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演算魔法少女☆ロジカル・シフォン  作者: いくま
第4章 さよなら魔法少女
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第63話 舞金小で1番の美少女

――野伊間のいま家のエントランスフロア


「おーい、誰かいませんかー?」

詩芙音しふぉんちゃん、いるー?大丈夫ー?」


 花田はなだとおるくん、辻村つじむら拓人たくとくん、それと私こと、神埼かんざきしおりは黒猫ロムに導かれて同級生の野伊間詩芙音ちゃんの家にお邪魔した。大きな屋敷の玄関を抜けると辺りはひんやりした空気が漂っていて人の気配は感じられない。ロムは私たちのことをジッと見つめて何かを訴えているようだった。たぶんエサを要求する時の視線ではない。この家に何かあるのだろう。


「なあ、神埼、誰もいなくね?」

「うん、反応ないな〜。詩芙音ちゃんの容態が悪くなったのかと思って慌ててお邪魔しちゃったけど、そもそも不在だったのかな」

「今のうち退散すれば侵入したの、バレないんじゃね?」


 悪ガキで知られる透くんは弱気なことを云っている。普段のイメージからはイケイケの悪ガキだったけど意外に良識人なのかな。

 あと侵入じゃないから。


「神埼さん、どうする?誰もいないような気もするけど猫は探せって云ってるみたいだよ。でも住居不法侵入して家探し、ってなるとバレたら言い訳できないよ」


 常に学年上位の成績をキープする秀才、拓人は冷静な意見を述べる。確かに、確かに。今は緊急避難指示で周辺に人がいないから目立たないかもしれないけど避難状況の確認で警察が見回りにきたら面倒だな〜。

 それと友だちのお見舞いであって住居不法侵入じゃないから。ほんと頭悪いな、コイツら。

 おっと、えへ☆


「あー、下手したら空き巣扱いでロープ頂戴ちょうだいだわな」

「それを云うなら御縄頂戴おなわちょうだいだろ、全く」

「あ、同じだろが?」

「同じじゃな……。待てよ。縄はロープだから……。同じか!?」


「にゃんにゃーん!(漫才は良いから早く来い!ジャリども!!)」

「ほら、二人とも〜。巫山戯てるからロムちゃんに怒れてるぞ。めっ!!」

「神埼さん、ゴメン。コイツが変なこと云うから、つい」

「あ?俺のせいかよ?頭、良いならそれらしく振る舞えっての。いちいち突っかかって度量が狭いな」

「めっ!!!!!!」

「「ひゃい」」


 透くんの云うことも一理ある。拓人くんって頭良いんだけど、細かいし、常識に拘るし。反面、透くんは大きく構えて器が大きい感じ。リーダーシップはあるのかもね。腕力も体力も無いけど。おっといけない、いけない。男の子なんてどーでも良いわ。


 ここまで来たんだから、ね。


「2階に上がりましょう」

「へ?2階って?」

「うん、2階」

「神埼、俺たちの話、聞いてた?不法侵入だからヤバいって……」

「そ、そうだよ。捕まるよ?」


 はーい。深呼吸で肺に目一杯、酸素を取り込んだら、せーの。


「うるさし!!要はバレなきゃ良いんでしょうが。もし詩芙音ちゃんが声も出せないくらい容態が悪化して苦しんでいたらどうするの?後になって「私たちが救えたのに……」、なんて後悔するの、私は絶対嫌だから。何もなかったら何もなかったで、私たちがお邪魔したことも無し!!指紋も足跡も消しておけば誰が気付くっていうの?気付くことすらできないでしょ。無駄なおしゃべりをする前に少しは考えなさいよね!」


 諭し終わり、私が優しく微笑むと二人は小さくなって涙目でコクコクと頷いていた。


「じゃあ、2階に上がろうよ!あ、痕跡を消すのが大変だから、そこら辺をあまり触っちゃダメよ」

「「ひゃい」」


 ぎぃ、ぎぃ、ぎぃ


 階段を登り始めると床板が軋む音が聞こえてくる。女子会の時は盛り上がりで気付かなかったけど息を潜めて動くと小さな音が気になってしまう。スタスタと先を行くロムの後について一歩、また一歩と階段を登っていくのだった。


(神埼って、ヤバいな)

(ヤバイよ。今頃、気付いたのかよ)

(だって舞金小で1,2を争う美人だから中身も普通だって思うじゃん)

(だよな。俺もビックリだった)

(とにかく、触らぬ髪にテカリなし)

(それを云うなら触らぬ神に祟りなし、だろが)


「それを云うなら舞金小で1番の美少女、でしょ?もー、聞こえてるぞ〜。えへ☆」

「「……」」


 美人か。褒められて悪い気はしないな。男の子を単純っていう割に私も単純?でも誰が褒めても関係ないよ。だって私は王子様のものって決まってるからネ!



 2階の廊下を進み、詩芙音ちゃんの部屋の前に立った。念のため、ノックをして声を掛けてみる。


 こんこん


「詩芙音ちゃーん。大丈夫??」


 部屋の中はしんとして人がいるような気配はしなかった。振り向いて二人の顔を見ると不在を確信したような表情で目で合図を送っていた。

 うーん、じゃあ詩芙音ちゃんは一体、何処にいるんだろ?この辺に親戚がいるわけでもないし、まさか入院しちゃったとか?

 もう、心配!!


「……はーい」


「え?何か云った?」

「いや、何も」


 拓人は顔を横に振って答えるが、


「……いるよ〜」


 確かに部屋の中から小さな声が聞こてくるぞ!


 私はもう一度、ドアをノックして声を掛ける。


「詩芙音ちゃん、勝手に上がってゴメンね。お休み続いて心配になってお見舞いに来ちゃった。ねえ、部屋に入っても良いかな?」


「……どーぞー」


 あの目眩を覚えるような重い空気が全身に纏わりつく。気にしないようにしていたが、野伊間家の敷地に入った時に感じた感覚は無くなってはいなかった。


 私はドアノブに手を掛けてゆっくりと回し、扉を開いた。扉の先は何もない空間。床もない、壁もない、部屋ですらない、ただの空間。

 ビックリして扉を閉めようとした瞬間、つるりと足を滑らして何もない空間に落ちてしまった。私の後ろから「ぐわっ!」っという声が聞こえるので振り返ると二人も滑り落ちたようだった。


 ぎぃー、ばたん


 扉の閉まる音がした。


 私は泳ぐような所作を試すけど引っ掛かるものが何もないので何処にもいけない。透くん、拓人くんも足掻いているけど同じように身体の自由が利かない様子だ。


「な、何なの、ココは?」


「『電脳の海』にようこそだよ〜」


 声のする方を見ると私の王子様が座ったポーズで足を組み微笑んでいた。


「あれ、智優ちゆちゃん!!急にお休みするから心配したんだよ!ってアレ?私、詩芙音ちゃんを探しに来たのに何で智優ちゃんがココにいるの?そもそもココは何処なの??」


 疑問はたくさんあったし、解決できるか分からなかったけど智優ちゃんの太陽のように明るい笑顔を見たら大丈夫な気がしてきた。胸の奥が熱くなる高揚。もうもう、もう!!元気になったらたくさん甘えちゃうんだからネ☆


 あれ?でも智優ちゃんって語尾を伸ばす癖なんてなかった気が……


 まるで詩芙音ちゃんのような?


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