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26話 漆黒の悪魔

ご静聴のほどよろしくお願いします。

俺たちはケイリーちゃんの居場所を与えることに成功した。そして、クエスト討伐のため、6階層へと向かった。



6階層は至って平和なエリアだった。

辺り一面、草木が生い茂り空気が澄んでいてとても心地がいい。

それにほどよいくらいの日差し.....。

今にも眠りたい気分だ。

ーー まぁ、一眠りはいいよね。

俺は草原に寝転んだ。

周りを見渡す限り、モンスターはいない、多分。

6階層に来るまで1時間くらいかかった。

それに、3階層の暑いエリアも通らなければならない。

俺たちはクタクタだった。

そして、1分の経たず、眠りについた。


「う、うぉぉぉぉぉおお///」


突然、強烈な快感が襲った。

俺はその正体を知るべく、重たいまぶたを開けた。

すると、植物系モンスターが俺の体力を吸っていた。

当然、俺はダメージを喰らわない。ユニークスキル〈苦痛の加護〉によって。


ーー うむ、なんていい快感なんだ。


俺は呑気のんきにそう思っていた。

すると、だんだん敵が集まってきた。

気づくと俺たちは囲まれていた。


気色悪い触手でこちらに攻撃してくる。

エマとアリスは「きゃぁぁぁああ!!!」と悲鳴をあげている。トライドは・・・まだ寝ていた。

ーー触手プレイとはいい度胸じゃないか!!!!

でも、いい光景だな...グフフ...。


・・・冗談はさておき、これが例の〈ドレイン〉というモンスターだろう。

よーし、さっさと片してしまおうか!!!

俺は植物系モンスターに相性のいい火属性魔法の〈火炎地獄〉を発動させた。

この〈火炎地獄〉という魔法はユニークスキルだ。

なぜか、知らぬ間に獲得に成功していた。


そして、その魔法で〈ドレイン〉を一掃した。

クエスト完了!!!


「よし、帰るぞ!!・・・おい、どうした?」

「どうした?じゃないでしょう!!!」

「そうですよ!!!」


エマとアリスが怒っている。

・・・なぜなのだろうか。


「その魔法があるなら早く倒してくださいよ!!!おかげで身体中、ネバネバした液体でいっぱいですよ!!!」

「なんだ、そんなことか」

「なんだ、そんなことか・・・じゃないです!!!」

「いい光景だったぞ!!!」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・ごめん」


なんやかんやありながらもクエスト討伐に成功した。

そして、俺たちはギルドへと戻った。



なんだか、ギルドが騒がしい。

なにか、出し物をしているのだろうか。

すると、エイミーさんが慌ててこちらへと走ってくる。


「タケルさん!大変です!!!」

「どうしたんですか?」

「ベリン=ラグドール様がタケルさんに用事があるようです!しかも、怒ってる様子でした...何したんですか!?」


ベリン=ラグドール?

あー、街中で出会ったうんこ坊ちゃんか。


「街中で恥ずかし目を受けてもらいました」

「・・・あ!思い出した!」


とエマがなにか思い出したようだ。


「ラグドールって聞いたことあるなって思ったけど、あのラグドール公爵家のことだったのか」

「公爵家?」

「はい。正直、面倒臭い家柄です」


「貴様ぁぁぁぁぁあああ!!!!!」


ギルドの扉を勢いよく開け、ベリン=ラグドールが飛び出してきた。

どうせ、要求は.....、


「ケイリーを返せ!!!」


・・・やっぱり。

どうして、ケイリーちゃんに執着するのだろうか。

公爵家ならメイドとかいるだろうに・・・。

当然、俺は「無理」ときっぱり断った。


「貴様、いい度胸じゃねぇか!!!」

「・・・・・」

「貴様、ケイリーの正体を知っているのか?」

「・・・正体?」

「その様子じゃ知らないようだな。特別に教えてやる」

「ケイリーはケットシーの中でもとても希少種なんだよ」


・・・希少種?一体、なにを言っているんだ?こいつは。


「ケイリーは1000年に一度生まれてくるかわからない〈漆黒の悪魔〉なんだよ」

「!?」


エマは驚愕していた、

エマだけじゃない、周りにいる全ての人々が驚愕している。

俺は状況を理解出来ない。

なぜ、みんながこんなに驚愕しているのか。


「・・・エマ。〈漆黒の悪魔〉ってなんだ?」

「えっ!?知らないんですか!?!?」

「恥ずかしながら.....」

「〈漆黒の悪魔〉っていうのはケットシーの最強の種族です。強大なほどの魔力を保有し、それは魔王にも匹敵すると言われています。それにカリスマ的な知識力・・・。まだ、謎に包まれたままですが。・・・本でしか読んだことなかったのでまさか〈漆黒の悪魔〉が存在するとは・・・」


どうやら、ケイリーちゃんは危ない存在らしい。

・・・でも、俺はそうは思わない。

だって、ケイリーちゃんはケイリーちゃんだから。

少し、無愛想だけど、それでも、一生懸命頑張っている。

だから、絶対にラグドールになんか渡さない。


「どうだ?ケイリーは怖くなっただろ?」

「そうは思わない」

「・・・なに!?」

「だから、お前になんか渡さない!!!」

「・・・き、貴様ぁぁぁぁぁあああ!!!!!」


すると、ラグドールは腰に巻いていたつるぎさやから抜き、襲いかかってきた。


(そういえば、試したいユニークスキルがあったんだった)


そして、俺はユニークスキル 〈超減速スローモーション〉をラグドールに向けて発動した。


(・・・おっそ!!!!)


ラグドールの動きがゆっくりに見えた。

俺はラグドールの首にチョップを入れた。


「うごっっ」


すると、ラグドールは気絶した。

・・・弱!軽く入れたつもりだったんだけど。


まぁ、倒したのはいいけど、どこに運べばいいのか...。

すると、ラグドール公爵家のメイドたちが来た。


「すみませんでした。うちのお坊ちゃんがご無礼を...」


メイドたちは深々とお辞儀をして去っていった。

・・・まぁ、これで一件落着かな...??


エイミーさんの後ろに隠れていたケイリーちゃんが俺の所に来て...、


「・・・ありがとう」


と一言言った。

ケイリーちゃんの笑った顔を見て、

俺はホッコリした。


ご視聴ありがとうございます。

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