作者の業
物語を産む。
それは物語を紡ぐ者としての責務である。
しかしその物語を読む者は誰もいなかったとしても、果たして物語を書き続ける必要はあるのだろうか。
だが一度物語を綴り始めたら、それが終わるまで書き続けなければならない。
たとえ、その者の苦労を知る人は誰もいないとしても、
たとえ、その物語を読む者は誰も現れないとしても、
物語を書き続かなければいけない。
それは物語の紡ぐ者として、それは物語の産み親としての、
せめての責務であり。
ならば、
私は書き続けよう。物語を綴ろう。
膨大なる文字の海の中に彷徨い、適切な語彙を掬い上げ、物語という網を編もう。
大胆過ぎる航海をし、一人で物語の世界の中で冒険し、終わりが見えない水平線まで目指そう。
たとえ、その物語は海の中に深く深く沈められて、埋もれたとしても、
たとえ、その物語の存在に誰にも気付かれることはなかったとしても、
たとえ、その物語が誰にも読まれなかったとしても、
たとえ、想いを誰にも届けなかったとしても、
書き綴ろう。
まだ見ぬ終わりへ、目指そう。
それは物語を紡ぎ始める者の責務であり、業でもあるから。
部屋の片隅に潜んでパソコンの灯りを灯し、
誰にも見えられぬようにと覆い隠し、
灰色の部屋の中でカタカタ音を鳴らし、色づく世界での物語を綴ろう。
せめてここに生きた証を残せたことに、感謝しよう。
せめて一人の読者が現れたことに、礼を言いよう。
ありがとう。
私は、まだここにいるよ。
この広い、冷たい海の中に、ここに、いるよ。
すみません、ちょっと吐き出したくなっただけです。
心配されずとも、まだ連載に頑張りますので、よろしくお願いします。