来年は大変な年になりそうだ...
《side如月 信》
「ふぅ、やっと終わった。」
生徒会の仕事を終わらせ一息ついた。他の役員はすでに帰っている。自分も帰るかと思い荷物を持ち生徒会室を出る。
「わぁ〜懐かし〜」
誰かの声がした。聞いたこともない声だ。不思議に思いながら声がした方向に行く。
「君はずっと部屋にこもってたからね。あんまり授業に出てなかったし。」
今度は学園長と似た声がした。でもいつもより楽しそうな声だ。こんな声は聞いたことがないため勘違いか?と思いながらも足を動かす。
声の位置からしておそらくここらへんにいるはずだが気配がしないためどこにいるのか全くわからない。
「学園長?」
反射的に声が出た。いつも無表情な学園長が笑っている。これは夢か?
「あぁ、君か。なんのようだい?」
先程の表情が嘘のように元の表情に戻る。切り替えの速さには恐怖すら感じる。ずっと気になっていた事を問う。
「いいえ。その...特には。あの、彼女は?」
「あぁ。君には言ってなかったね。彼女は4月からこの学園の教師になる。」
「そうですか。しかしなぜ学園長であるあなたが...」
教師?そんな話聞いていない。彼女を見た瞬間理解した。まるですべてを見透かされているようなそんな感じがする。まるで学園長を前にしたときのような。これが学園長である彼が直接学園を案内する理由。
「生徒会役員?」
彼女が声を発した。学園長がまた先程の柔らかい表情に戻る。
「翠の言う通り彼は生徒会役員だよ。それも生徒会長。あとSランク能力者だよ。」
「でね信くん。彼女もSランク能力者。僕に次ぐ実力の持ち主だよ。」
なるほど。学園長に次ぐ実力者、言葉道理に受け取るならランキング2位。学園長に紹介されたので自分からも紹介をする。
「私の名前は《如月 信》生徒会長をやらせてもらっています。」
「私の名前は《琴見 翠》4月から教師になる。よろしくね。」
琴見 翠か...聞いたことがある。圧倒的な実力を持つ学園長、その学園長が最も信頼をおき自分と並ぶほどの実力を持つと公言している人物。
「えぇ、よろしくお願いします。」
「それじゃ。仕事頑張ってね」
「頑張ります。」
もう仕事は終わったのだが...気持ちは受け取っておこう。それに、余計なことを話すと学園長に殺される感じがする。
それでは、とお辞儀をしその場を去る。
来年は大変な年になりそうだ...