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──オレは何度でも繰り返す──

初投稿です。

優しく見守って下さい。

一応週一のペース書いていこうと考えています。



早速修正入れました。


よろしくお願いします!

 プロローグ


 「なんじゃこりゃ~~!!!」

 長身スレンダーで美人のレティスさんが、翡翠色の長髪を乱し摩訶不思議と言わん顔をしている。その足元には柄が取れた剣が。

 自分の状態に対しその反応か。ん、通常運転のようだ。

 こめかみに僅かばかりの痛みを覚え目を逸らすと、その先にレティスさんを見て慌てている美少女、神官のカーリが。

 「きゃーー!大変!大変!!早く包帯巻かないとー!!」

 そう言いながらマジックバックの中身を片っ端から放り投げ、ようやく包帯を取り出すと、肩に掛かる位の銀髪と豊満な胸を揺らしながら駆け寄っていた。

 いや、包帯って・・・仮にも貴方は神官でしょ!?そこは回復魔法をですね・・・はぁ。

 涙が意思に関係なく溢れる。

 「慌てるな!カーリ。こんな傷、ツバを付けておけば治る!」

 ・・・いや、唾だけでは難しいかと──貴方、手首から先が無くなっていますので。

 っというか、オレの目の前で倒れている勇者ウェルくんの回り、血だるまですが・・・

 ウェルくん、男のくせに可愛らしい顔だったのに、白目剥いて台無しですよ。それにご自慢の長髪のサラサラのブロンドが真っ赤に染まっていますが、ビジュアルを変えたいのですか?っていうか、これもう助かりませんね・・・  


 「ぎゃーーーーー!!」

 ウェルくんの遺体より先から、断末魔に似た叫びが上がる。

 視線を遣ると、そこでは火達磨になったチンチクリン魔法使いシアが、ゴロゴロと地面を転がりまくっている。

 その周りには黒焦げになったモンスターの姿が。

 接近戦での魔法行使は効果範囲が自分の位置を含む場合があるからよしなさいって言いましたよね。ま、よかったですね。魔法耐性がある程度あって。お陰で死なずにすんでいるのですから。綺麗な栗毛のショートカットがド〇フのコントみたいになっていますが。・・・一応言っておきましょうか。

 「ダメだこりゃ~!」


 今オレ達を襲っているのはオークの集団だ。

 正確に言うと襲ったのはオレ達だ。が、返り討ちにあった。

 オレは武器を持っていないからなのか放っておかれている。

 奴らは目の前の女に夢中で脅威の無いオレなんか後回しという事らしい。

 まったく。相変わらずポンコツな奴らばかりで非常に残念に思う。

 結局この依頼もハズレですか。

 ふと背中を押された。  

 振り返ると馬が居る。

 オレの相棒の赤毛の牡馬。デロリアスだ。

 馬車馬として此処に居る。

 デロリアスと目が合うと、落ち着いた声色が頭に響いた。

 『あるじー、もういいんじゃ~ん!?』

 「デロリアス・・・イケるか!?」

 一瞬の逡巡の後、強い意志を込め問い掛ける。

 『チョーよゆーじゃ~ん!』

 然もありなんと答えるデロリアスから荷馬車と繋ぐハーネスを外し騎乗する。

 そして叫ぶ。

 「何とかする!!」

 『ばちこいじゃ~ん!』

 呼応したデロリアスが駆けだす。

 仲間が居る方向とは反対に。

 頭が(ボン)ばったシアさんがオレとデロリアスの行動に気付き追いかけて来る。

 「ちょっ!一人だけで逃げるなー!!」

 そんな言葉当然無視である。

 しかし馬に人が追い付く訳なく引き離されていく。

 「ってんめー・・・コロス。」

 そんな呟きなど聞こえなかったが、背後に非常に強大な殺気(魔力)を感じて振り返る。

 そこには全ての魔力を込めたと思われる程巨大(直径約10m)な火球の下、頭上に両手を掲げたドリ〇頭が。

 まてまて!誰もお前に『元気』は分けていない!。

 彼女はその瞳を怪しく光らせ笑顔の口から白い息を吐いていた。今、初夏だぞ・・・

 「デロリアス、まだか!?」

 焦るオレとデロリアスに悪意の塊が放たれる。

 『あるじっ!あいつやっぱイカれてるじゃ~ん!!あれはヤバいじゃ~ん!あれはヤバいじゃ~ん!!あれはヤバいじゃ~ん!!!』

 トップスピードに乗ったデロリアスが地面に炎の軌跡を残し、そして馬体の回りに閃光を放ちながら消えた。オレと共に。

 一瞬遅れて着弾した狂気(凶器)は半径500m四方を焦土と化した。術者自らを巻き込み。




 朝、宿屋の一室で目を覚ます。

 「今日もいい朝だ。」

 鏡に映る姿を確認し身なりを整える。

 寝癖よし!安定のクセ毛だ。こう見ると、いたって普通だな・・・せめて見た目だけでもカッコよく転生したかったものだ。

 いつも通りの支度を済ませ、部屋を出ると厩舎へ向かいデロリアスの世話をする。

 「おはよう!デロリアス。」

 『おっはー!あるじ~』

 飼葉を与えながら挨拶を交わす。

 「()()()は助かったよ。」

 『お礼の言葉より~人参じゃな~い!?』

 「ほら、ちゃんと有るよ。」

 懐から取り出しデロリアスに与える。

 『あるじ~(モッシャモッシャ)この(モシャ)ターン(モシャモシャ)もう5回目じゃ~ん。』

 「わかってる。答えは見つけた。」

 

