第6話 さーやくんに会ってみる、まずは楽しくすごそう そして美容院の悪魔のささやき・・・・
着替えを終わってしばらくして、11時ぐらいだろうか。さーやくんに連絡をしてみる。朝の早い時間にそれをすると、相手もなにかまずいことでも有ったのか?と思うので時間をずらしてみた
すると今日の昼過ぎなら空いているから、食事をしようということになった。さーやくんの家は隣の駅なので、僕が自転車で出向くことに。それとお土産をどこでも通販で2人分用意しておく。
約束の時間に隣駅に着くと、さーやくんはもう来ていたよう。
「ごめんね、突然で」
「いいよ、いいよ。じっくり会いたかったから」
そんな感じの軽い挨拶から、ぼくたちはさーやくんご推奨の町中華に入る。
いかにも昭和の場末の感じの町中華のお店だけど、お客さんも結構入っていて、出前やテイクアウトも多そう。ぼくはチャーハンの大盛、さーやくんは焼きそばレバニラ炒め定食は両方大盛と餃子も頼む。しかし多くない?そこで
「さーやくん結構食べるんだね?」
すると明るい声と顔で
「今までの反動だよ。前世では食べられなかったから、食べないと体が持たないんだ。おかげでエンゲル係数高すぎ、コスパ悪すぎ人間」
今まで病気を背負って暗さのほうが勝っていたさーやくんだったけど、もうそれもないから本当に明るい。テーブルに注文の品が届いたけど一品あたりの分量がすごい、とりあえずは大人のように食べながら歓談タイムで
「今どうなの?」
「ぼくは父さんも母さんも一緒、で亡くなった後30年間眠ってて10年前赤ちゃんになって父さんと母さんのところへ来たんだよ」
「そうだったんだ」
と相槌を打つぼく、続けて
「父さんと母さんすっかり若返って、今風のおしゃれにもなって、それから今日までだけど、病気の心配もないし、毎日食べられて、体も思うように動くし、からかってくるやつも居ないから、楽しいよ。それから茜ちゃんも同じルートみたいだよ」
「よかったよ。ほんと元気で。毎日楽しく穏やかに居られるのはほんといいと思う」
と感想を言って、しばらく呼吸を置いて
「ところでさぁ。東丸山の神社に行ったんでしょ?」
と少し本題に持っていくと、さーやくんあっさりと
「あそこぼくが病院に通ってた頃からお参りしてたんだ。病院は清手駅と須目川駅の間に有ってバスで行くんだけど、たまには別のルートで帰ろうと須目川行に乗って途中で目に入って降りてお参りしたんだよ」
「なにか有名なの?」
ときっかけが気になったから、聞いてみると
「なんていうか、導かれたっていうか、衝動的に降りてお参りしたんだよね。あの頃お参りすると、症状が一時的に軽くなったりしてたから。あそこの神社はお賽銭より御神酒を持っていくほうがご利益が大きんだよね。最後の方は生き返られますようにって高いお酒をお供えしたら、ほんとに生き返ったよ」
と饒舌に語るさーやくんにぼく
「実はその神様が昨夜ぼくの夢に出てきたんだよ。それでさーやくんと茜ちゃんが高いお酒供えてくれたから、叶えてやろうと。で、ね、ぼくが早く死にますようにって祈ってたんでしょ?」
最後にちょっと怒気があったかも。それにさーやくん
「ごめん。それしか思いつかなかった。ぼく転移って知らなかったし。最近読んだんだけど、巻き込まれたり、召喚されたり行きたままの転移もあったんだよね。で、あのときもすっごい高いお酒をお供えしたんだ」
とあっさり言うさーやくん、悪気はなさそうだから、いいとして
「だけどあの神様、神と仏は人の死を祈られても無理だって言ってた。だから子供にしてぼくを生きたまま転生させたって。でもあの神様やばいよ。祈祷が中途半端でぼくもさーやくんも女の子よりになっちゃったって、それでどこでも通販ってスキルをもらえたんだ」
「葵くんのところにも来るんだ、あの神様。ぼくにもスキルやるから勘弁してくんなって言って、タイムワープのスキルもらえたよ。だけど、もう一つ願いがかなったからまぁいいやって」
明るい表情にもどったさーやくんが続けて
「昨日の子、まーやだけど転生してきて嬉しいよ、最後に入院して亡くなる半年前くらい前に出会って、病室行き来したりしてて仲良くなったんだ。だけど症状がお互い重くなっていって、仲が深まる前に終わったからね。結局50年前の大晦日にぼくが、その翌日の元旦にまーやが一度旅立って・・・」
しまった少ししんみりしてしまったさーやくんだけど続けて
「茜ちゃんと一緒にお参りしてご利益があったのか、半年前偶然彼女に出会ったんだけど、なんか表情が暗くて、聞いたら元の両親のもとに転生して、前世から嫌われてたみたいで、たまにぼくの家に呼んだりしてたんだ。一昨日は家でクリスマスして泊まって送る途中だったんだよ」
なんか重い話で申し訳ないけど、さーやくんが続けてくれるので
「うちに来ると明るくなって、まーやも結構食べるんだよね。G系ラーメンとか大好きだし。それに電車に乗りたいとか、デカ盛りの定食屋さんに行きたいとか。だけどあの両親じゃそれも無理」
そうだったのか、あの子も昔の茜ちゃんと一緒かも
「まーやは前世でも病弱でかなり邪険に扱われてて、亡くなったとき、お葬式もめんどくさそうにやって、死体の始末とか言ってたって。今も相変わらず。だから父さんと母さんが怒って、家で引き取ろうって、今日もまーやの家に行ってるよ。早ければ年明けから一緒になれるかも」
ますます明るくウキウキなさーやくん。ということはまーやちゃんも茜ちゃんと同じになるのか?
