風の力となる者(前)
詩織「後、この異世界についてのもっとも重要な事を覚えていてほしいの。」
「もっとも重要なこと?」
詩織「うん。この異世界と元の世界の相違点・・・。能力を身につけてる・・・。後・・・。」
その時だった。
俺の部屋から少し離れた所か?
一瞬真っ赤に部屋いっぱいに色が染まり、同時に大きな爆発音が聞こえた。
「な、なんだ!ガス爆発?!」
詩織「この感じ!来たわね。」
貴樹「そうだね。」
詩織「とにかく、現場へ向かいましょう。神崎君、あっちに行って話すわ。着いて来て!」
「え?え?えーー!」
俺は有無を言わされず、詩織ちゃんに手を引っ張られていった。
部屋を出て、街の中にある商店街まで向かった。
俺は驚いた。
商店街にある店は燃え、ずっと店の中、家の中にいたのだろう。
人がたくさん出てきて、逃げていた。
俺は、そんな事よりも驚いたし、怖くて他の人達と逃げたくなった。
なんと、目の前に大きな化け物が立っているじゃないか。
夢なのかと本気で感じてしまった。
詩音「神崎君、もう一つは、この怪物よ。私達は(ゴーレム)と呼んでるわ。」
「な、なんなん?!あの、怪物?!」
詩織「ごめんね。私達にも分からないの。でも、能力が使える私達が倒さなきゃいけない存在っていうのはわかるの。見てて!」
そういうと、詩音ちゃんは俺の手を離し怪物の所へ走った。
詩音ちゃんが、ブツブツ言いながら走ってると、周りから水の玉がたくさん浮き出てきた。目をこすったが幻でもない。
そして、その水の玉は、鋭いトゲのような形状に変化して、怪物に目には見えない速さで飛んでいった。
(ズド・・・)
目を一瞬瞬いた時、すでに怪物の体中に水のトゲが刺さっていた。
怪物は苦しみながら、サァーっと消えていった。
貴樹「あ~、出番なしかぁ。残念。」
貴樹は残念そうだ。
詩織ちゃんは余裕みたいな雰囲気だ。
詩織「これが、怪物よ。それと、能力。この二つは重要なの。」