覚醒(前)
???「君、神崎慎太君だよね?」
その男は俺の事を知っているかのような口調で言ってきた。
「そ、そうですけど。」
すらっとした体格のまぁまぁ男前の顔をした男は、段々と俺に近づいてきたんだ。
???「僕の名前は「緋村貴樹」。君を迎えにきたんだ。さぁ。」
「・・・。は?ど、どういう事ですか?!」
貴樹「君がこちら側の世界に来た瞬間に君を感じ取れた。君がどんな能力を持っているかはわからないけども、そんな事は後でいい。今は君がこちら側に来る事が最優先なんだよね。」
俺は本当に訳が分からなかった。
こちら側?能力?なんの事だか意味が分からなかった。
「すいません。言っている意味が分からないんですけど。こちら側の世界って何なんですか?それに能力って一体・・・。」
貴樹「ん~、そうだねぇ。慎太君が僕達の組織の仲間になるのなら、教えてあげてもいいかな?」
「先に教えてください!まだ会社の人は一人も来ていないし、急に現れた緋村さんに仲間になれとか言われても、意味が分かりませんし仲間になる、ならない以前の問題です!」
すると、貴樹はめんどくさそうな顔になった。
貴樹「はぁ・・・。俺説明とかめんどくさい事嫌いなんだよね。もういいよ?めんどくさいし、君を殺した所で別に僕達は誰も困らないからね。」
そう言うと、貴樹は手の平を俺の目の前に出してきた。
だけど、俺が驚いたのはそこからだ。
何と、手から炎が出てきたんだ。
何かの手品か何かだと思ったが、どうみても手品じゃない。
俺は、昨夜に見たテレビの生中継のライブを思い出した。
「昨夜のテレビで映ってたのって・・・もしかして・・・。」
貴樹「ん?あー、それ僕だね。慎太君からすれば、意味が分からないし、夢なんじゃないと思ったんじゃないかな?」