「ところでさぁ?葵くんと茜ちゃんはどうなの?」
ここは興味津々に聞いてくる
「まぁなんていうか、色々教えてくれるし助かるよ。だけど、お風呂も寝るのも一緒なんだよね。それに戸籍上茜ちゃんが姉になって、ぼくはこうだから かわいい妹ちゃん❤ とか言ってくるんだよ。スカートとか着せられそうで」
「うちはそういうのはなさそうかも。だけど、同じ時間、同じ空間を過ごせるのは幸せだと思うよ」
確かにそう
「うん、ぼく何十年ぶりかな。 おはよう、いってきます、ただいま、いただきます、ごちそうさま、おやすみなさいって言えてるの。ずっと一人だったから。それに行事もやりだしてるし」
とぼくも饒舌に語ってみて
「だからぼくもまーやを楽にしてあげたい、父さんも母さんも一緒。今年はうちお正月の準備してないんだ。まーやのことでそれどころではないから」
そこでぼく
「だったらさぁうちに来ない。元旦は家族だけ、2日は初詣と皇居一般参賀だけど、3日なら大丈夫かも」
「えっいいの?」
「わからないけど、うちに帰って確認してみる。オッケーだったら連絡するね。それと可能だったらまーやちゃんも連れておいでよ」
「ありがとう。でもまーやのことは慎重にしないと。まだいろいろありそうだから」
「それは大丈夫。無理強いは良くないから。疲れた人に明るい場所へ無理やり連れて行くのは余計負担になるからね」
そういったところで料理も食べ終わりすっかり満腹すぎるぼくたち。餃子とレバニラをシェアしてもらったけど、ほんと美味しいし、町中華もすきなぼく。
お会計は呼んだ手前ぼくが払って店を出て気になったのはさーやくんの髪。昨日よりかなり伸びてるし、ボサボサなので
「さーやくん髪切りに行かない?ぼくの行ってる美容院でよければ?」
「いいの?じつはこれから髪を切に行こうと思ってたんだ」
と言うので、愛子さんの店に電話を入れると1時間後に秋があるというので自転車で出発。このへんは坂が多いけど、電動アシストだから案外スイスイ。食後の運動にもいい。
店に着くなり愛子さん
「葵くんいらっしゃい。今日も可愛らしい子連れてきてくれたのね」
「愛子さん、さーやくんっていうんだ。一応男の子でぼくと一緒。素材がいいからうんと可愛らしくしてね」
「オッケー。うんと可愛らしくしましょ」
と言ってシャンプーから出来上がった髪型はぼくみたいなボーイッシュなロングヘア。少し恥ずかしそうで
「またからかわれそうだけど、まぁいいや。なんか今風でおしゃれになった感じ」
「あなたも女の子女の子だけど、とりあえずボーイッシュな感じで慣れてみてね。そうしたら女の子も大人も褒めてくれるわよ」
すっかり上機嫌なさーやくん。そこでぼく
「昨日さぁ生脚で寒そうでやばいから、今これ履いて」
と言ってどこでも通販で買っておいた脚色に違和感がないベージュの厚手タイツと黒いニーソックス
「大丈夫かなぁ?なんかなぁ」
そう前世ではこの近くの冬場はタイツ義務の私立小に通っていたさーやくん。公立の連中にからかわれているのをぼくと茜ちゃんで撃退してから、仲良くなって、帰り待ち合わせをして駅まで歩いていったりしていた。その当時のことを思い出したのだろうか?
「まぁいい。もうぼく大丈夫かも。ちょっと着替えてくるね」
そう言って出てきたさーやくん
「どう?」
「合うよ。寒くなさそうだし、ほんといいよ」
「そうね。あなたも脚がスラッとしてるから、ショーパンほんと似合うし活発な感じで動きやすそうだわ」
愛子さんもぼくも太鼓判で店を出る前
「お正月がますます楽しみになってきたわ」
とお会計時に悪魔のささやき・・・・・なにが起きるんだろうか?まさか愛子さんまで東丸山の神様に大吟醸お供えしてるんではないのだろうか?
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