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18話 寂しがり屋さん

ご静聴のほどよろしくお願いします。

俺はモンスターと会話が出来るユニークスキル 〈会話術〉を獲得し、〈ジャイアント・トライド〉と話し合いをすることを決意したのだった。



〈ジャイアント・トライド〉はその場に座り込んでいる。

本当に敵対したい訳じゃないらしい。

ならば、なぜ、初心者の冒険者の巣窟である1〜5階層まで下りてきたのかを聞く必要があった。

一体、どうしてなのだろうか。


「はじめまして、タケルって言います」


俺は手始めに自己紹介をしてみた。

本当にモンスターとできるのか、未だに半信半疑だった。


「私ハ、〈ジャイアント・トライド〉ト言イマス」


やはり、会話が出来る。

はっきりとその声が聞こえた。


ーーそれにしても丁寧な自己紹介だな。

普通は偉そうに、語尾に〜ダ、とか言いそうだけど。

まぁ、そんなのはどうでもいいか。


その光景を見ていたエマとアリスは不思議に思ったのだろう。俺に、


「なに、独り言してるんですか」


と聞いてきた。

それもそうだろう。

普通はモンスターとの会話は出来るはずがない。

エマとアリスには独り言に見えているようだった。


・・・モンスターと会話している、なんて言ったらどう思われるのだろうか。信じて・・・くれるはずはないか。

まぁ、言っとくだけ言っとこう。


「・・・独り言じゃなくてモンスターと会話してるんだよ」


エマとアリスは「えっ?」みたいな表情をしている。

やはり、信じてくれな・・・、


「す、すごいじゃないですか!」


えっ?


「そうですよ。すごいです!」



えっ?えっ?


「信じてくれるのか?」


「もちろんですよ!」


2人は口を揃えて言った。

どうやら、信じてくれたらしい。


「本でモンスターと会話している人はいたって聞いたことあるけど、本当に存在するんですね!」


その後もこの話で盛り上がり、何十分経過した。

俺たちはなにか忘れてるようだったけど気にしなかった。

・・・すると、


「・・・アノー」


俺は振り向いた。

こちらを〈ジャイアント・トライド〉が困った表情で見つめている。

俺ははっとした。

そして、〈ジャイアント・トライド〉との話し合いに戻った。


「そ、それで、〈ジャイアント・トライド〉さんはなぜ、この階層に下りてきたんですか?」


〈ジャイアント・トライド〉は語り始めた。


「私ハ、普段、モット上ノ階層ニ住ンデイルノデスガ、誰モソノ階層ニ来ナクテ、寂シクテツイココマデ来テシマイマシタ」


〈ジャイアント・トライド〉は寂しがり屋さんだった。

みんなが思うような凶悪なモンスターではなかった。

だが、その大きな身体に鎧のような肌のせいで我々、冒険者に恐れられてしまったようだ。


外見で人を判断してはいけない。

まさにこのことを言っているかのようだった。


「でも、冒険者たちが怯えてますよ」


「ソンナコト分カッテマス、デモ、冒険者タチト触レ合イダケナンデス」


あ、そうか。

〈ジャイアント・トライド〉は冒険者たちのことが好きなのか。

そうなると、なんだか可哀想だな。

・・・よし!

俺はあることを決意する。

これはどちらにもプラスになる解決策とも言えるだろう。

それは・・・、


「〈ジャイアント・トライド〉さん!」


「ハイ」


「俺たちと友達になりましょう!!!」


という簡単な解決法だった。


ご視聴ありがとうございます。

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