第24話 高度上空、ミルの戦い!
――悪ガキどもの秘密基地の遥か上空
カラフル・ミルと『噂を操る者』レディが高速で飛行しながら、すれ違うたびに攻撃が掠り合い、刃先と外套の間に火花が上がる!
そして外套から伸びる無数の糸が鋭利な刃物、または極細い針のようになり、ミルを攻撃する。
ミルが錐揉み旋回しながら迫りくる糸を『色彩の刃』で切り裂くが、針状となった糸は絶え間なく伸び続け、様々な軌道からミルに襲い掛かる。
「ちぃ!次から次へとよく伸びる糸だ!」
「あらあら、逃げながら糸を切り裂くので手一杯かしら〜?さっさとおチビちゃんを片付けてメインディッシュのロジカル・シフォンを頂かなくっちゃいけないわね!」
「誰がおチビちゃんだ!」
小学6年生の平均身長を大きく下回るミルが吠えても説得力が無い!
(くそ!攻撃を避けるばかりでジリ貧だわ。折角のミルの強大な魔力が活かせていない…… それにしてもあの攻撃、ホーミング性能が尋常じゃないわ!)
ミルは急速上昇した後、急激な重力を身体に掛けて一気に反転下降するような変則的な軌道を取るが、ミルが軌道を変えたポイントで糸は直角的に進行する向きを変えて追尾を継続する!
軌道変更に追い付いた何本かの糸が針のようにミルの片足の太腿に突き刺さり貫通する!
「ぐ!ぎぃぃぃーーーーーーー!!」
「あっはっは!細いけど痛いでしょ〜」
失速すれば全ての糸が刺さる!痛みを堪えて加速すると刺さった糸が無理矢理抜かれ、刺された時以上の激痛に襲われる!!
「!!!!!!!!!!!!!!!」
糸の抜けた場所を押さえながら高速飛行を続け、攻撃をかわす。
(くそ。痛いぞ。痛すぎる…… 何か反撃のキッカケがあるはずだ。それは何だ?……)
糸を操るレディを見ても目線は高速で飛行するミルを追い掛けていない。
(アイツ、私を見ていない…… それに軌道が正確過ぎておかしい…… 違和感…… そうか!コイツは私の○○を追い掛けて)
地上スレスレまで下降し、低空飛行をした後、『色彩の刃』を構えてレディをめがけて突撃する。だが先程と同じく漆黒の外套で『色彩の刃』を受け流され、力比べをすることもできない。そして間髪入れず糸が襲い掛かってくる。
だが、ミルはそのまま上昇を続け……
ほんの一瞬。
身体の内側から吹き出す魔力を抑え込み完全に消した時……、糸の動きが止まる!
「ふん!魔力を検知してホーミングしているのだな!」
「それが分かったところで、魔力無しでは刃を作ることすらできまい!!」
「タネと仕掛けが分かれば子ども向けマジックね!!」
ミルは今までと同じように糸の攻撃を高速旋回しながら避けていく。ただ一つ異なるのはミルが飛行した後に残像があるのだ!
赤、青、黄色、緑、オレンジ、紫……、一つとして残像の色に同じものはなく、上空はミルの残像で花火が上がったような輝きが広がっていくのだった。
次第に追尾していた糸はミル本体を捉えきれず、残像に向かって伸び、残像に突き刺さって止まっていく……
「何だと!我が攻撃が残像ごときに惑わされるとは…… その残像、まさか魔力を持っているというのか!?」
ミルの内に宿した強大な魔力を少しづつ残して残像を作っていく。魔力過多のミルゆえにできる芸当だ!
「ふふふ。甘いんだよ、《《小娘》》が!!」
「ええい黙れ!年『魔女』がぁーーーーー!!」
戦い以上に凄まじい火花を散らす二人……
「ホーミング機能をオフすれば、お前の残像なんぞに惑わされないわよ!!」
レディが自ら渾身の一撃を繰り出し、ミルに直撃したかに見えたが……
目線は黒色の残像に誘導されてしまい、残像を突き抜けた攻撃は……、何と地上でロジカル・シフォンと戦う巨大な影に当ててしまう!
「ちぃーーー!ちょこまかと小賢しい!!」
「あら、そーーお??」
渾身の一撃でスキができたレディの懐に入り込むミル。
両手に構えた刃に加え、ツインテールの先端から生えた第3、第4の『色彩の刃』!錐揉み回転しながら接触し、漆黒の外套を切り裂く!
「きぃーーーさぁーーーまぁーーー!!」
痛みに耐え、必死で首元のジョイントを外し、ボロボロに切り裂かれた外套を脱ぎ捨ててミルの攻撃をかわすと、腰に装備していたウィップを両手に構え、次の攻撃に備えるレディ!
「ようやく手を出したと思ったら、次の武器はソレ?ふふ。うふふっ。ふはははははははは!!その玩具でちゃんと私の攻撃を受けられるかしらね〜??」
「黙れ!黙れ!黙れ!黙れぇーーーー!」
ミルの構えた4つの刃がレディに襲い掛かったところで、ミルとレディの間に大きな黒い壁が出現する!
がちゃり……
黒い壁が扉のように開き、仮面を付けた司祭服の男が厳かに出てくる。
「潮時でございます、レディ……」
「まだだ!まだ戦える!!」
とすっ!
司祭服の男は、刃の攻撃でボロボロになったレディに当身を食らわし、脇に抱える。
司祭服の男と睨みあうミル。
「お互いの引き際だと思いますが、如何でしょうか??」
男の問い掛けにミルは答えず、沈黙で応える。
「せいぜい『英霊の復活』まで、はしゃぐことだな、『魔女』殿よ」
「何!?『英霊の復活』だと??」
ミルの問いに答えることなく、二人は黒い壁の中へ消えていったのだった。
◇◇◇
――黒い扉を抜けた先、戦闘から離れた場所
仮面を付けた司祭服の男は先程、カラフル・ミルに負けたレディを脇に抱え、木の影、建物の影、影、影、影……、あらゆる影をジャンプしながら舞金小の用務員室へ移動している。
レディは『色彩の刃』で外套もろともボロボロに傷つけられ、破れたボディスーツの端から肌を露出させ、血を滴らせている。
(だから管理職が現場に出張ると、ロクな事にならないって云ったでしょうが…… いや云ってはいないか)
男が巨大な影とロジカル・シフォンの戦いの場を離れてしまうと、影に注ぐ魔力が止まるため影の力が弱まってしまうことが必定。
(レディを置いて戻るまで保ってくれよ、我が下僕よ!次を探すの大変なんだからな!!)
好条件が揃う中、果たしてロジカル・シフォンは級友、花田透から作り出された影を倒すことが出来るのだろうか?




