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僕らの戦争  作者: 深尋
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始まる。

「アズマッ、早く援軍をよこしてくれ!」

「今やってるよ!カナエくん、兵の治療はまだかかるの?」

「ンなこと言うてもなぁっ。どんだけ早う動いても5分6分かかるで。」

「マッキン5、6分稼いで!」

「おう分かった!アズマ隊から救護に数人回して!」

「了解!」


敵地に乗り込んだ。

兵の質は圧倒的に自軍が有利。

マキとアズマが次々と敵兵をなぎ倒す。

戦いのうちで傷付いた兵達はカナエ率いる救護班へ。

なかなか、順調なはずだった。


ところが、予想外なことに敵の隊長を倒すのにてこずってしまったのだ。

いやいや、もっと弱いはずだったんだけど。

大方、偵察班のデータ分析ミスである。イマイチ信用できない班だ。流石は『緊急設置班まにあわせ』。

ソレとは雲泥の差、マキ率いる班はとても頼りになる。

もっとも今はズタボロに傷付いた兵の姿しか見えないけど。


「ウミ!わたしの援護に来て、・・・早くっ」

「今から斬りこみ部隊であるアズマ班は救護援助隊きゅうごえんじょたいに切り替えろ。

負傷した兵はアズマの近くにすぐ行け!マキ隊のやつも!」

「了解!みんな、離れずあたしに付いて来て。」

「な、・・・今ウチの隊から送り出して防げるわけない!」

「死なないのが最優先だろマキ!俺とお前でなんとかするっきゃねぇ!」


一時撤退するアズマの周りには美しい膜のようなものが見える。

マキ隊や色々な隊からの負傷者はアズマから出る膜の内側にもぐった。

あの膜は、というとアズマ特有の技だ。

一定時間敵からの接触を拒絶することの出来る結界。

兵達はアレに守られながら救護班の元へと運ばれる。


「・・・ウミ。ウチの隊とそっちの隊の兵数、半数以下に減った。」

「お前の隊はアズマんとこと同じ最前線だから、負傷者数も多い。半数ってか3分の1以下、かな。」

「合わせても、とても勝てそうな数にはならない。」

マキが膨れて言った。鍔迫つばぜり合いの真っ只中だ。

「まぁ、そうだけど。『5、6分』だろ?」

「この様子じゃ、とても防げそうにないよ。」


マキが敵に詰め寄られながら言う。

もっとも詰め寄られているのは俺も同じだが。


「なぁ、俺がわざわざお前の近くで張ってる意味分かってないか?」

「分かるけど、駄目。」

「はぁ?おま、そんなじゃ勝てっこねぇぞ?」

「勝ってもそれじゃ、修理代とか色々で稼ぎがパーになるでしょ。」

「おーい、此処ここは格上だぜ?修理代くらいパーっと上回るって。」

「・・・あぁ、そうか。じゃ、やろう。」

「おっけ!その言葉待ってたぞマキ!」


『・・・!まさかアイツら、』

敵の隊長格のうち数名が気付き、走り逃げようとする。

その、『まさか』の判断は立派だが、己のみ逃げるのは如何いかがなものか。

ひとつ溜息ためいきを吐いてしまった。


「・・・行くぞマキ。」

「うん。」

「スキル発動・星鱗せいりん月凛げつりんと共に俺に力を!」


「「黒夜凛凛こくやりんりん!蹴散らせッッ!!」」


『うわあああぁぁぁあああああっ!!』


さて。

一体何が起きたのか、だ。

簡単に説明すると、『光による拒絶』である。

アズマの能力は敵の接触の拒絶だが、ソレは壁を作るという意味合いだ。

守備としては最強だが、直接的な攻撃の手段には使えない。


ところが、俺とマキの能力ボーナス課題は、『連携れんけい』。

つまりは連携して戦えば能力が倍以上に跳ね上がると言うわけである。

そして連携の課題を持つ者同士が連携するというのはある意での『脅威きょうい』となる。

何しろ、重複するから、だ。


通常、連携の課題者はもう一人と組めば『連携』とみなされ、2倍の威力で攻撃できる。

そのもう一人というのは別に、連携の課題者でないといけないわけではない。

同じ国内に連携の課題者が居る可能性は低いから。

ソレを、互いに連携の課題者である俺とマキとの連携では、とんでもない威力となるのだ。


説明するには難しい事例じれいだ。

ほとんどの人はこんな技使えないのだから。


マキが口を開いた。

「・・・すっきりするっ!」

そう、俺とマキの班を囲んでいた敵兵は蹴散けちらされた。

今回は運が良いのか、さほど酷い崩壊具合あれぐあいではなさそうだ。

(とはいえ、柱が1・2本折れてるけど気にしないようにする。)


「おっしゃあ、形勢逆転けいせいぎゃくてん!んじゃあ敵の拠点きょてんに乗り込むかぁ?」

「勿論。すぐにでも行こう。星鱗の輝きが鈍らないうちに・・・っ!」

単身乗り込みそうなマキをまず押し留める。


「待て待て。おーいっ、アズマぁー。救護のほうはもう良いか?」

「はいはぁい。カナエくん、良いよね?・・・おっけ出ましたぁー、あたしもそっちに向かおうか?」

アズマに問うと、遠くから両手でマルを作っていた。

「現時刻をもってアズマ班は、マキ班ウミ班と共に斬りこみ部隊へ変更。

なお、部隊の指揮は斬りこみ隊長であるアズマに任せる。」


「了解。動けるようになった人はあたしに付いて来て!

・・・あ、敵の本拠地で尻込しりごみする人は要らないからね。あたしと共に、勝つ気がある人は来て。」


・・・相変わらず、マキに負けず劣らずの統率力だ。

兵たちの士気を高める挑発ともとれる力強い言葉に多くの兵は彼女に付いて来るはずだ。


「・・・ウミ、先に行ってよう。アズマは速いから、すぐ追い付いてくるよ。」

「おぉ、そうだな。アズマー、ちょっくら先に行くわー!」

「はーい、すぐに追い付きまーす。」


アズマに手を振り、俺とマキは敵の本拠地に向かった。


・・・ところで。

何故この戦争が起こったのか。

事の発端ほったんは、

マキの思いつきと、

アズマの同意と、

カナエの苦笑と、

ソラの挑発と、

俺の軽はずみな許可、

ソレら全てが折り重なって生まれたことだった。


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