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19 精神干渉(ケーテ?視点+カイン視点)

『よくやったわ!これで私の勝ちが確定したも同然!ウアマティ王国はこの私のものよ!』


 この世界は小説から派生した国盗りゲーム!私はそのプレイヤーの一人として転生した。


 かわいらしく清貧で、民に優しく平等で聖女とも呼ばれるキャラクター。王族、ケーテ=メックラムとして。


 でも、私という存在はイレギュラー。攻略方法通りに動いても私という意識がある以上何らかの予測できないことが起きるかもしれない。

 なら、行動理念だけを潜在意識に焼き付けて私を眠らせておけば?ゲームのようなケーテを演じる、いいえ、ケーテとして生きる人格を作り上げればいい。


 私が目覚めたときはちょうどゲームが始まる直前。


 この国取りゲームは2部制、10歳から14歳までの祖国パート。平民か貴族、どちらかの支持の奪い合い。かといって足の引っ張り合いをしてどちらの支持も低い場合、簒奪者か革命者が現れる。第2部の留学パート中に王国はクーデターか革命が起き、留学しているプレイヤー達は急遽帰国して祖国を取り返すことになる。

 もともと、ケーテは平民の支持を得やすく、フロレーテは貴族や騎士などの支持を得やすい。

 なら、まずは平民の支持を集めて土台を作る。


 かわいらしく清貧で、平等で優しい王族の姫。

 純粋で従姉のフロレーテを慕い、徐々に離れていく距離を悲しく思っている少女。

 優秀でまじめ、何事もに真剣に取り組むまさに聖女のような少女!


『そう!私はそういう生き方をする人格を、いいえそういう元の人格を再構築した!』


 第2部は留学先での他国の有力者の支持を得ること。

 一年先に留学するフロレーテが有利に思えるが、セイラ=ウィルゴの好意を手に入れたものが実質の勝者。

 原作の小説では悪役令嬢だが、実際は神からの加護を多く受けた存在という設定が加わり、きつめの厚化粧をした顔ではなく、素顔に近い精霊もかくやというほどの美少女として登場する。カイン王子との仲も悪くない。

 他国に大きな影響を与えるこの国の12公爵家のなかで最も重要視されている令嬢。

 そのセイラ様との仲を深め、より友好度を得たほうが女王の座に近づく。


 ケーテもフロレーテも幼いころからセイラ様に幼いころから憧れを抱いている。

 だからケーテは純粋にセイラ様の役に立つために動く。ゲームではただ会話をしていけば好感度は上がる。ただしミッション、ミニゲームが存在する。

 それは学力であったり魔法であったり、ミレーヌ様の排除であったりする。


 だから純粋に、善意で、憧れているセイラ様のために、ケーテは動く。だってゲームだから。

 悪意などそこに存在しない。聖女の様に微笑んで、ただ純粋な善意だけが存在する。


『そう、人格を再構築したのよ。そして私は眠りにつく。まさか階段落ちして私が起こされるとは思わなかったけどね』


 でも今回のことでフロレーテの評価はダダ下がり、これで私が庇えば私の株は鰻上り。

 暗示をかけなおせば絶対にケーテはフロレーテをかばう。だってケーテはフロレーテと純粋に仲良くなりたいんだから!

 それに実際に自業自得で落ちたんだし。でも走った原因はフロレーテだわ。絶対にケーテは庇う。

 庇えば庇うほどフロレーテへの疑惑は増えていって、どんどん追い詰められていく。


『あははははあははあっははははははは!』


 笑いが止まらず笑いすぎて痙攣するほど笑って、この精神世界に作り出した鏡をのぞく。


『ほらぁ、お前の出番だよ。純粋で優しくて平等で悪意のない聖女様ぁ』


 鏡の中で眠るケーテの頭を掴んで引きずり出す。


「痛いっ」

『じゃあがんばってぇ?私が女王になるためにちゃんと働きなさいよ』



























 醜悪だね…。

 階段から落ちて以降、眠り続けるケーテ様の精神世界に干渉してみれば、随分と醜悪なものをみちゃったかな。


 セイラがケーテ様が目覚めないから、各人の言い分も含めてケーテ様が階段から落下した件と、ミレーヌへの嫌がらせの件の確認が出来ないと苦笑してたからちょっと覗いてみたけど、タイミングが良かったのか悪かったのか、気分はよくないな。


「セイラ、ケーテ様は多分もうすぐ目が覚めると思うよ」

「あら、そうですか」


 僕の言葉を一切疑う様子のないセイラに思わずキスしてしまう。セイラという存在は、僕の様に神・精霊の影響が強いものや神・精霊そのものにとって、何日も飲まず食わずにいたところに見つけた甘い果汁を滴らせる果実みたいなもの。

 思わず手に取ってその味を確かめたくなる存在。

 正直、神国といっても薄まった血の他国の王族や、多少精霊の加護を受けた程度の人間ならともかく、秘宝の加護という名のこの世界からの強い加護を受ける12公爵家の人間が平然と接しているのが信じられない。

