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演算魔法少女☆ロジカル・シフォン  作者: いくま
第2章 三人協力、パワー全開!
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第27話 透の決意と成長

――次の日、壊れた秘密基地の前


 放課後、秘密基地でくつろごうと、いつもの場所を訪れるとそこはガレキの山。その前で立ち尽くして呆然とする悪ガキ4人。


 貴重な時間を掛け、掃除したり、割れた窓ガラスを塞いだり、抜けた床の穴を歩けるようにしたり、これまで苦労しながら夢中で作り上げた夢の城が跡形あとかたもなくなっている。


「くっくっ!あっはっはっは!!何があったか知らねーけど。まあ、形あるモノはいつか無くなるって云うしな!」


 悪ガキグループのリーダー、6年生の花田はなだとおるは晴れ晴れしたような声を上げる。


「でもよー、無くなっちまってどうするんだ?」


 透の補佐役、東海林しょうじ貞男さだおが問いかける。


「そうっすよ!どうしたら良いやら……、とにかくショックっす!!」


 5年生の金谷かなやいつきは不満そうに文句を云うが、


「……腹減った。おやつが……」


 同じく5年生の座間ざま波阿斗はあとは相変わらず空腹を満たすことの心配だけ。



 不安定な大気が湿った空気を集め、ガレキを眺める少年たちは少し汗をかいている。それは湿気がもたらす汗なのだろうか? ……いや。


 苦労が水の泡になった徒労感よりも、自分たちが集う楽園ともいえる場所が失われた事の方がショックなのだ。


 透は落ち込む三人の背中を叩いて声を張り上げる。


「あ?無くなっちまったものはしょうがねぇ!まーた作れば良いんだろうが!違うか!?」

「まあそうなんだけどよ、透…… 俺たちって卒業まで時間が無いぞ」

「そ、そうっすよ!あ、でも卒業しても作り続ければ時間は問題にならないっす!!」


 樹は期待の目を透と貞男に向ける。樹はいつまでも4人の関係が続いて欲しいと思っているのだ。


 だが透と貞男は来年は中学生になる。いつまでも小学生ではいられない。部活に参加したり、委員会活動に奉仕するなど、放課後に遊んでばかりいられなくなる。そして勉強。すぐに高校受験の準備になるだろう。


(このメンバーでいつまでもつるんで遊びたい。だが小学生のままではいられないな……)


 複雑な思いを胸に懐きながら貞男は透の顔を見る……

 しばしの沈黙の後、透は胸を張って云う。


「俺たちの代は今日で終わり、ちょっと早いが悪ガキ引退だ!次の悪ガキグループは樹と派阿斗が作るんだ!いいな!」


 突然の引退宣言に呆然とする樹と派阿斗。

 貞男はガレキを見た瞬間から透が引退を決心すると予感しており、さして衝撃は受けない。


(あー、俺たちの悪ガキ時代も終わりか〜。中学生になったら何すっかな?不良グループには懲りたし…… まあ、透と一緒だったらいつでも何でもバカやれるか。ん?)


 貞男は透の顔が少しだけ変化していることに気付く。仲間を守るために必死で不良中学生と戦ったこと、それだけじゃない。何か吹っ切れたような感じがするのだ。


「なあ、透?」

「あ?どうした貞男??」

「もしかして《《失恋》》した?」

「!!!」

「ありゃりゃ、図星?」

「まだってねーから、振られてもねーよ!!」


 先ほどまで威勢が良かった透の顔が茹でダコみたいに真っ赤になっている。それを見た貞男はニヤニヤしながら透の脇腹を突いて尋問を続ける。


「何か吹っ切れた感があるからよー。どしたんだ??」



「俺は自分の『好き』のカタチが分かったんだよ。やっぱり俺は鈴偶りんぐう智優ちゆのこと…… 姿にこだわってひねくれてたけど、やっぱりアイツの強さとか性格とか、中身が『好き』で『好き』でしゃーないんだわ。だったら女装してる時のアイツにも慣れなきゃな!」



 透は照れくさそうに鼻を掻きながら心境を告白している。少年は自分の気持ちを素直に受け入れることができるように成長したのかもしれない。


「素直になったのはいーけど。で?」

「で、だ。まだまだ弱くて鈴偶に釣り合わねーから強くなる覚悟を決めたってことよ!」


 透は袖をまくって細い腕に貧弱な力こぶを作って見せる。


「あっはっは!それかよ。よーやくかよ!!」

「な、何だと!!」

「ま、中学行ってもヨロシクな。お前の恋愛、応援してるぜ、親友!」

「あ?当然だろうが!相棒!!」


 透と貞男は肩を組み、馬鹿笑いする。笑い声は山びこになっていつまでも響いていくのだった……



――悪ガキグループの集いの帰り道


 山を下りて住宅街をトボトボと歩く樹と派阿斗。り所にしていた場所が急に無くなってしまい、二人で途方に暮れている。


「透クン、次の時代は俺たちが作るんだ!なんて云ってたけどよ〜。俺たちだけで一体どうすりゃいいんだ??」

「……腹、減った。困った……」


 ブツブツ云いながら公園に近づくと遠くから女の子の罵声ばせいが聞こえてくる。そして男の子の泣き声……


「派阿斗、公園で何か起きてる!行くぞ!!」

「……ああ」



 公園の中、砂場の近くには4年生くらいの女子数人に囲まれ、泣いてる男の子がいる。男の子のズボンに足跡がくっきり残り、頭から砂をかけられたのか、濡れた目元が砂だらけだ。


 樹と派阿斗は在りし日の自分たちを思い出す。

 クラスの友だちに馴染めず爪弾きになり、イジメられていた日々……


 今、この瞬間と同じような風景。

 公園でクラスメートに囲まれて突き飛ばされ、泣いていると颯爽さっそうと現れた透クンと貞男クンに助けられ、悪ガキグループに入れてもらったことを……



「……樹」

「ああ、そうだな派阿斗!助けるぞ!!」


 樹と派阿斗は大声を上げながら男の子を助けに向かうのだった。



 いつでも、どんな学年にも周りに馴染めない不器用な子はいる。

 舞金小では、そんな子たちが集まる安息の場所が透が率いた悪ガキグループだったのだ。

 樹と派阿斗が心配しなくても大丈夫、すぐに新しい仲間は見つかるだろう。

 そしてどんな場所、どんなカタチに変わっても新しい秘密基地はできるのだろう。


 なぜならば、その場所を必要とする子がいるのだから……


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