ!!!と俺は心の中で関心していた。


そして、俺とトライドは辺りを見渡した。

すると、不自然に蒼白く輝く場所があった。

俺たちはその蒼白く輝く場所に歩み寄った。

・・・なんと、そこには人がいた。それに美人だった。


「私はスノー=アイズ=ホワイトと言います。この〈モルメル〉たちの主人あるじをやっています」


モンスターにしては流暢な喋り方だった。

トライドと初めて会話した時はカタコトだった。

・・・本当にモンスターなのか....。

と俺の中で疑問が生ませた。


「トライド。あの人は人間か?」


俺は確認の為、トライドに聞くことにした。


「イイエ、アレハ私ト同ジモンスターデス」


ということは、トライドと同じ高い魔力を持ったモンスターなのだろうか。

・・・会話も出来ているし....。


「そうです。私はモンスターです。今は人間化しています」


ーー心が読まれた....!?

でも、おかしい点が1つある。

トライドは人間化して俺以外の人々と会話する事が出来ている。だが、ホワイトは俺とトライド以外には声が聞こえていない。

ーー 一体、何故なのだろうか....。


「お答えします。そこにいるトライド様より魔力が遥かに劣っています。なので、貴方とトライド様だけにしか聞こえていないのです」


ーー また、心が読まれた.....!!!

さっきから、俺が心の中で考えたことを読まれている。

心を読む能力があるのだろうか.....。


「ホワイトさんは心を読む事が出来るんですか?」

「はい、出来ます。トライド様のように圧倒的な魔力はありませんが、他人の心を読む事ができるスキルを保有しております」


だから、心を読む事が出来ていたのか。

・・・さっきから、トライドのことを「トライド様」と言っているが、2人は知り合いなのだろうか。

(ホワイトさん、聞こえているんでしょ。教えてもらえることはできませんか?)

すると、

(はい、分かりました)

と返事が返ってきた。

だが、俺以外には聞こえていない様子だった。

トライドは....聞こえていないようだ。

(トライドが聞こえていないようですか...?)

(これは〈テレパシー〉というスキルです。発動した対象にしかこの私の声が聞こえていません。なので、今、私の声は貴方にしか聞こえていません)

(・・・なるほど...)


「ドウシタノ?2人デ見ツメアッテ」


様子のおかしい俺たちに気付いたのか、トライドがそう聞いてきた。


「な、なんでもないよ!」


俺は慌てて返答した。

「ソウナンダ」とトライドはまだ疑っている様子だったが、どうやら、納得してくれたようだ。

とりあえずは一安心だな。

そう思った俺は本題へと戻った。

(本題へと戻りますが、トライドとは知り合いなのか?)

(知り合いといいますか、私はトライド様の右腕としておつかえしていました。そして、トライド様は何千人という部下を従わせ、北にある〈ブエスティール〉を支配していました)

・・・〈ブエスティール〉?

〈ブエスティール〉といえば魔王城があると聞いた事がある。

トライドはその〈ブエスティール〉を支配していた!?

・・・ということは....。

ーーいや、これ以上、詮索するのはやめよう。

トライドが話してくれるその日まで待つことにしよう。

そう思った俺は話の途中であったがやめたのだった。


ご視聴ありがとうございます。

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