 それほど、12公爵家の人間の精神が狂っているということなんだろうけど、12公爵家の人間の精神には干渉できないんだよね。

 干渉できれば、セイラの心の中に入り込んで、内側から僕の証を刻みつけるのに。


 従者すら退室させた談話室のソファに押し倒したセイラはいつも抵抗しない。それは僕は婚約者だから。

 手で掴めば容易く指が沈み込み、形を変えて戻ろうとする弾力を感じる事が出来る。開いた襟ぐりから、ずれたドレスの胸元から見えるまろみを帯びた白い双丘は舌を這わせれば甘く感じる。

 絹を撫でているようなするりとした、けれど手に吸い付く肌はいつまでも触れていたくて、もっと触れたくなっていく。

 僕だけに許された権利、この肌に触れて花を咲かせるのは僕だけ。


「カイン様」

「ん?……ああ、ごめんねやりすぎちゃったねー」


 滑らかな肌にもっと触れたくて、気が付けばシュミーズドレスはへその上までめくれ上がり、胸元はすっかりとはだけて下着すらずれてしまっている。


「でも、セイラが悪いんだよー。せっかく帰ってきたのに、ミレーヌやケーテ様達にばっかり構うから」

「それは申し訳ございません」


 今日はショーツではなくドロワーズだから、裾からめくりあげて中に手を入れて太ももの感触を堪能しながら言えば、変わらない口調で返される。

 感覚の遮断だか知らないけど、こんなに触れても一切反応ないのもちょっとつまんないな。


「けれど、ミレーヌ様は今回の件で随分ショックを受けたご様子なのでしょう?」

「ん~。まあ、食事は僕と一緒じゃないと食べれない感じだったね。物音にも敏感になってた」

「そうですか。今は回復なさったのでしたよね?」

「ん?うん、食堂棟でそんなことする人はいないって説得して、友人と一緒に食べるなら大丈夫だって言い含めたんだよ」


 ちょっと精神干渉もしたけどね。


「最初はびっくりしたよ、セイラが仕組んだなんて言い出しちゃってさ。セイラは出かけてるから無理だって何度も言い含めてやっと納得したんだ」

「それはご苦労様でした。本当に、ミレーヌ様に悪質な行為を行った方は、困ったものですね」

「そうだねー」


 正直どうでもいいけどね。セイラが気にしてるからしょうがないね。


「セイラ、ドロワーズ脱がせてもいい?」

「駄目です。カール様に怒られてしまいます。性交渉のようなことを行うのはきっと節度ある行為に反します」

「節度ある行為ねー。性行為したら妊娠する可能性が普通はあるからかなー?」

「そうですわね妊娠してしまうと流石に戦闘への参加に支障が出るのでお控えください」

「はーい」


 セイラの言葉にちょっとむっと来たからへその横を噛んで赤い歯型をつける。その時ちょっとだけ自分の魔力を注ぎ込んでみる。


「ん…。それにしても私が関わっているようですしこれ以上放っておくわけにも参りませんでしょう」


 こうした触れ合いは数か月続けてるけど、初めてセイラが反応を返してきた。


 もしかして魔力に反応してる?

 そういえば、キスは反応返ってくるよね。体液に含まれる魔力に反応してたのかな。


 そう思って胸にを撫でる指先に魔力を込めて、魔力を塗り込めるように指を動かすと、やっぱりセイラがピクリと反応を返してくる。


「セイラ、感じてる?」

「……お戯れをなさらないでくださいませ」


 そう言ってセイラは困ったように、甘く感じる吐息を吐きだして僕の手の上に自分の手を重ねて引きはがす。

 力では12公爵家に勝てないよねー。


「ケーテ様が目覚めるのでしたら諸々の事情が訊けますわ。フロレーテ様がケーテ様が階段から落ちたのは自分のせいだと言って譲りませんし、けれども突き落としたりしていないのはペレト様他複数の方が証言なさってますし」

「ああ、でもケーテ様がフロレーテ様がとか言って指さしたせいで突き落としたんじゃないかって疑惑があるんだよね」

「ええ、困りますわね。ケーテ様が眠りについているからご友人方が戸惑ってますものね。統率者がいないのでは動こうにも、動けませんものね」


 ミレーヌいじめは僕の調査すら誤魔化せるレベルで統率されていた。交流のほとんどない人物間でのアリバイ証言。

 まるでそうなることがわかっていたかのように用意周到に作られた工作空間。

 ミレーヌには悪いけどあそこまで証拠を作り上げられちゃね、僕にはセイラのせいじゃないってことぐらいしか言えないよね。


「セイラは忙しすぎるよねー。僕がすねちゃうよ?」


 そう言ってキスをして体を密着させて触れたところから魔力を流し込む。ドロワーズの上から股の間に膝を押し付けて、そこにも魔力を送り込む。


「んんっ…」

「はあ、セイラかわいい」


 紅潮した頬と濡れた目、ピクピクと痺れたように痙攣する体はうっすらと汗をかき始めてさっきよりもしっとりと手に吸い付いてくる。


「んぅ、ん……今は僕を感じてよ」


 キスの合間にそう呟けば、驚いたように目を見開かれた後に熱を帯びた目が笑みの形に変わり、セイラの腕が僕の首に回された。


「お戯れはほどほどに」


 ベリッと首根っこを掴んで無理やり引きはがされて笑みを浮かべた顔でそう言われて、僕はしぶしぶうなずくしか選択肢はなかった。

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