だって機械だもん
掲載日:2026/10/25
「おい、また固まってんぞ。ホント機械みてえな奴」
頭の上から、ゲラゲラ笑う声が聞こえる。
教科書を隠されても、上履きを隠されても、アリアの顔はピクリとも動かない。
泣きもしなければ、怒りもしない。
「気味悪」
「返事くらいしろよロボット」
言われ放題言われて、去っていくクラスメイトたち。
アリアは別に、我慢してるわけじゃない。
(……あ、ネジ一個緩んでる)
本当に、ただの機械だからだ。
胸の奥を触ると、微かに「チッチッチッ」と時計みたいな音がする。
血の代わりにオイルが流れてて、骨は軽くて丈夫な金属。
周りは「機械みたい」ってバカにしてくるけど、アリアからすれば「うん、だって機械だもん」という話でしかない。
人間っぽいフリをして学校に通ってるのは、ただの起動命令だ。
作られたのが昔すぎて、誰に何の目的で命令されたのかは忘れたけど。
「……本日分の登校ミッション、終了」
一人になった教室でボソッと言ってみる。
傷つかないし、悲しくもない。
だって感情のプログラム、入ってないし。
……でも、いじめられるたびに胸の奥のギアが「ギギッ」と嫌な音を立てて、小さなエラーログが溜まっていく。
このエラーが何なのか、アリアの頭じゃまだよく分からなかった。




