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辞めたバイトを思い出し。R4-8-8  作者: 君月 満
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加速する車体は暗闇にありて

なし

 センタさんの運転で僕は助手席に座車。車は加速しっぱなしで、ハンドリングも更に荒くなる。「あれ…センタさん意外にやるね…あ!あ、そこのカーブも加速するのね…う!」高齢責任者から予め頂いていた宅配先が記載された地図紙を握りしめ、揺れる車内でガッサガッサと上下左右に動かして現在地を把握しようと四苦八苦する。「地図が暗くて見えない…ピントが定まらない…現在地が既に分からない…やべぇ…」と考えていた。するとセンタさんが「初めは門構えを知る事が大事かな…」「地図紙じゃ把握はちょっと難しいかも…」と、車体のスピードに相反してセンタさんのゆっくり話す口調や落ち着きぶりがちょっと怖い。「そうなんすかぁ…」センタさんはどうやって覚えたんですか?と質問する。僕は初対面の人物であっても物怖じせず、割と話しが出来る性格らしく、ズケズケとセンタさんに話しかける。なんというか初対面の車内で会話の間が開くというか、無言が続く方が僕的にはかなり無理なのだ。

「僕はGoogleマップを使ったかな…」「住所登録したら後々楽だよ…」そう。その手があったのだ。わざわざ地図紙を見て住所を把握する古式方法より、スマホで一発検索出来ちゃう方法の方が効率が段違いに向上するのだ。「そっか、そうだよね。その方法の方が的確だわ…」と、かなり納得安心し、地図紙を折り畳んだ。そして早速スマホでGoogleマップを開き、車の揺れに身体を任した。

 配達の仕事は天候に大きく左右される。よって、雨の日なんかは極端に効率が下がる。本降りの中で宅配をする事は、例えるなら服着てシャワー浴びながら仕事するようなもので、発汗と雨水で身体はビシャビシャギトギト。カッパ着て配達するなんて邪魔くさくて、とても出来やしない。なんせサッサと配ってパッパと帰宅したいというのが本心である。

…続く


闇を切り裂くヘッドライト

テールライトは赤い涙を流してゆらゆら消えゆく。

配達魂……

配達魂は眠らない

配達魂は揺るがない

魂からの贈り物は老体の中に滑り込み

セーフになるのかアウトになるかは

その人次第

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