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サッカー

作者: kaHo

俺は今、プロのサッカー選手としてレギュラーとして活躍している。

今年はワールドカップの選抜にも選ばれるほどだ。

だが、俺は今のままで満足する気はない。

いずれは日本を優勝させ、世界一にする。

それが、妻と子どもたちへの約束だから。

そう、あれは俺が小学2年生のとき。

兄貴と幼馴染は、サッカーを習っていた。

当時の俺は羨ましかったが、引っ込み思案で失敗したらどうするべきかなど考えたりする根暗だった。

2つ上の兄貴はレギュラーとして活躍してきたため、比べられるのが特に怖かった。

母は兄貴と俺を比べては、『たくみはどうしてなんの取り柄もないの?』『お兄ちゃんは勉強も運動もできるのに』とよく言われていた。

そのせいか、小学2年生ですでに何でも諦める人間になってしまった。

でも、2人の応援はしっかり行っていた。

憧れの眼差しで見ていた。

確かに、兄貴と幼馴染にはよく『一緒にサッカーしよう』とは言われていたが、どうせ俺には才能がないと断っていた。

2人のコンビプレイは最高だった。

そんなあるときのことだ。

父の仕事で家を引っ越しをすることに。

当然、兄貴はクラブ内の皆に惜しまれていた。

俺はというと、友達もいないのだ。

誰にも惜しまれない。

でも、クラスが違う幼馴染の祐希ゆうきには『絶対次会うときはライバルだからな!しっかりしろよ巧!』と背中を押された。

何のライバルになるかはわからないが、ちょっぴり照れくさくて、嬉しかった。

そして、引っ越した矢先、兄貴が、

「巧、公園行こうぜ」

と、兄貴にとっては珍しい誘いがあった。

俺は、

「う、うん」

と言って、ついていくしかなかった。

すると、公園に着くやいなや、兄貴が開口一番に、

「お前サッカー始めろ!」

と言い出した。

当時の俺は、何が何やらでパニック。

「祐希に聞いた! お前ら体育でサッカーしたんだってな。祐希がさ、まだサッカーしてないせいもあるけど、ボール取られたって悔しがってたぞ?」

とまくしたてて言う兄貴が、少し誇らしげに言っていた。

確かに体育でサッカーしたことはあるけど、祐希もまだ始めてなかったし、ただの偶然では? と思っていた。

しかし、兄貴は俺の性格なんて何のその。

ボールを蹴っては、俺に突っ込んできた。

かわそうとした兄貴の行動が、なんとなくだがわかった。

俺は咄嗟にボールを取ろうと兄貴を阻止。

それを見て、兄貴が、

「やっぱりやりてーんじゃねーか! 一緒にやろうぜ!」

と言われてしまう。

あたふたしている俺の頭を、兄貴はポンッと手で優しくなでてくれる。

「大丈夫! 俺が基礎教えてやっから。それに母さんの説得も任せろ! だから、一緒にやろうぜ」

と、兄貴に言われてなんだかホッとした。

涙が出た。

俺のしたいこと縛ってるの一番の原因が母さんだと、兄貴も知っていたのだ。

俺は勇気を持って、サッカーをしたいと兄貴と一緒に母さんに直談判した。

母さんも2人で来るとは思わず、根負けした様子だった。

中学上がる頃には、俺も1年でレギュラーを取れるほど努力の結果が出た。

それとともに、普通なら通うはずだった西中学との対戦もあった。

久々に祐希と会える。

嬉しい気持ちでいっぱいだった。

西中学に着くと、朝から早くにボールの準備する女子が一人。

おそらくはマネージャーであろう。

俺と兄貴を見るるやいなや笑顔になり、

「よ! たつみさん、巧、久しぶり!」

と、手を大きく振る祐希。

あまりの見た目の変わりように、兄貴も俺も驚きを隠せなかった。

あのショートヘアのぶかぶか洋服を着ていた祐希が、ロングの髪にジャージ姿。

つい、ドキってしてしまった。

ぎこちない挨拶はしたけれど、その日はそれで終わる。

まぁ、後に俺の奥さんになるわけだが。

そこはご想像に任せる。

兄貴は、サッカー以外のやりたい職についている。

話は戻すが、俺のサッカー人生は兄貴と祐希のお陰でここまで来た。

祐希には、約束を果たさないとな。

そう思っていると、

羽柴はしば、出番だ!」

と、俺の背中を押してくれる監督。

「はい!」

そう言っては、俺はワールドカップに向かうのであった。

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