 それから食堂に向かうとみんな揃っていた。

 「おはようございます。」

 「おはよう。」

 「ああ、おはよ。」

 コク(頷く)

 「おはよ、クレイズ。」

 長身スレンダー美人で、翡翠色の髪を肩で揃えた女戦士のレティスさん。

 ブロンドロンゲで、アイドルと言っても過言ではない程可愛らしい勇者のウェルくん。

 チンチクリ・・・もとい、小柄で幼女体型。サラサラな甘栗色の髪をショートカットにして、目がクリクリな魔法使いのシアさん。

 そして神官で幼馴染。シアさんより身長は高いものの、小柄で巨乳。肩に掛かる位伸ばした綺麗な銀髪の持ち主、カーリだ。


  

 「さて、どれにする?」

 宿屋の食堂で朝食を済ませ、今は冒険者ギルドに来て依頼が貼りだされている掲示板の前に居る。

 朝一の掲示板の前は人でごった返している中呑気に依頼を吟味している最中だ。

 「街道護衛、隣村のゴブリン討伐、王都までの郵便配達、オーク集落の捜索。このあたりではないだろうか。」

 ウェルくんの問いかけにレティスさんが依頼書を眺めながら言った。

 そう言っている間にも他の者達が次々と依頼書を剥がして受付に持って行っている。

 依頼は早い者勝ちだ。本来はこんな悠長に問答をしていられないのだが、救国(する予定)の勇者パーティーに気を利かせ、他の者はオレ達の目の前に貼りだされている依頼書には手を出してこなかった。

 「ボクとしてはレベルも上がる討伐系の依頼をやりたいんだけど、どうかな!?」

 「そうですね~。であればオーク集落の捜索が一番お金になりますね~。集落を壊滅すれば特別報酬も出るみたいですし。」

 カーリが依頼書の注意書きを読み上げるとウェルさんが興味を示した。

 「おー、特別報酬400万Gゴールドか。これ成功させたら暫く路銀に困らないな。」

 「そうですね。それだけあれば新しい装備も二人分位賄えますね。」

 金額にレティスさんも乗り気だ。

 「オークって何匹倒せばレベル上がる?」

 「うーん、それは個人差がありますから一概には・・・でもオークジェネラル辺りが居ればレベルアップするんじゃないですか!?」

 レベル命なシアさんの問いにカーリが丁寧に答えていた。

 「よーし!今回はこの依──」

 「だが、断わります!!!!!」

 ウェルくんが依頼書を剥がす寸でで、オレが大声で遮った。

 みんなポカンとした顔でオレに釘づけだ。

 それもそのはず。みんなオレが此処にいるなんて気付いていなかったのだ。

 オレは勇者パーティーのメンバーだが、戦闘は一切しない。ってか出来ない。

 だってオレ、御者だもん。

 そう、オレはただの運搬係。タクシーの運転手扱いなのだ。

 ここはギルド。依頼人でも、冒険者でもない御者は建物には入らず入口付近で待機が基本だ。

 だがオレは今回一緒に入って来た。ある目的の為に。

 「ウェルくん、現在レベルいくつですか?作戦はありますか?対複数戦はどれくらいこなしたことがありますか?」

 「へ?い、いや~・・・それなりのレベルと経験は有──」

 「レティスさん、装備を新調したいそうですが今の装備に不備があるのでは!?」

 ウェルくんの答えを待たずに質問を投げられたレティスさんが動揺を見せた。

 「カーリ、依頼書はちゃんと隅々まで読まないと駄目だ!」

 「え?読んだから特別報酬の事が分かったんだけど・・・」

 「じゃあ依頼期限、達成条件、推奨ランク、そして罰符は確認した!?」

 いつもと違う強目の口調にカーリがたじろぐ。

 「依頼期限、貼りだしから30日以内。って事はあと4日かぁ。達成条件、集落の発見及び集落の場所の特定、証拠としてのオーク討伐部位5体分の提出。此れでは実質威力偵察だね。でもあたし達は最初から壊滅させるつもりだから問題ないとして。推奨ランク、Aランク3級以上??」

 シアさんが声に出して依頼書の注意事項を読み上げ、推奨ランクの所で言葉に詰まった。

 「そう、Aランク3級以上って事は現在Bランク1級の皆様方では達成不可能の可能性が高い筈。もし成功させるなら同じランクパーティーをあと2チーム揃えないと危険という事です。」

