自分の能力(前)
俺と貴樹と詩音はとりあえず落ち着いて話せる場所へ移動することにした。
それは、もちろん俺の部屋だ。
「どうぞ、せまいですけど。」
詩音「ありがとう。お邪魔します。」
貴樹「うわぁ。マジせまいねぇ。まぁ、いいや。お邪魔しまーす。」
「・・・・・。」
そして詩音は俺の部屋に座るなり、すぐに話を始めた。
詩音「さっきは緋村君が脅すような事を言っちゃってごめんなさい。彼も悪気はなかったのよ。」
貴樹「ごめんねぇ(^.^)」
詩音「改めて、私の名前は笹川詩音。20歳です。そしてこっちが緋村貴樹君。19歳だよ。」
俺は思った。やはり第一印象的に感じのいい女性だ。でも俺の一つ年上だったのは以外だったな。
「神崎慎太です。19歳です。」
詩音「さっそくなんだけど、神崎君は何も違和感ないのかもしれないけど、こちらは貴方がいた世界じゃないの。」
「は?」
詩音「この世界は元の世界に似た異世界なの。街も人も殆ど同じなんだけど、一つだけ違うの。」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。異世界ってなんですか?え?」
詩音「聞いて!今言ってるのはウソでも冗談でもないわ。とにかく私の言葉を聞いて。」
「う、うん。」
詩音「この世界が何で異世界かというと、この世界と元の世界との違う点があるから。」
「違う点。」
詩音「うん。それは一部の人間が自然となる能力を使えるってこと。まぁ、目覚めるのに、人それぞれ強弱があるけど。」
「能力・・・・?」
詩音「ごめんなさい。私も久しぶりにあっちの元の世界の人と逢えたから嬉しくて興奮しちゃって。分かりやすくいうね。」
(いや、こちらも詩音ちゃんみたいな可愛い子が俺の部屋にいるので十分興奮しているんだけどね。)
詩音「私達は、半年前にこの世界にきたんだけど、色々調べて分かったんだけど、こちらの世界に来た人で能力に目覚めた人の殆どが青木ヶ原樹海へ行ったことのある人間なの。神崎君も行ったでしょ?」
「あ・・・。うん。」
詩音「そこで、不思議な声を聞いた?」
「誰かはわからないけど、夢の中で・・・。」
俺は、少しずつ話の内容が分かってきた気がした。
詩音「夢の中?私は青木ヶ原樹海に友達と遊び半分で入った時よ。」
貴樹「僕は、歩遊道でだよ~。」
「皆、それぞれ違う?」
詩音「そう・・・。でも結局同じ世界にきている。そして、こちらに来た人間は能力を持っている。どうしてなのかは分からないけど。」
「あの・・・、能力って。もしかしてさっきの・・・?」
貴樹「うん。そうだよ。さっき僕が出した炎。」
詩音「皆、それぞれ違う能力があるわ。まぁ、皆って言ってもこちらの世界にきたのは私達二人を入れて、4人なんだけどね。ただ、一つ分かったことは、それぞれの能力者が青木ヶ原樹海で聞いた声の内容が違ってたの。」
「声の内容?」
詩音「そう。私の場合は、(生命の泉となる龍よ目覚めよ)だった。」
貴樹「僕はね、(滅びの鳳凰となりて紅き世界を)って感じだったかん?」
詩音「神崎君も何か言われたはず。どんな内容で言われた?」
「(天地共に力を持つ光と闇の神の化身よ…目覚めよ…)」
詩音「天地と共に光と闇の神の化身?何なのかしら?」
貴樹「難しいよね。ほら、詩音ちゃんも僕もお互い能力に目覚めてから、その言葉の意味が分かったんだし、すぐには分からないと思うよ~?」
詩音「そうよね。」