ここは?異世界の現実世界?!
(天地共に力を持つ光と闇の神の化身よ…目覚めよ…)
バッと目が覚めた。
鳥の鳴き声がする。
でも寒い…。林に囲まれた場所。
空を見ると、少し明るい感じだ。日が昇り始めている。
何だか分からないけど変な声を聞いた気がする。
すごく鮮明に頭に残っている。
たぶん、ここへやってきたせいだろう…、青木ヶ原樹海…。山梨県にある自殺名所の一つだ。
(毎年たくさんの人が自殺したみたいだし、成仏できない霊とかに頭の中に入られて呟かれたんだろうな。)
って、思う事にした。
ここへやってきた理由はもちろん自殺をするため。
人と違った考え方、行動とか…。
皆からおかしい人間みたいに見られて嫌になったんだ。
しばらく俺は横になったまま過ごした。
どれくらい経ったんだろうな。
空を見ていると、時間がゆっくり経っているのが分かる。
もう太陽が昇り切っている。
おそらく昼ぐらいだろうな。
(腹へったなぁ。)
俺は起き上がった。
理由は腹が減りすぎて我慢ができなくなったからだ。
「はぁぁ。腹が減ったぐらいで自殺を諦める俺って…。死ぬのも楽じゃないなぁ。」
俺は一人グチグチ言いながら青木ヶ原樹海から出ることにした。
しばらく歩くと歩遊道が見えてきた。
そこを辿って下に降りる。
(このままホームレスにでもなって旅でもしようかな…)
理由は家に帰っても誰もいないし、心配してくれる人もいない…。
自分の存在を想ってくれる人なんていないのを知ってるからだ。
俺は小学生の頃、事故で両親を亡くした。
俺自身は奇跡的に助かったが、両親は即死だったそうだ。
それから親戚の家をたらい回しされ、孤児院にたどり着いた。
そして、16歳で孤児院を出て現在19歳となる今アパートで一人暮らしをしている。
申し遅れたが俺の名前は「神崎慎太」という。
人生何が起きるか分からないとはよく言ったものだ。
今までそんな言葉を信じなかったのに。
あの出来事がおきるまでは…。