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演算魔法少女☆ロジカル・シフォン  作者: いくま
第2章 三人協力、パワー全開!
19/90

第19話 不良中学生との戦い!

 本屋の中で4人の中学生が大声を出して騒ぎ出す。


 他の客の迷惑になるからと、店員が注意をするが中学生は悪びれることなく店員に絡んでくる。

 本来は営業妨害として警察を呼ぶこともできたのかもしれないが、言葉や態度が迷惑なだけで暴力や破壊を伴わず事件性がないことから通報に踏み切れず、頑張ってなだめてさとして穏便おんびんに済まそうとしている。

 お店側としては中学生が悪ノリで一時的に騒いでいるだけとタカをくくっていたのかもしれない。


 俺が店の外から店内の事態を注視していると、店員や客の注意が騒ぎに向いている中、店内のすみで一人せっせと商品をカバンに詰め込む少年がいた。俺の親友、東海林しょうじ貞男さだおだ!


 貞男はカバンがパンパンにふくらむまで商品を詰め込むと血相けっそうを変えて店内から出てきて走って逃げてしまった。俺が追いかけようとしたところで騒いでいた中学生が絡むのを止めて店から出てきたので、俺は動けなくなってしまい始終の様子を見ているに留まった。


 中学生たちはゲラゲラ笑って小突きあいながら、ノリノリで貞男が走っていった方へ向かって歩き始めた。


 恐らく貞男と合流するんだ!そんな嫌な予感を懐きつつ中学生たちの後ろを少し離れて着いて行くと先ほどの廃工場が見えてくる。やはり、ここが合流場所なのか!?



◇◇◇


――再び、廃工場の中


 貞男が本屋から盗んだ「戦利品」を品定めする中学生たち。


 貞男は中学生たちの命令通り必死で頑張ったのだが、どうやら「戦利品」の中に意にそぐわない品がまぎれており、それが中学生たちを苛立いらだたせているようだった。あるいは悪ふざけのノリを盛り上げているようだった。


「誰がこんなババァの写ったエロ本を盗ってこいっつったんだよ!!」


 中学生の一人に突き飛ばされ、貞男が後ろによろめき尻もちをつく。


「す、すいません!棚にあった本を夢中で入れたんで顔とか見て選んでる余裕なんてなくて……」

「もっとアイドルみたいな女が表紙のやつを選べよ、全く!」

「お前、かーちゃん大好きだから気を遣って選んだんじゃねーの?ぎゃははは!」

「誰がかーちゃんでヌくんだよ!?バカか、てめーは!だいたいお前が間違えてこんなエロ本盗ってくるからだろーが!」


 仲間にバカにされて怒った中学生が倒れた貞男の脇腹わきばらを蹴り上げる。


 ぐっっ!


 貞男はうなり声を上げると脇腹を抱えて床で丸まっている。


「あーあ、やっぱつまらねーな!お前と遊んで楽しめねーなら仕方ねえ。お前のご自慢の大切な秘密基地とやらに案内しろよ!!」

「そ、それだけは勘弁してくだ、さい……。云うこと聞いたら秘密基地には手を出さない約束じゃ、ないですか」

「だったら、もっと俺たちを楽しませろっつうの!!おらっ!!」


 二回目の蹴りが貞男の腹に突き刺さると身体を折り曲げたまま胃の中身を吐き出してしまった。吐瀉物としゃぶつにまみれで泣き、嗚咽おえつをあげる貞男……



「止めろ!!俺の親友から離れろ、クソどもが!!!」


 入口のとびらの方から威勢いせいの良い声が聞こえる!舞金小の悪ガキグループのリーダー、花田はなだとおるだ!!



