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二章~(4)秘密の友達~

和樹の妹、桜華と里実の出会いは3年前にさかのぼる。自動車事故でけがをした里実が運ばれた病院に、桜華も入院していたのだ。俊平も同じく運ばれたのだが、俊平は軽症ですんだため、早々に退院していた。



里実が自動販売機で飲み物を買おうとしている。両足を骨折して車椅子のため、上段のボタンにうまく手が届かない。それを桜華が見つけた。


「お姉ちゃん、どうかしたの?・・あ、届かないんだ。桜華が押してあげるね。どれがいい?」


ところが、そこに通りがかった看護師が先にボタンを押してしまった。


「だめ!もうっ!桜華が押そうと思ったのに。」


「それぐらい別にいいでしょ。それより桜華ちゃんもウロウロしてないで病室戻りなさいよ。」


立ち去る看護師にふくれっつらを見せた桜華に、里実は、「桜華ちゃんもありがとう」と優しく微笑んだ。


「あっ。やっと笑った。」


「え?」


「お姉ちゃん、いっつも元気ないなぁって思ってたの。何か悩みがあったら桜華になんでも相談してよ。」


「うん、ありがとう。でもどうしようもないから。」


「どうしようもないって?」


「事故で・・・パパとママが死んじゃったの。」


「え・・・2人とも?」


桜華は両親を失った里実のことを思って悲しい顔をした。


「そんな顔しないで。元気づけようとしてくれてありがとう。」


「・・・・そうだ。」


桜華は何かをひらめいた。


「お姉ちゃん、野球好き?」


「好きだけど、どうして?」


「お兄ちゃんがね、野球部でピッチャーやってるの。すごいんだよ。速い球も投げるし、ほとんど打たれないし・・・」


桜華の自慢話を聞いていて、里実は楽しい気持ちになっていた。里実の父は少年野球のチームの監督をしていたため、昔から里実は野球が大好きだった。


「・・・ほんっとにお兄ちゃんは世界一カッコいい世界一のピッチャーなのよ。それに」


「それに?」


「見てるだけで、元気になれるの。だから今度桜華が連れてってあげるよ。」


「じゃあ約束ね。」


里実と桜華は指切りをし、病院の近くの野球場で行われる試合を見に行く約束を交わした。


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