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演算魔法少女☆ロジカル・シフォン  作者: いくま
第3章 どきどきスウィート☆シフォン
49/90

第49話 ロジカル☆アウトレンジ戦法

――野伊間家のいまの邸宅


 私が詩芙音しふぉんちゃんの家に着くとみんな集合していた。つまり詩芙音ちゃん、未流みるちゃん、安藤先生、そしてロムだ。


「これで全員集合だの。さて状況の説明じゃ」


 黒猫ロムはテーブルにちょんと飛び乗るとソファに座る4人に対して事務的な口調で説明を始めた。


「最初に魔力が検知されたのは今日の夕方、場所は舞金小の屋上だの。魔力の気配は3つ。いずれの魔力も強大で隠すことなく出力されている。まるで我々を挑発するかのようだの」

「3つか。シフォンとミル、二人で相手をするには厳しいわね……」


 詩芙音ちゃんが腕を組みながら考え込んでいる。口ぶりから察するに前回同様、未流ちゃんの身体を借りて戦う気のようだ。


「私と智優ちゃんのツーマンセルで個別撃破するか」

「うむ、それができれば良いがの。前回は敵の先制攻撃で始まりから二人が分断されておる。今回も有利な展開は望めないじゃろう」

「下手をすると向こうがツーマンセルで来るかもしれないわね。困ったわ……」


 頭一つ小さい背丈の未流が巨大なツインテールを揺らしながら興奮気味に提案する。


「詩芙音姉さま、私も戦います!例え人形に身を移しても残った魔力を駆使して自爆すれば相打ちくらいには。私、姉さまのために散るなら本望ですぅ!!」


 祈るように両手を組んで詩芙音ちゃんの方を向き、自己犠牲の精神にウットリする未流ちゃん。


「自爆で相打ちは無理ね〜。相手の素早さに追いつけなくて単独自爆になるのがオチ。いっそ盾になってもらう方が有効かも……」

「へ?」


 詩芙音の仄暗い瞳に光が宿る。


「ダ、ダメだよ!詩芙音ちゃん!未流ちゃんを捨て駒にするなんて!!」

「あは☆ナイス、智優ちゃん!!これを機に捨ててしまうか」

「くっ!図ったな、智優!!」


 あ、あれ?庇ったはずなのに恨みを買った。ガッツポーズのような抗議の姿勢を取るとツインテールまで逆さまに吊り上がったぞ!怒ったところもコミカル可愛い未流ちゃん、頭を撫でたら火に油を注ぎそうなのでグッと我慢だぞ!


「楽しそうなところにゴメンなさいね〜」


 端の席でニコニコ笑顔だった保険医、安藤先生が作戦会議に割り込む。


「舞金小全体を空間閉鎖してジャーナルポイントを作ったから、空間が壊れても戻れるからご安心あれ〜。でも、あんまり時間が経つと現在とジャーナルポイントの時刻差で空間断層が発生して予期せぬ事態になるかも〜」


 安藤先生は保険医であり、かつ『空間の魔女』

 私たちの戦いをバックアップしてくれる心強い存在。でも空間閉鎖のバックアップには制限時間があるようだ。


「時間が無いみたいだし作戦通り未流の盾で頑張ろー!」

「え!!詩芙音ちゃん、作戦決定なの!?」


 相変わらずの破天荒な『ロジックの魔女』詩芙音。ノリでやっちゃえ的な姿勢を横目にロムはため息をついていた。



 ピンポーン


 ん?こんな夜更けにお客様??


「詩芙音ちゃん、チャイムが鳴ってるけど」

「無視でいいんじゃない?どうせ新聞の勧誘かセールスだよ。またはピンポンダッシュ?」

「いやーーーーー。こんな夜更けにソレはない!」


 ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン!


 ダッシュして逃げるどころか玄関で呼び鈴を連打しているようだ。


「あー、もー、うるさし!」


 詩芙音ちゃんは気怠そうに叫ぶと来訪者を確認するために玄関に行った。



「本当にどうする?」

「ふむ。ここは一つ、奇襲を推すかの」


 黒猫ロム参謀はテーブルの上にちょんと座り、前足を組みながら呟いた。猫のくせに器用だ。というか猫、なんだよね??


「え?だって相手は私たちが来るのを待ち構えてるんだよ。私たちの魔力が近づけば気付かれちゃうでしょ?」

「だから気付かれない場所から奇襲ならばの」


 ロムは前足を舐めて顔に擦りながら上を見上げた。上?そうか相手に気付かれないくらいの上空!!


「って、いやいや。低空まで降りたら結局、気付かれるじゃん」

「気付かれたと同時くらいに攻撃がキマっていれば良いのじゃよ」

「???」

「名付けて『ロジカル☆アウトレンジ戦法』!」

「ロムの名付けって、本当に可愛くない……」



 玄関から詩芙音ちゃんの楽しそうな話し声が聞こえてくる。あれ、お客様を招いている場合なの?でもお客様の声、どこかで聞いたことがあるぞ。


「智優ちゃん、未流ちゃん、お晩デース!!」


 明るい声の主を確認するとソコには赤青黄に彩られた女の子、藍銅ちゃんがいた!


 昼間と異なるのは藍銅ちゃんの格好。白い水着のような衣装を着て、薄くて透けるプロテクタのようなものに全身が包まれている。時折、プロテクタの表面や接合部に細い光が走る。

 よく見ると藍銅の肌にも幾つも細い線が引かれていてプロテクタの光に呼応するように身体が光っているように見える。


 彼女はまるで機械仕掛けの幻想少女のようだった。



――舞金小の屋上


 ノッペリとした仮面を付けた男と女が、人間型の影の化け物を従えて魔法少女の襲来を待ち侘びている。


 影は一見すると手足が細くて力が無さそうであるが、その手には身長と等しいほどの長さの剣を構えている。闇を吸い込むような刀身から揺らめく魔力。その背後には8つの黒玉が浮かび上がっている。静かに微動もしない姿は剣豪を思わせた。


 影の横には司祭服の男が探知用の魔法陣を展開し、周囲に警戒をしている。魔法少女の出現が検知できれば三者で迎撃を行うつもりだ。


 そして新しい武器の具合を確認するレディは落ち着かない様子でイライラを隠せない。石のような殻で編まれた外套。固そうな殻に反して伸縮自在に形を変える。前回、防御できなかったカラフル・ミルの色彩の刃を石殻は防げるのだろうか?


「ねえ、シフォンはまだ現れないの!?」

「レディ、お待ちを。まだ検知魔法には引っ掛かりません」

「今度こそ憎たらしい魔法少女たちをギッタンギッタンにしてやるんだら!」


(ぷっ!ギッタンギッタンだって。そんなん云う人、初めてだ)


「さっさと片付けて役所に行くわよ!」

「はあ?役所??」

「察しが悪い男ね。婚姻届の提出に決まってるじゃない!」

「は?え?いやいやいや、役所なんて開いてないですよ。それに結婚するなんて一言も……」

「安心なさい!婚姻届は24時間、いつでも提出可能よ!!ちなみに深夜は守衛室で受付してくれるわ」


「ば、馬鹿な!日本の行政は化け物か!?」


 レディのセリフに衝撃を受け、一瞬シグナルを見落としてしまった刹那!全く反応が無かった方向から突如として魔力反応が現れる!!


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