優しいあなたとロボットのぼく
ぼくシリーズ第三弾
あなたはぼくに優しいね。
どうして、そんなに優しいの?
どれだけ考えてもわからない。
でてくるのは、いつも後ろ向きで、ぼくはやっぱりわからないんだ。
毎日、窓からあなたが見える。
ぼくは見たら絶対忘れない人だけど。
あなたは特に忘れられない気がする。
あなたはデザイン科で、ぼくは普通科。
だから、教室がちがう。
学年は同じなのに。
あなたとぼくはこれっぽっちもつながりがないね。
こうして、窓から見ることがほとんどだ。
それなのに、たまに会うあなたはぼくに優しい。
まるで、ぼくを覚えてるかのようだ。
でも、あなたはいつも初対面であるかのように振る舞う。
はじめは疑ったけど、ほんとに知らないみたいで、あきらめたよ。
だから、ほんとに知りたかった。
どうしてあなたは優しいのか。
こんな、ぼくを、人間みたいに扱ってくれるなんて、うれしいんだ。
ロボットだから、差別して当たり前の存在が、人間に見えるあなたが、好きです。
そんなあなたはもう遠い。
時々聞こえるあなたのこと。
今のぼくを見たらどう思うだろう。
今のぼくは人間だ。
誰とも同じ人間だ。
ある日、あなたが昔のぼくみたいな存在になってると聞いた。
心配した。
でも、あなたはそんな存在になれないと思う。
この気持ちは心配なのか、それとも逃げてるのかな。
わからないふりをした。
やがて、あなたのことが聞こえなくなった。
大丈夫ですか、大丈夫だろう。
ねぇ、優しいあなた。
また、会えると信じたい。