渦中の僕たち
なし
路面は下りカーブ…更にブラックアイスバーン…「す、すすす滑りますね…」ようやく僕が絞り出すように言葉を吐く。「…………。」センタさんは無言。なんとか走行停車は出来たが、この間も下り坂に従いタイヤが滑り続けており、道路前方に対して車体が左側45度程の角度になりつつ未だ滑りを止めない。車体の右後方が既にセンターラインを超えている。状況としてはいわば、ノンアクセルでの「ドリフト」の状態だ。センタさんはブレーキを踏み締めながら逆ハンドルを切っている。
「ズズズ……ズリ…ギィィ…」僕は思った。「このままなら…ガードレールに…ぶつかる…ぞ…」「そして今。今、この状態で対向車が来たらマズイ…」「矢の如き走る対向車が来たら…もっとマズイ。いや…死ぬ。かも…」絶句が続く…マジでヤバい!!……車内に異常な緊張が張り詰める。景色がスローモーションになり視界が歪む、そして灰色になる…。「この感じだと、ガードレールにぶつかったとしても、ゆっくりだし、恐らく怪我はないだろう。しかし配達が不能状態に落ち入り、最悪JAFに救援を呼ばねばならないかも…」「いや、車が少しでも破損したら…色々と弁済が発生したら…責任は誰が果たすのだろう…そういえば保険関係を確認しとらんやんけ!…ど、どうなっちゃうんだろう…」と、グルグルと瞬時に思考が巡る。僕たちは滑り続ける車内で、何も出来ず身体を硬直させ、ただただ黙っていた…」
………結果として、車体はガードレールギリギリのギリギリで滑りを止めた。ちょうど路肩は圧雪帯だったので、タイヤは路面からグリップを得られたようだ。「止まった……。ホッ……。」僕たちは安堵する。しかし、それも束の間であったのだ。……続く
来た
その時が来た
その時は突然来るが
いつもその時は分からない
掴め…
掴むんだ瞬間を
そう
それが今
今がその時なんだ
時代に轟け
そして
輝けよ君