異世界編「夫がオオアリクイに喰われて半年が経ちました」その2
「夫がオオアリクイに喰われて半年が経ちました」その2
作・光久さやか
これを読んでおられる方々の中で、たくましくて体力に自信のある男の人はおいででしょうか?
もしおられましたら、お願いしたいことがあるのです。それは……。
その前に、まずは自分のことを少し語ります。
半年前の夏、オオアリクイに喰い殺されて主人を亡くしました。
主人は、私と息子を置いて一人だけで何度もシンガポールに行っていたのですが、あんな危険な仕事に手を染めていただなんて……。
まさか古代シンガポール王国の財宝を遺跡から盗掘していたなんて、どうして想像できましょうか?
ましてや、守り神であった巨大オオアリクイに食べられてしまうだなんて!
ですが、私は主人が死んだなどと信じてはおりません。なぜなら私にはずっと、テレパシーであの人の声が聞こえているからです。
くるしい、たすけて、というあの人の声が。
主人は異世界に行ったのです。
今朝もテレパシーで、以下のようなビジョンが送られてきました。
「ああ、なんてことだ……。まさかオオアリクイの胃袋が、別の世界につながっていたなんて!」
主人の行った世界……そこは罪を犯した人間がアリに生まれ変わる、いわば『アリ地獄』とでも呼ぶべき世界でした。
言うなれば、この状態は『異世界転生』です。――勝手な言葉を発明してしまいましたが、一番しっくりと来る言い回しでしょう。
アリとなった主人は、シンガポールのジャングルに似た森の中を這い回り、恐ろしいアリクイたち(遺跡の守り神であるオオアリクイの手下です)から逃げ惑うのです。
……実を言えば、主人には浮気や借金でさんざん苦労させられましたから、異世界で苦しんでいるのは正直ざまあみろという気持ちもありました。
つづく
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※お知らせ:
長考に入りますので、今後は少々ペースが落ちるかもしれません。
その間、フミエさん以外のお母さんが書いた異世界ラノベをお楽しみください。