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白狐の自由な旅路  作者: 猫宮るな
2/12

その2。

本日二本目です。

 地面には足首までの高さの草が広がっていた。所々にそこまで高くない木が生えているだけで、他には何もないようなところだった。


 空は青く雲一つない良い天気であった。少し風が吹いているがそれも気持ち良いと感じられるものだ。


 そこから周りを見渡してみると、少し離れているところには森が広がっており、その反対側には町らしきものが見える。


 ここは森と町の間の草原と言ったところだろうか。そこには一人の小さな女の子が立っていた。


 その少女は小柄で見た目で言うと中学生くらいであろうか。身長だけを見れば小学生ともとれる見た目ではあったが、とても可愛らしい顔立ちをしており、髪の毛は真っ白のストレートロングでその長さは腰の位置まで伸びていた。風でふわふわとなびいている姿はとても綺麗だと思えるものだった。


 そして瞳の色は琥珀色しており、少女の一番の特徴を表しているのが髪の毛と同じ真っ白な狐耳と尻尾が付いているところである。


 ケモ耳少女というやつであるが、種族としては一応この世界では当たり前にいる獣人という種族なので驚くことではない。まぁ白狐となるとそれほど多いわけではないのだが。


 それにこの少女がこの世界に今さっき来たばかりなのだが、とりあえずは置いておくことにする。


 少女の服装は上はオーバーサイズのTシャツ着ており、その下にはタンクトップを着ているようであった。下の方はというとミニスカートとニーソの間に見事な絶対領域が作られていた。靴は膝下辺りまでのブーツを履いている。その服装の上からふくらはぎほどの丈のフードが付いたマントを羽織っていて、全身が隠せるようになっているようであった。


 基本的には全身黒一色であるが全て真っ黒というわけではなく、所々可愛く見えるように灰色や青色などが入っている。


「えーっと、ログインは出来たわけだけど、ステータス画面は確かここだったよね」


 事前に知っていた通りに、その少女が左手を動かしてメニュー欄を開いた。そのままステータスのところを開くと、そこにはその少女のステータスが書かれてあったのだった。




シャノワール Lv.1

 種族:辰狐  female

  クラス:夜叉

   サブ:    :    :

 アルカナ:隠者


 契約

  闇の始祖精霊【黒姫】

  黒狼王【黒百合】


 装備

  妖刀-夜宵         隠者のマント

  妖刀-血喰らい       隠者の衣

                隠者のブーツ


 スキル

 【夜神 1】【鬼神 1】【天地虚空 1】【限界突破】

 【二刀流-短剣 1】【魔挙術 1】【付与魔法 1】【CT減少 1】



 こんな感じであった。上から名前、種族、性別、クラス、アルカナ、契約しているものたちで、装備、スキルとなっている。


「んー、ステータスが引き継げるのは知っていたし、実際に指示された通りにやったわけだけど、これは流石に初ログインでこのステータスはやばいんじゃないかな?」


 彼女はアナザーワールドストーリーで最後までプレイしていた、トッププレイヤーの八人の内の一人である。正確にはトッププレイヤーだったか。そんな彼女は今いるこのゲームの世界へとログインして来たのであった。


 このゲームはオースオブヒーローズという名前のゲームである。略してO-Hである。アナストのシステムなどを使っており、そのためこうしてアナストのデータを移行することが出来たのであった。


 この世界で活動するためのキャラを作成する際に三つの勢力のどれか一つを選ぶのだが、

その選んだ勢力の人たちと協力して別勢力の人たちと争い自分たちが一番になるということになっている。


 善や悪と言ったものはなく、どの勢力にも色々な種族がいて、よくあるような勇者とか魔王とかの勢力は存在していないのであった。しかし特殊な条件として稀に三つの勢力以外の勢力を作ることも出来る。まぁまだそんな勢力は存在せずに、三つだけの勢力で争っていたのだが、今日からは三つの勢力以外のものが出来上がるわけだが。


