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異能愚者と異世界勇者の破綻した譜面  作者: レープハフト
プロローグ 異世界勇者との出会い
6/6

とりあえずまずはベデッヒティヒ

 3月になった。降り積もってた雪も、少し浅くなる。


 それでもまだ寒気は衰えない。ストーブはつけるし、コタツだってまだ生き残ってる。


 そして夢であって欲しかった、俺の隣でテレビゲームに没頭している勇者様も、まだ現実に留まっている。


 俺はまだこの女が夢である可能性を捨てていないみたいだ。


「てやっ! おりゃ!」


「そんな乱暴にコントローラー扱うな壊れるだろ……ほいっと」


 まぁそういう俺も、そんな勇者様、アコール・レーラと一緒にゲームしてるんですがね。


「あーっ!!」


 彼女の操作しているキャラクターが地に伏し、ノックアウト。ノーダメージの完全勝利を俺は得た。


「フッ……今は夜だ、静かにしなさい」


「ず、ずるい! 今の技は何!?」


「ハメコン。即死コンまで持って行かなかっただけありがたいと思うんだな!」


「くぅー!! 何その必殺技! かっこいいんだけどムカつく!」


 コタツの中で俺に足をバタバタさせて蹴りを食らわせてくる。執拗に脛を狙うのをやめろ。


「これで俺の27勝0敗な」


「むぅー!!」


 ぎりりと歯ぎしりをしながら、涙目でこっちを睨んで来た。怖くはないけど、そこまでゲームにムキになるのが恐ろしい。


 そんなことを思っていると、彼女が勢いよく俺の前に人差し指を突き立てて来た。


「もっかい!」


「別にいいけど、説明書ぐらい読めば?」


「そんなの必要ない! わたしは勇者ですよ!?」


 勇者に説明書は必要がないらしい。


 好戦的な勢いに負けてため息をついてしまう。しかし俺も実際暇なことには変わらない。初心者いじめが趣味というわけじゃないけれど、暇つぶしにこいつとのゲームは最適に近いのだ。


 短い付き合いだけど、一緒に暮らしてみるとわかることがいくつかあった。彼女は好奇心の獣のように気になったことは調べ、実行する。(ゲーム以外)


 家事も積極的にこなし、何事にもチャレンジするような性格のようだ。


 その上負けず嫌い。スポーツマンみたいな人間だ。


「普通にやったらつまんないし。そうだなじゃあハンデとしてライフ半分からスタートさせてやるよ」


「んなっ!?」


 ニヤリと悪い顔して、彼女に提案する。彼女はさらに不機嫌そうに俺を見つめてきた。


「……ふっふっふっ、後悔しないことね!」


「そのセリフ、俺に一撃浴びせてから言うんだな」


「よーし! ぶっ殺してやる!」


 勇者とは思えない、魔王じみたセリフだな。




 ……まぁ、そんなこんなで、居候が家に来てからだいたい三週間たったが、特に恐れていた変わったことというのはあまり無かった。


 事あるごとにゲームしようだとか、アニメ見たいだとか、漫画読ませてだとか色々面倒なこと言ってくるけど、所詮それ止まり。


 なんやかんやで、アコール自体が悪いやつではないというのも相まって、普通に問題のない生活をしている。


 暇つぶしなんて、ピアノ弾くぐらいしか無かった俺に、アコールと遊ぶという暇つぶしが一つ増えた。


 ゲーム自体は苦行じゃないので、それだけで時間の経過がとても早く感じられた。


 付き合って間もないというのに、あの日以来異性に心を許したことなんてないのに。


 少しだけ、心を許してしまっているような気がしてならない。


 不思議だ、こいつといると、なぜだかわからないけど安心する。


 これが勇者。なのだろうか。


 それはそうと、はいガチャガチャっとね。


「シャゲダンすんなー!!」







こっちもちまちま投稿しますよー!

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