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一章~(2)女王様の教室~

「今日からこのクラスの担任をすることになった、川神です。よろしく。」


俊平は4組の生徒に“とりあえず”な、やる気のない自己紹介をすると、淡々と出欠を取り始めた。


生徒は、俊平の暴力事件を知っているのかヒソヒソ話をしているものもいたが、大方は様子見をしているといった感じだ。


「・・・葛城美咲」


その生徒の名前を呼んだとき、教室がざわついた。欠席かと思い空席に目をやると、俊平の目にとんでもないものが映った。


“死ね”“消えろ”落書きと疵だらけの机、そして机の上には菊の花・・・。誰がどう見てもわかるほどの、いじめの痕跡。


と、そのとき一人の女子生徒が手を挙げた。九条優梨である。


「先生」


「どうした?」


優梨が発言した瞬間、教室がしんと静まりかえった。


「葛城さんなら保健室にいます。」


「そうか。」


「葛城さんはずっと保健室にいて、この教室に来ることはありませんのでよろしくお願いします。」


「ああ、そんなことより・・」


「どうかされましたか?先生。」


「ああいや・・・その机だけど、後で片付けといてくれよ。」


俊平は美咲の机のことを聞こうとしたが、優梨のどこか挑戦的な表情が気にかかり、途中で思いとどまった。


優梨は清条学園の理事長、九条聡太郎の娘だ。前任の高田は優梨を怒らせてクビになったという経緯があり、俊平は教頭から、くれぐれも注意するように言われていたのだ。


俊平は、優梨が4組の教室を支配している女王様であると理解した。

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