 その言葉にウェルくんが反論してくる。

 「しかし、ボク個人はAランク1級だぞ。それを考慮すれば不可能ではないが?」

 「ウェルくんだけなら・・・ですがね。」

 「どういう意味だ!?」

「誰かを護衛しながら対多数戦をこなせますか?よく見て下さい。」

 そう言って依頼書を指さす。

 「ここ!」


 出現予想数:最低30頭

 上位種目撃情報有

 他種族混成可能性有


 「え!?なにこれ??」

 それを見たカーリが驚きの声を上げ、ウェルくんが呟く。

 「ギルド発注でこんな依頼が・・・普通討伐隊が組まれる内容だぞ。」

 「いえ。これはギルド依頼ではありません。」

 「これは個人依頼だねー。」

 オレの答えにシアさんが補足した。

 「本当だ!ペッパー商会からの依頼だぞ、これは。」

 レティスさんの言葉にみんなの表情が曇る。

 ペッパー商会とは過去に胡椒取引で大きな財を築き、今や政治発言力まで持ち、裏でキナ臭い事をしていると噂の絶えない大商会だ。

 「それに罰符見て下さい。」

 オレの言葉に注意事項の最後に小さく記載されている所を3人が凝視する。


 罰符:条件不履行と判断された場合、200万Gを違約金として支払う事とする。


 「これ、依頼詐欺ですよ。」

 依頼詐欺とは依頼条件が満たされなかった時の違約金を目当てとしたもので、到底達成不可能な条件を提示する依頼の総称である。

 ギルドとしてはそういう依頼は避けたいのだが、嘘偽りが無い内容であればそれを拒否する権限は持ち合わせていない。“何人も依頼可能”の原則というものがあるらしい。しかしそのような依頼など誰も受ける訳が無く、極稀にこのパーティーの様な被害者が発生する。また違約金を支払えなかった場合、それに準ずる支払方法を取らされるが、その殆どが奴隷落ちである。

 「いや~、危なかった。」

 危なかったーじゃありません!ウェルくんん。あなたの思慮の浅さが不幸を呼ぶんですよ!もしこの依頼を受けていたら、2日後貴方たちは・・・

 「どうしたの?クレイズ。」

 カーリがオレを気遣って来た。どうやら知らずにこめかみを押さえていたようだ。

 「い、いや!寝不足で少し頭痛が。アハハ」

 そう誤魔化しながら掲示板から一枚の依頼書に手を伸ばし続けた。

 「っという事でこの依頼にします!!」

 みんなにそれを突きつけ宣言した。

 「は!?な、郵便配達!?!?」

 ウェルくんは納得いかないという声を上げたところでレティスさんが聞いて来た。

 「それを選ぶ理由を教えてくれないか?」

 まったく、大丈夫ですかこのパーティーは?ただの御者に依頼を決められてその反応とは。普通ならオレの言葉なんか無視するものですが。オレ、御者ですよ・・・・はぁ。

 まぁこれもオレが信頼を少しだけでも勝ち得たからなんでしょうけど。

 ここに至るまで危険回避の手伝いをしたし、みんなが知らないところではそれ以上やっている。

 ではレティスさんの疑問に理路整然とお答えしますか。

 「まず、オーク討伐は論外ですね。依頼詐欺ですし、実際オークの集落にはゴブリンも混在し総数120に及ぶ“はず”です。それにゴブリンメイジ、オークジェネラル、オークメイジも多数存在する“はず”です。そして街道護衛ですが、隣国の傭兵崩れの盗賊団に遭遇する“はず”です。その数およそ50。この依頼は複数の商会の護衛依頼となりますから盗賊団には美味しい獲物というわけです。次にゴブリン討伐ですが、討伐自体は難なくこなせます。しかしそこで村の数人が戦闘に巻き込まれ亡くなり、結局このパーティーの名に傷がつきその後の活動に支障をきたす“はず”です。因みに王都までの郵便配達ですが、道中は問題ありませんが、王都に着いてからがかなり面倒くさくなる“はず”です。なので、本当は何も受けないのが最良手ではありますが、何かを受けたいとあれば消去法的にこの依頼を受けるべきです。」

 オレの説明にみんなあっけに取られている。

 「ま、まぁクレイズが言うなら間違いないんでしょう。」

 カーリがいつもの事かと言う感じでオレを支持した。それに続きそれぞれが同意してくる。

 「そ、そうだな。クレイズには何回かその“はず”で助けられた事があったし、今回もその“はず”に従うか。」

 いやいや、ウェルくん、実体験を素に話したんですがね。

 「う、うむ。私は異論無いぞ。クレイズの“はず”に従う。」

 レティスさん、あなた早くその腰に提げてる剣、修理しましょう。それがキッカケでオーク討伐は悲劇となったんですから。

 シアさん、こんな所で魔力操作しないで下さい。ファイアーボールはお手玉じゃありません!


読んでくださり、有り難うございました。



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