表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

新撰組 折々の記

沖田総司と迷子のサンタ

作者: 湯好き御幸
掲載日:2025/12/24

それは、師走の24日 ちょっと不思議なお話です

ある冬の夕暮れ。

巡察を終えて屯所へ戻る途中、沖田総司は道端にしょんぼりと座り込む白髭の老人を見つけた。


赤い服に、白い縁取り。

やけに目立つ格好だが、寒さのせいか肩をすぼめている。


「おじいさん、どうしたの? 迷子?」


沖田が声をかけると、老人は困ったように微笑んだ。


「ええ……子どもたちに贈り物を持ってきたのですが、

どうにも避けられてしまって。

親御さんに話しかけると、睨まれてしまうんです」


「それは困ったねえ。

ここ、冷えるし……とりあえず、あったかい所に行こうか」


迷子の老人に親切にするのは当たり前。

沖田はそう考え、あっさり決めた。


「うちの屯所に来なよ。温かいもの、出せるから」



屯所に着くと、沖田はすぐに湯と食事を用意した。

老人はほっとした顔でそれを口に運びながら、沖田を見つめる。


「不思議な着物だね。君はどこから来たんだい?」


「これ? 新選組の羽織だよ。ちょっと派手だよね。

ここで暮らしてるんだ」


沖田はくすっと笑い、今度は老人を眺めた。


「おじいさんの服も面白いね。

赤くて、ふわふわで、あったかそうだ。

奥さんか、お嫁さんが仕立てたの?」


「私は……サンタクロースです」


「ふーん。さんた・くろうす殿かあ。

苗字があるってことは、武士かな?

どこのご家中の方?」


「フィンランド、ロヴァニエミです」


「……うーん」


沖田は少し首をかしげた。


「ご老人だし、ちょっと忘れちゃってるのかもね。

でも、こんな目立つ服だし……

山崎さんに相談してみようか」


「誰か、連れはいなかったのですか?」


「さっきまで、アドルフというトナカイが」


「ふふ。まあ、いいかあ」


沖田は山崎を呼び、事情を任せると、

自分は巡察の報告書を書くため席を外した。



しばらくして、山崎が戻ってきた。


「サンタ殿は、北の地の僧侶のようです。

トナカイという鹿に乗って旅をしていたとか……

話の真偽はともかく、

然るべきところで保護していただくのがよろしいかと」


「お坊さんかあ……それなら、西本願寺だね」


沖田はうなずいた。


「身寄りのない人や、具合の悪い人を、

ちゃんと受け入れてくれる」


西本願寺へ向かう道すがら、沖田は何気ない話を続けていた。


サンタクロースは、なぜこの町では子どもたちに避けられるのか、

どうしても分からない様子で、何度も首をかしげる。


沖田はそれを責めるでもなく、にっこりと笑って言った。


「うん、そうだね。でもさ、いきなり声をかけられたら、

ちょっと怖かったのかもしれないね。

ゆっくりでいいんだよ。焦らず、仲良くなればさ。」


赤い服の老人は、少し考えるように黙り込み、

やがて、ほっとしたようにうなずいた。


寺に着くと、僧たちは事情を聞き、

静かで温かな場所へ老人を迎え入れた。


小坊主が、老人の赤い裾をじっと見ていた。


「ねえ、おじいさん」


老人が振り返る。


「きれいで、暖かそうな服ですね。

お寺にようこそ、いらっしゃいました」


そう言って、小坊主は深く頭を下げた。


老人は一瞬きょとんとした顔をし、

それから、くしゃりと笑った。


沖田総司も、その様子を見て、ふわりと笑う。



赤い服の老人は、ようやく安心したように、

ゆっくりと息をつく。


沖田はそれを見届けると、軽く手を振った。


「じゃあね、おじいさん。

あったかいところで、ゆっくり休んで」


冬の夕暮れ、寺の鐘の音が、やさしく響いていた。


おじいさんがほんとうにサンタさんだったのかは分かりません。

小坊主さんと仲良くなったらいいですね。

現実には、私は、子供には 知らない人から 何かもらってはいけない と教えています。

でも、ここのおじいさんが子供に贈り物をあげたい気持ちは素敵だな と思います。

宗教には無縁な私です。メルヘンとして楽しんでいただけると嬉しいです





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