時間はいくらでもあるから
「では改めて能力学園の教師になってくれないかい?」
紫娟がいつもの笑みを引っ込め真剣に話し出す。
「なんで私に教師になってほしいの?」
「いろんな理由があるんだけど...全部話すと長くなるよ?」
紫娟が心配した様子でこちらを見る。この様子だと本当に長くなりそうだ。
「時間はいくらでもあるから」
「そう、じゃ遠慮なく」
「まずは学園の現状から。今学園には自分の力を過信しているやつが多すぎるんだよ」
「私達が学園の生徒だったときも結構いたでしょ?」
「それがあのときの倍くらいいるんだよね...」
「はぁ?」
「ほら昔は自分の力を過信しているやつでもBランクの下の下が同じBランクの上の上に勝てるみたいな感じだったでしょ?でも今はBランクの下の下がAランクに勝てるみたいな感じ何だよね〜」
「それは...」
自分の力を過信しているやつが多いのはかなりやばい。私たちが学生だったとき任務で死んだやつのほとんどの理由が自分の力を過信し過ぎていたからだ...
「結構やばいでしょ?自分の力を過信しているやつは任務中に高確率で死ぬ」
「では、翠に問題。なんで自分の力を過信するやつがこんなに増えたと思う?」
「わかるわけないじゃん。逆に紫娟はわかるの?」
「見てたら大体わかるんだよね」
「僕が思うに自分より高いランクの力を見てないからだと思うんだよね。いま学園には僕を含めSランクが4人くらいしかいなくてね...」
「誰?」
「Aランククラスの担任と生徒会長とあと一人。生徒会長がランキングに入るレベルの実力者だからもう一人の子が圧倒されて他の生徒が同じSランクなのに圧倒されてるから自分でも可能みたいな感じになったんだよ。」
「確か私達の時代はランキングが4人、Sランクが5人くらいいたね」
「僕たちの時代は黄金期って言われてたからね〜」
「でね、生徒たちの意識改革に生徒会長と翠を戦わせて翠が生徒会長をボッコボコにしてもらおうかな〜って」
「そう。でもそれだけなら私が教師になる理由がなくない?」
「あと1つあるんだけど...まぁ僕が暇だからかな〜」
「あ”?」
「キャーコワ〜イ」
「殺す」
ナイフを作り出し紫娟に向けて投げる。紫娟はそれを何事もなかったように避ける。チッ当たらなかったか...
「僕にナイフを当てるなんて100年早いよ。僕にナイフを当てたいなら...う〜んごめん思いつかなかった」
「で?結局教師になるの?」
「う〜ん私も暇だから...教師になろうかな」
「じゃ、教師になるでいいの?」
「うん。それでいいよ」
こうして私が教師になることは結構簡単に決まったのだった。
《補足》
ランキングとはSランクにのみある特殊制度です。ランキングは8位まであります。1位は紫娟、2位は翠です。ランキングに入る方法はランキング8位に勝つことです。ランキング8位に勝ったら8位になり元8位はランキング外になります。