「クラスとスキル以外はそのまんまで、特に確かめることもないかな。クラスに関してはサブクラスが三つ新たに追加出来るみたいだけど、この場では出来ないから何か条件があるんだろうな。そしてスキルも大体のものがこっちに持ってくることが出来たから良かった。レベル上げはしないといけないけど、一から取得するわけじゃないから楽か」


 自分のステータスを確認していたシャノワールだったが、通知音に気が付き、メッセージのところを見てみた。そこにはログインしたという言葉が書いており、この場所に来てくれということであった。


「とにかく先に合流して方針を決めようということかな」


 そんなことをつぶやきながら指定された場所へと向かって行った。その場所は平原から見える町の入る前のところということだった。町には外壁もなくどこからでも入れるようになっていたが、目立つところに見張り台があるのでそれを目印に適当に集まるという感じだ。


 これには集まるメンバーにまとまりが無さ過ぎて、むしろ適当に言った方が集まりやすいという意図があってのことだった。


 それから十数分後呼び出されたメンバーが全員集まっていた。


「無事に全員集まれたみたいですね。まぁ適当にこれからのやることを共有しようと思いまして、ある程度はそれぞれやることはわかっているとは思いますが」


「そうだな。俺はレベル上げを行いながら、強い敵を探しに行くって感じだな」


「私はアナストで一緒だった人たちがすでにこのO-Hに来ていますので、その方々と合流するところからですかね」


「わしは色々と作れるように拠点を見つけたいのう。それと並行して素材集めでもしようかの」


「私はロム爺の手伝いをしよっかな。早く色んな武器を作って欲しいし」


「「私たちは魔法関係を調べるよ!」」


「シャノさんはどうします?」


「そうだなぁ。シリウスは?」


「私はどこかの街でもいただくことにしましょうかね。そのためにもレベル上げは必須ですが、というかみなさんレベル上げは必須事項ですよね」


「そうだね。んー、強い魔物にプレイヤー、この世界の広い知識、素材やアイテムなど、魔法関係、それぞれの街の情報、みんなはこんな感じか。それなら適当に歩き回って、気の向くままに行動してみようかな」


「シャノさんは今までみんなの手伝いをしていたことが多かったので、今度は自分の好きなことを好きなだけしてみるというのもいいかもしれませんね。ということでみなさんの行動を把握したわけですが」


「そういやどうやって情報共有をするんだ? 掲示板とかはなんだろ?」


「はい、リアルはもちろんゲームの中にも掲示板というものはなく、色んな情報を知ることが出来なくなっています。しかしフレンド同士であればグループを作り、そこでメッセージを送ることで情報共有をすることが出来るみたいなのでそれを使いたいと思います」


「そんな機能があるんだね」


「そこまで運営は鬼ではないということですね。そう言うわけなので知った情報の方はそこに送ってください。最後に確認ですが、この八人で協力をするということでいいんですよね?」


「ああ、何もかも協力するということではないが、俺たちが第四の勢力となってこのゲームを遊ぶことにしたんだ。協力は必須だろう」


 その言葉に他のメンバーたちも頷いた。


「わかりました。私も協力をしましょう。では、みなさん何かあったらメッセージを送るということで」


 言い終わると、みんな一言ずつ交わして一、二人で別々の方向へと向かって行ったのであった。


 これらのことは前から決めていたことで最初は自分の好きなことを全力で楽しむということにしたのだ。その過程で協力して欲しいことがあった場合はその人たちで話し合い決めるということになった。


 このメンバーにはこうした関わり方が一番楽で一番良い方法なので満場一致でそうすることとなったのだった。もともと好きな時だけ一緒に遊んでいたので、今更ずっと一緒に行動して協力することは不可能に等しかった。


 そうしてアナストのトッププレイヤーだった八人が、O-Hという新しい世界に降り立ち、活動を始めることになったのであった。



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