3 満天の星の下
今度は、火がついた!
パチパチと燃えていく火をじーっと見つめながら、俺は火の前にあぐらをかいた。
暖かい炎が俺の身体をゆっくりと温めていった。
ぼーっとする事30分。
そろそろ、夜寝る準備をしなくてはならないだろう。
サバイバルのスキルでパンと水とマッチは出せる事が分かった。
せめて寝袋が欲しい所だが…
俺がサバイバルを唱えると、テントと寝袋が現れた。
テントは張られている状態で出てきたので、後は寝袋を広げるだけである。
これは、便利だ!
俺はまた、パンと水を出して夕飯を食べた。
少しパンを焚き火で炙ってみる。
うん、サクサクして美味しい。
そして、満腹になった所で寝ようとしたが、空をふと見上げた。
焚き火の煙が緩やかに上っていく空には、満天の星があった。
澄んだ空気を吸い込みながら、俺は草の上に大の字になって、その満天の星空を見上げた。
夜の森は静かだった。
そして、しばらくするとテントに入り、暖かい寝袋にくるまれて、眠りについた。
♦︎♦︎♦︎
翌朝、焚き火の炎はきえていた。
これは夜までにまた薪を集めとかないといけないな。
俺はサバイバルを唱えた。
サバ缶とフォークが現れた。
俺はサバ缶と昨日の残りのパンで朝食にした。
さて、今日は何をしようか?
働かなくても良いといえど、そう言われれば働きたくもなるもので…
何もしなくても良いっていうのもなぁ…
もう、十分のんびりしたし、そろそろ…
しかし、働くと言っても人も居ないみたいだし…
うーん…?
そんな事を考えながら、パンとサバ缶を食べていると、ガサリ!と音がした。
「だ、誰だだっ!?」
俺は焼き焦げた薪を持つと身構えた。
『はぁぁぁあ…
お、お、お腹空いて…』
そこには、一人の少女が倒れていた。
「え…?」
コレって…
人間…!?
いや、でも、耳尖ってないか!?
じゃ、エルフか何か…?
エルフって漫画とかだと割と友好的だけど…
この世界じゃどうなんだ?
「あのぅ…
パンで良かったら…」
俺はパンをエルフのそばに置いてみた。
彼女は起き上がりパンをむしゃむしゃと食べた。
『水!』
「あ、はい!」
俺は水を渡す。
『うまい、うまい、生き返る!』
パンを一袋全部食べ終わると、エルフは俺にぺこりと頭を下げた。
『私の名前はティナ。
エルフよ。
危ない所をありがとう。
ところで…
どうして、人間がこんな所に居るのかしら…?』
やっぱりエルフか…!
「あーと、俺は江波…
あ、シュートです。
訳あって他の世界からこの世界に転移、つまり移動してきたんです。
そしたら、移動先がこの森でして…」
俺は説明する。