◇◇◇


――廃工場の中の開けた場所、俺をにらみつける4人の中学生たち


 中学生たちは意図せぬ闖入者ちんにゅうしゃの出現に一瞬、戸惑とまどったが、俺が貞男と同じ小学生だと分かるとめた態度で威嚇いかくしてきた。


「何だ、おめーは?貞男のお友達か?」

「そいつの親友だ!」

「お友達でも邪魔するなよ。貞男クンは今、俺たちと遊んでるんだからよ〜」


 中学生の一人がヘラヘラ笑いながら云う。


「遊んでる?万引きさせて、暴力振るって、遊んでるだって!?貞男が苦しんでるだろ、今すぐ止めろ!」

「俺たちは退屈で死にそうなんだよ。お前が代わりに遊んでくれるってのか??」

「誰がお前らなんかと……」


 俺が云い終わる前に目の前に火花が散って吹っ飛んだ。先ほど貞男の脇腹を蹴っていた中学生が繰り出した拳が顔面にヒットしたのだ!


 普段、ごう兄貴や鈴偶りんぐうの攻撃を食らってきたえられているはずなのにコイツらの攻撃は格が違う!


「カッコつけてゴチャゴチャ云ってる割に弱ぇーぞ、コイツぁ!」

「あーあ、お前が本気で殴ったら壊れちゃうぞー」

「コイツが?いや俺の拳だろ?」

「どっちでも良いわ!ギャハハ!!」


 俺を殴った奴は手をプラプラ振りながら後ろの仲間と談笑している。一方、俺は先ほどの一撃のダメージで姿勢が崩れて、膝をつき震えている。世界がぐるぐる回ってしまい、立っていられないのだ。


「だから小学生なんて捕まえても暇つぶしにならねーって云ったんだよ。もうちょっと遊び応えのある奴を探そうぜ!」

「じゃあ、今度は弱そうな高校生でも捕まえてやっちゃうか?」

「そっちの方が面白そうじゃん!!」

「でも、コイツらどうするよ?」

「あー、新しい玩具を探す前に今日はコイツらをもう少し痛めつけて遊ぶか……」


(くそ!くそ!くそがぁーーっ!)


 俺が身体を硬くして次の攻撃に備えると……


 次の瞬間、俺を殴ろうとしていた中学生が横に吹っ飛んで転がった!何が起きたのか分からず振り返るとソコには毎日、見慣れた姿が。


 ……トゥンク……


 ツンツンのショートヘア、ヘンテコマークのTシャツにジーンズの短パン。中学生を殴りつけた勢いを殺してぴょんぴょんねながら拳を振る勇ましい姿。


 俺様の永遠のライバル、鈴偶りんぐう智優ちゆだ!


◇◇◇


「もー、透!ケンカ弱いんだからヒーローぶるのやめなよ」


 情けない姿の透に対して辛辣しんらつなエールを送る智優。


「おーい、吹っ飛んだけど大丈夫か〜?」

「痛ってぇ。マジで痛ぇ!」

「今日は小学生をボコったり、ボコられたり忙しいな!全然、退屈しねーぞ、あはははは!!」


 貞男を蹴っていた中学生が智優の一撃で吹っ飛ぶと他の三人が動き始めた。智優のことを一人では敵わないヤツ、そう判断したのだろう。


「透!まだ動ける!?」

「あ?ああ……」


 透は少しふらつきながら立ち上がりファイトポーズを取る。貞男の方はダメージが大きいのか、既に床で動かなくなっている。


「透は弱っちぃから、とにかく一人を捕まえてガードをして耐えてて。いっぺんに4人の相手をするのは辛いからさ」

「あ?俺は弱くねーぞ!?」

「そーゆーの分かったから。とにかく頼んだよ!」


 透の反論を聞く前に智優は中学生の一人に向かって走っていく。最初の攻撃をスウェーで交わすと綺麗に半回転して蹴りを繰り出し、相手の顔にヒットさせる。まるで目一杯開いたコンパスが踊っているかのような綺麗な動きだ。


(いつの間に鈴偶はあんな戦い方を覚えたんだ??そういえば最近、何となく雰囲気も変わってきた気がするし……)


 そんなことを思いつつ、透も別の中学生にタックルをかます。体格の違いがあり大きなダメージを与えることはできないが一人は足止めできた。


「このガキ!」


 タックルを食らった中学生が透を押さえこみ背中を殴りつける。容赦ようしゃない攻撃を背中に受けるが、透は中学生の腰を掴んで離れない!


