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お買い物(3)


「は、はあ……ふ、ふうッ……はあ……」

「フェリツェ……? その……本当に大丈夫? ど、どうしたの? 顔、赤いし……」

「い、いや。だ、大丈夫。本当に、気にしないで」

 

 とは言ったが、尻の隙間から股間をほんのりと熱を内包した弾力のあるモノが、か弱い力でもぐもぐと啄む刺激を繰り返してくる。

 こ、これは、さっき拾ったスライム……?

 些細な刺激だが、刺激には違いない。

 下半身に緩やかな熱が鎮座して、じくじくと蓄積していく。

 幸い勃ってしまうほどではないのだが、それが逆に気になって気になって仕方がない。

 

「ん……ッ!」

 

 尻の中に――スライムが、押し入ろうと……している。

 細いものが、挿入ッ……!?

 

「フェリツェ、本当に大丈夫?」

「だ……大丈夫! 大丈夫! ほら、えっと……魔石を買おうぜ。風の魔石ってここで買えるんだよな?」

 

 ごまかすように店の看板を指差す。

 魔石は基本的に魔道具屋に販売している。

 しかし、初めて入った貴族街の魔道具屋は平民街の魔道具やとは規模と取り扱い商品もまったく違う。

 店内に入ると騎士団の訓練場よりも広い。

 なにがすごいって平民街の魔道具屋にはないガラスケースが並んでいる。

 当然、どれもこれも見たことがないものばかり。

 天井も高く、昼間なのに煌びやかなシャンデリアが輝いていてちょっと眩しい。

 

「いらっしゃいませ。リンファドーレ公爵家のエリウス様。本日はなにをお探しですか?」

 

 なんかさっきも聞いたようなセリフ。

 今度は妙齢の紳士だが、やはりエリウスのことは『リンファドーレ公爵家のエリウス様』らしい。

 こういうのを見ると俺とエリウスの間の身分の距離を感じる。

 

「っう!?」

 

 エリウスが店員に風の魔石を大量に購入したい、という話をしている後ろで、俺の尻に侵入していたスライムがさらに奥に進んだ。

 ひどくか細いが、異物感はしっかりと感じる。

 というか、尻の中を、啄まれている?

 中を、ちゅっちゅ、っと。

 まずい、まずい、それ以上奥にいかれると……“あの場所”――前立腺に辿り着かれる。

 前も変わらずに刺激され、こんな状態で前立腺を啄まれたら今度こそ勃ってしまう。

 前立腺がヤバいのは今までいろんな魔物に尻を穿られて、地味に開発されて? その……知っている。

 あの場所を擦られると、頭がビリビリして目の前が真っ白になるし気持ちよさで全身から力が抜けて、魔物の好きにさせてしまう。

 本格的に魔物に身を任せそうになる前に、いつもエリウスに助けてもらうんだけれど。

 でも、どうしよう……こんなに弱ったスライムにまでこんなことをされるなんて。

 ……いや、多分弱っているから特に汚れている場所(・・・・・・・・・)食事(・・)をして回復を試みているのだろう。

 そう思っていると前の性器をいじっていた部分まで尻の中に移動していった。

 尻の中の圧迫感が増し、より奥へとスライムが進んだ。

 ダメ、ダメだ! その先は、そこは……!

 

「~~~~っっっ!!」

 

 言葉にならない衝撃。

 ただ擦られただけなのに、危うく声が出そうになった。

 こ、このスライム、まずい、前立腺よりもっと奥に移動している。

 これ、このまま奥に進まれたらどこまで奥に行ってしまうんだ?

 考えたらサッと血の気が引く。

 魔力のない俺はスライム核に魔力を流して指示を与えることはできない。

 このままはまずい、とようやく危機感を持って、顔を上げてエリウスに相談しようとした時だ。

 

「んっ! ふ、くぅ!!」

 

 スライムの質量が――ま、増した!?

 あ、くっ、そうか……“食った分”か!

 食った分がスライムの質量になって、前立腺や腸内全体への刺激になる。

 スライムの弱弱しい動きでも、前立腺はその弱い刺激でも快感になってしまう。

 ただ、今までの魔物のような暴力的な快感ではない。

 耐えられる。我慢できる。でもそれが行き場がない。出口がない。終わりがない。

 なにが怖いって、自分のモノが勃たないことだ。

 尻だけの刺激だけで、体温が上がり全身から汗が噴き出し、震えるところ。

 これって尻だけで感じているってことだよな?

 まずくないか、これ。

 そりゃ……前立腺を擦られるの、モノを擦るよりも気持ちがよかったけれど!

 

「フェリツェ、買い物終わったよ」

「えっ!?」

 

 驚いて顔を上げると、本当に心配そうに覗き込んでいるエリウスと目が合う。

 そんなふうに覗き込まれたら、スライムに尻穿られて勝手に気持ちよくなっているってバレ……いや、引っこ抜いてもらわないと、これ以上奥に行かれて取れなくなったらマズイ!

 尻の中でスライムを飼い続けるのはさすがに変態すぎる!

 

「あ、あの、エリ……」

 

 事情を話そうとしたが、場所を思い出す。

 いやいやいやいや、こんな貴族街の魔道具屋の中でなにを説明しようってんだよ!

 ここではマズイ、絶対あり得ない。

 

「うん? どうしたの? 体調が悪い?」

「あ、う……うん……ごめん、どこかで、ちょっと休みたい……」

「わかった。じゃあ、宿の部屋を短時間で取ろう。歩ける?」

「う、うん……大丈夫。ごめん……」

 

 はあ、と快感を逃がそうと溜息を吐く。

 エリウスが肩を抱いて支えてくれるから、一人で歩くよりはいい。

 

「あ、ありがとう」

「う、ううん。急ごう」

「ん……」



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