 一方、智優の回転蹴りを食らった中学生は後ろに後ずさり、ひるんでいる。智優は更に追撃を加えようと今度は蹴った方の足を軸に勢いを加えて回転を始め、次の蹴りの準備をするが……


 蹴りの体勢になったところで、まだ攻撃を受けていなかった中学生に両肩を捕まれ、せっかく遠心力を活かしてつけた回転の勢いを失ってしまう。


「あ……」


 智優は最初に貞男を蹴っていた中学生がフルスイングで繰り出した拳をガラ空きだったボディに食らい、2撃目を顔面に受けてしまう……


「がぁっ!!」


 廃工場に智優の悲痛のうめき声がひびく。透は渾身こんしんの力でつかんでいた中学生を突き飛ばし、智優の元へ駆け寄り、細い身体を支える……


「くそっ!中学生っつうだけでこんなに力が違うのかよ!が悪過ぎる!!」

「透、反撃のチャンスを探すんだよ!ケンカは諦めたら負けるよ!!」


 透は殴られた背中の痛みに耐え、智優は口いっぱいに広がった鉄臭い味のモノをペッと吐き出して次の攻撃に備えていた。


 智優たちを囲んだ中学生はニヤニヤ笑いながら反抗的なおもちゃをどう壊すか悩み、そして楽しんでいるかのようだった。


 床には相変わらず貞男が倒れたまま……

 友だちを置いて逃げることはできない!だから智優も透も逃げられない状況なのだ!


 呼吸は乱れ、身体は硬直し、およそベストの状態とは云い難い。


 不安と恐怖、自分たちが負けた後の最悪の事態が頭の中を駆け巡る……


 それでも自分たちを守るには目の前に迫ってくる敵にあらがわなくてはいけないのだ!


 子どものケンカで命は獲られない?そんなことは当事者じゃない奴が云うことだ。いつでも私たちは『本気』の世界で生きているのだ!



◇◇◇


――そして、あっけない幕引き……


「おー、舞金中の奴が俺抜きで何か面白そうなことやってるじゃーん。お前たち、何様〜?」


 絶体絶命ぜったいぜつめいのピンチの中、廃工場の入口から智優の知った声が聞こえる。


 声の主がサッと移動したかと思うと智優を殴った中学生が垂直に宙に浮き上がって床に落ち、泡を吹いてノビていた。


「あーあ、やばいやばい。鈴偶ってば『激おこ』じゃん」

「兄ちゃん!!」


 透がもう一つの声の方を向くと見慣れた顔、兄貴の花田はなだごうが両腕を組んで仁王立におうだちしていた。


(え、鈴偶?この人、鈴偶っていうのか?この人が鈴偶智優の??)


 智優の兄、かけるは無表情のまま次の中学生の胸ぐらをつかんでなぐり続けていた。殴られている中学生は既に抵抗なく、グッタリとしていたが駆の手は止まらない。


 業の後ろに控えた駆と業の仲間と思しき面々がゾロゾロと入口をふさぎ、残りの二人が逃げ出そうとした時には逃げ道は完全に無くなっていた。


「遅くなったな、透!ぷっ!相変わらず弱ぇな、お前!」


 透のやられっぷりを見て業は苦笑いする。


「それにしても鈴偶の『弟』の方がお前よりよっぽど強いんじゃないか??って、おい大丈夫かー?」


 最後の気力でようやく立っていた智優が倒れかけ、業が支えてやる。


 狂戦士バーサーカーと化した駆は逃げようとしていた二人を捕まえ鉄拳制裁きょういくてきしどうを続けていた。


「……わ……だ」

「ん?どうした鈴偶『弟』??」

「わたしは『おんな』だーーー!!」


 智優は最後の力を振り絞って叫び、そして気絶した……


「へ?妹?じゃあ、鈴偶(兄)ってシスコンだったってこと??」


 暴走を始めたシスコンの鈴偶(兄)は最後の一人を倒して咆哮ほうこうを上げていたのだった。


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